暑寒別岳
2014年(平成26年)7月4日

メ モ
今年も梅雨のない北海道の山へ行こうと思い、天気予報では好天が続くと予想されていた7月上旬に石狩岳と天塩岳に登る計画を立てたが、今年は北日本でも天気は不安定なようで、予定の4日が近づくにつれて予報は日替わり状態で目まぐるしく変わり、その都度予定の山をあれこれと変更する始末だった。結局、前日の3日の予報をもとに、4日は暑寒別岳、5日は天塩岳かニセイカウシュッペ山に行くこととし、3日の昼過ぎに雨の中を関空に向かった。復路の新千歳からの最終便では家まで辿り着くことができるJR の最終便に間に合わない可能性が大だったので、関空へは車で行くことにした。
定刻を少し過ぎて関空を飛び立った飛行機が新千歳に着いたのは午後6時前。レンタカーの営業所に行き、手続きを済ませてそこを出発したのは6時半だった。とりあえずの目的地は岩見沢の少し先の三笠で、そこにあるSCで夕食を取り明日の食料を買い整えてから登山口を目指した。
暑寒別岳に登るルートは3つあるが、そのうち雨竜沼湿原を通るのは雨竜町の南暑寒荘からのルートのみだった。しかしそのルートで暑寒別岳まで行くには往復27km、累積標高差1600mを12時間かけて歩き通す必要があった。暑寒別岳に行く以上は是非とも雨竜沼湿原を歩きたいので、ルートは迷わずに南暑寒荘からのものとしたが、5月に歩いた平家岳を上回る厳しい条件の道で、果たして辿り着けるのか十分な自信がなかった。しかしこれは、だめなら南暑寒岳まででも良いと考えて選択した結果だった。
三笠から美唄を通り、雨竜町に向かう途中で新十津川町という地名が目に入った。この十津川というのは言うまでもなく奈良県の十津川のことで、明治時代に豪雨のため村が壊滅的な被害を受けたのを契機に、村民が北海道へ移住して開拓したところだ。これは20年ほど前にNHKで放映された”新十津川物語”を見て知ったことだった。このドラマはもう一度見たいと思っているが、昔のことなのでもう無理かも知れない。
雨竜町から登山口に向かう道は尾白利加ダムを過ぎると未舗装になる。それほど荒れた道ではなく、部分的に舗装もされているが、それでもスピードはガクンと落ちる。30分ほどもかかって広い駐車場のある登山口には午後11時前に着いた。新千歳からの走行距離は約130km。明日に備えて車の中ですぐに横になった。
夜半目を覚ましたときは満天の星だったが明るくなってきた3時過ぎには曇り空に変わっていた。すっかり明るくなった4時前に起きてもう少し先に進んで行くと南暑寒荘の前の駐車場に出た。そこには10台近い車が止まっていて、何かしら支度をしている人たちがいた。私もそこで支度をして4時半にまずは雨竜沼湿原を目指して出発した。

行 程
国土地理院地図
 
南暑寒荘−雨竜沼湿原−南暑寒岳−暑寒別岳(往復)

天 候 霧のち晴時々曇り


駐車場にあった登山ルート案内図。このゲートパーク(南暑寒荘)から暑寒別岳まで片道13.4kmある。(画像をクリックすると拡大されます)

早朝の登山口駐車場の様子。天気は曇り。南暑寒荘は左手奥の建物。

 
公園の管理事務所。登山届けを出すために階段を登って行くと中から管理人が出てきて奥に案内された。登山届けを書いてからルートの様子を聞くとやはり暑寒別岳までは厳しいようで、お勧めは南暑寒岳までと言うことだった。

  とにかく行けるところまで行こうと登山道に入る。車道のような広い道を10分ほど歩いて行くと第一吊橋があった。雨竜沼湿原から流れ出るペンケペタン川に架かるもので、橋の上から覗き込むと水量の多い大きな沢だった。第一吊橋を渡ると道は登山道らしくなる。

 
 第一吊橋から十数分で白竜ノ滝に着く。滝の展望台は登山道から少し外れたところにあった。
ペンケペタン川の水量の多さが分かる。

 
滝から10分ほどで第二吊橋に着く。ここで湿原入り口まで距離的には半分。

  第二吊橋からは急登が始まる。高度を上げて行くとともにまわりは霧に閉ざされてきた。

展望も何もない道を黙々と登り続けて、水量の多いペンケペタン川沿いの道になると登りも一段落。やがて木道になり、小さな沢を渡るといよいよ雨竜沼湿原だ。しかし天気は相変わらずで、濃い霧のため視界は閉ざされたまま。この展望台には6時着。

