丹後山・中ノ岳(その2)
2014年(平成26年)9月28日

メ モ
昨日午後5時頃に夕食を戴き、綺麗な日没を見たあとは、暗くなってきた小屋の中ではもうすることがない。星を見たかったが少し雲が出てきたのと風が強く寒そうだったので、星空観察は諦めて6時前から寝袋に潜り込んで寝ることとした。
静かな一夜が過ぎて4時頃になると2階の団体さんが起き出した。私も起きて外に出てみると東の空にほんのりと明るさを感じた。空を見上げると満天とはいかなかったがそこそこの星空だったので何枚か写真を撮ったがあまりいい出来のものはなかった。体が冷えてきたので小屋に入って朝食を取り、出発の支度を始める。
団体さんが出発したあとは小屋も静かになった。今日は長丁場であり、また遅くとも午後4時までには十字峡に戻りたいので、明るくなってきた午前5時35分に快適な一夜を過ごした小屋にお別れをして、まずは利根川源流の山である大水上山目指して出発した。

行 程

丹後山

大水上山

兎岳

中ノ岳

日向山(五合目)

十字峡

距離(2日間) : 17.6km
最大標高差  : 1,647m
累積標高   : 2,013m
 



天 候

晴れ
 (気象庁 : 過去の天気図)

山行記録

午前4時半ごろに外に出て空を見上げると沢山の星が見えたが
夜明けが近いため満天というほどではなかった。
昨夜風が強かったので心配したが、どうやら天気は良さそうだ。
写真は東の空のおおいぬ座。上の一際明るいのはシリウス。



ご来光が近くなった5時35分に一晩お世話になった小屋を出発した。
団体さんが出発した後は私以外に二人が小屋に残っていたが、一人の方は十字峡に下山と思われ、
もう一人の方は中ノ岳には何度も行っているのでこの丹後山でゆっくりするとのことだった。
したがって今日この稜線を歩くのは団体さんと私だけのようだった。



午前5時40分頃、丹後山を越えたところで会津駒ヶ岳からの日の出を迎える。
右の山は平ヶ岳。



日の出直後の大水上山から中ノ岳にかけての稜線。
右には荒沢岳のシュルエットも。


 
上の写真から数分後。朝日が当たって朝焼けする山々。
右のピークは大水上山。左奥に中ノ岳と越後駒。


 
驚いたことに登山道脇にハクサンフウロが咲いていた。


大水上山へ登る途中で振り返り見た景色。
右手前が丹後山。左端は平ヶ岳。その右に尾瀬の至仏山と武尊山。


6時ちょうどに大水上山の一郭の水源点に到着。
なぜ水源点を大水上山の山頂にしないのか分かりません。こちらの方が標高が3mほど高いことが理由でしょうか。
碑の後ろには兎岳、小兎岳、越後駒、中ノ岳が並んでいる。


水源点の位置と高さの銘板。


大水上山に向かう途中で水源点を振り返る。


 
大水上山を目指す。左は兎岳。
近づいてみるとなかなか大きい山だ。


6時20分に大水上山の山頂に到着。遂に積年の懸案の山にやって来たのだった。
天気も良いし感無量です。



大水上山の足下は利根川の最源流域。
ここからの一滴が関東平野を潤す大河となる。
正面には平ヶ岳。あの頂からこの稜線を眺めて以来早くも19年が過ぎ去っていた。


大水上山から利根川源流の谷を眺める。
右に水源点。左に平ヶ岳、中央遠くに至仏山。


今回の山行の目的の一つを達成した満足感に浸って先に進む。
平ヶ岳方面への国境稜線と別れて次は兎岳だ。
申し分ない天気の上、慣れたためか荷物も幾分か軽く感じて今のところ調子はよい。


兎岳の登りから大水上山を振り返る。稜線付近は紅葉の盛り。


兎岳が近づいてきた。


7時に兎岳に到着。
山頂には例の団体さんと荒沢岳からやって来た単独の方がいたが、
先に中ノ岳に向かって下って行ったので暫しの間山頂を独り占めする。
以下は兎岳からの展望です。


歩いてきた道を振り返る。
手前から大水上山、丹後山、越後沢山そして下津川山へと続く。右端の巻機山は雲の中。


手前に大水上山と丹後山。奥に越後沢山。
避難小屋が小さな点で見えます。


平ヶ岳と尾瀬方面の山々。
右の大水上山から平ヶ岳まで国境稜線が延々と続く。



平ヶ岳の左に燧ヶ岳が見えてきた。


 
少々くどいですが平ヶ