先は長いので立ち止まることもなく、広い湿原の景色を想像しながら木道を歩いて行く。花の時期まではまだ間があるようで、木道の脇はちらほら咲きの状態だった。

途中で道が二手に分かれており往復の一方通行になっている。案内板に沿って左手の道を行く。

黙々と歩くこと30分で湿原はあっけなくも終わった。このあとは南暑寒岳までの長い登りが待っている。

 
 何の眺めもない湿原の展望台で休憩してから、背丈ほどもある笹の中の変化のない緩い坂道を1時間近く登って行くうちに、
時折まわりが明るくなり日が差すようになってきた。
やがて青空も覗き始めて、少々萎えていた気分が一気に明るくなる。

辿り着いたピークには三角点があったが、頂上はもう少し先のようだった。

8時15分に標高1296mの南暑寒岳の頂上に到着。
本日の一番乗りと思われます。

しかし暑寒別岳と思われる稜線付近には雲がまとわりついていて期待していた展望は得られなかった。
だが、もしこの時完全に晴れ上がり、遠い遙かな暑寒別岳の頂と、それに至る長い長い道程が視野に入っていれば、
果たしてそこまで行こうとする気持ちが持続できたかどうか・・・。


いずれにせよ、まだ8時30分で引き返すのも早すぎるため、とにかく先に進むことにした。
下り始めてほどなく、ふと前方を見ると稜線付近の雲はなくなり、暑寒別岳の頂がくっきりと見えた。
それはあまりにも遠く高く一瞬気が挫けそうになったが、下り始めた体を止めることはできなかった。

南暑寒岳からの下りは、これまで登ってきた道とは打って変わって、延々と固定ロープが張られた急な道だった。まさに急降下といった感じ。

固定ロープが終わるところまで約15分の下りだった。ここから暑寒別岳まで3.5kmある。遠いなあ。

今にも熊が出てきそうな背丈ほどもある笹の中の道を、鈴を鳴らし笛を吹きながら通り抜けて少し下ると小さな池塘がある鞍部に着いた。
時刻は9時5分。足元には水芭蕉も咲いており、なかなか雰囲気の良いところだった。
しかし、この鞍部からあの暑寒別岳の頂まで400mを超える厳しい登り返しが待っていた。
左手の霧に包まれた尾根を登って行く。

鞍部から10分ほど登ったところから雲が切れた南暑寒岳を振り返る。
中央付近に笹の中の登山道が見えている。

上の写真と同じところからこれから登る尾根を見上げる。
見えているのは一番目のピークで二段になっている。そのあとの2番目のピークはここからは見えていない。
遠くのピークは3番目で、あそこまで行けば頂上は間近だ。

1番目のピークの手前から南暑寒岳を振り返る。
あそこを下り始めてここまで1時間近くかかっている。暑寒別岳まではそれ以上の時間がかかりそう。

 
 登り着いた1番目のピークから暑寒別岳を見る。
ハイマツも現れてきているので、このあたりの標高は1200mを超えているだろう。

平坦な尾根道を進んで行くと、右手が切れ落ちた2番目のピークが見えてきた。
その先には左手にガレ場がある稜線を経て3番目のピークが控えている。あれを超えれば頂上は近い。

近づいてきた2番目のピーク。

2番目のピークを越えて頂上に向かう。
この後の3番目のピークへの登りが、疲労感が出てきたこともあり一番苦しかった。
途中で立ち止まることが幾度あっただろうか。

上の写真と同じところから見た群別岳や奥徳富岳(尾白利加岳)。
その頂きはまだ雲の中だった。

 
登山道は3番目のピークは通らずにその直下を巻いて頂上に向かっている。40分ほども要した最後の厳しい登りも終わって頂上はもう目の前だった。

  頂上目指して平坦な道を行く。頂上直下にはお花畑が広がっていた。

10時55分にようやく標高1492mの暑寒別岳頂上に辿り着いた。
登山口から6時間25分、南暑寒岳から2時間25分かかっている。
少し時間がかかりすぎたが、この年でここまで来れたのだから良しとしよう。

山頂から雨竜沼湿原を見る。
既に霧は晴れているようで、帰り道での眺めが楽しみだ。

群別岳方面ではようやく雲が切れてきて奥徳冨岳が全容を現してきた。
しかし群別岳はまだ雲の中。

こちらは増毛方面へ下る尾根。
登ってきた道とは違って、なだらかで歩きやすそうな道に見える。お花畑もありそう。

頂上直下のお花畑。ハクサンイチゲやチングルマ、ボタンキンバイ?などが群生していた。

頂上近くの崖っぷちに咲いていたエゾツツジ。非常に目立つ鮮やかな色をしている。

これは3番目のピークに登る途中に咲いていたミヤマオダマキ。きれいな紫色です。

登ってきた尾根と南暑寒岳を振り返る。
頂上に着いたときは増毛方面からの登山者が5、6人いたが5分ほどして下山してしまい、
そのあとは貸し切り状態となって、静かな山頂で至福の時を過ごした。
いつまでも居たかったが、帰りのことを考えるとあまりゆっくりも出来ないので11時40分に山頂にお別れをして帰途に就いた。

2番目のピークに向かって下る途中からの眺め。
左端に見える南暑寒岳まで戻ればあとは楽勝なんだか・・・。

ガレ場付近でようやく群別岳が姿を現わしてきた
群別岳は標高1376mで、増毛山地では暑寒別岳に次ぐ秀峰だ。

水芭蕉が咲く鞍部から今日最後の、そして最も厳しい登りが始まる。
笹原の中の緩い登りのあとは固定ロープが張られた道を激登する。まさに息も絶え絶えです。

本当に苦しかった登りを終えて、午後2時ちょうどに南暑寒岳に戻ってきた。

 南暑寒岳からの眺め。
左に奥徳富岳(尾白利加岳)と群別岳、右に暑寒別岳(山頂は雲の中)。左端遠くには富士山のような黄金山。
眼下に歩いてきた道が見える。

三角点のあるところまで戻ると、大小幾つもの池塘を散りばめた雨竜沼湿原を眺めることができた。
午後2時10分、その湿原を目指して南暑寒岳から下り始める。

南暑寒岳からの下りは緩やかな道だがその分道のりは長く、遠くに見える湿原がなかなか近づかない。
登りの時はあまり気にならなかったが、この下りは本当に長く感じた。

 
 途中にはこのような変わった幹や枝ぶりの木もありました。

南暑寒岳から1時間近くも下り続けてようやく湿原の展望台に着く。ここで少し休憩する。
この展望台からの眺めは、前景の木々が少し邪魔していてあまり良くない。
湿原の左手の丘のような山は恵岱山。

展望台から湿原へ下る途中で咲いていたシラネアオイ。
北日本の初夏の山で見ることができる私好みの花。

午後の日差しを浴びて気持ちよさそうに咲いています。
今シーズンはもうそろそろお仕舞いですが、なんとか見ることができてよかったです。

すっかり晴れ上がった雨竜沼湿原。
朝の霧に包まれた状態からは想像もできなかった景色が広がります。
正面のなだらかな山は標高970mの群馬岳。

 
遠くの平らな山は標高1060mの恵岱山。湿原は850m程度なので標高差は約200m。
湿原にはまだまだ花は少なく、その点では少し物足りない。


時刻も午後3時半を回っており、見渡す範囲では人影は見られない。
今、この広大な天と地の間にいるのは私一人だと思うと、花は少なくてもこれ以上の贅沢は言えません。


雲の動きにより時々陽の光が遮られるが、それにより池塘の水面の明るさが引き立ち、
青い空を映してまるで鏡のようです。

日が差した湿原。遠くの恵岱山が日影となって上の写真と対照的。

水面に映る夏雲。

水面に映る青空。

沸き立つ夏雲。

南暑寒岳、暑寒別岳とペンケペタン川

湿原も終わりに近づいてきた。
正面の谷がペンケペタン川が流れ出て行く湿原の出入口。

南暑寒岳と暑寒別岳を振り返る。

 
 蛇行するペンケペタン川。

 
 展望台に寄って、湿原と登ってきた山々の最後の眺めを楽しむ。

 
 南暑寒岳。右手の斜面を登り、そして下ってきた。

 
 暑寒別岳。
左に見えている稜線に登山道がある。第3番目のピークへの登りのきつかったことがよく分かる。
雨竜沼湿原を出たのは午後4時10分頃。このあと白竜ノ滝を経て登山口には5時20分に帰り着いた。
実に12時間50分の山歩きだったが、まずまずの天気と展望に恵まれて予期した以上の充実した山行となった。
着替えを済ませて今夜の宿に向かって駐車場を出発したのは5時45分だった。


ニセイカウシュッペ山に続く


コースタイム
往   南暑寒荘(4:30)−雨竜沼湿原(6:00〜6:40)−南暑寒岳(8:15-8:30)−暑寒別岳(10:55)
復   暑寒別岳(11:40)−南暑寒岳(14:00−14:10)−雨竜沼湿原(15:30〜16:10)−南暑寒荘(17:20)

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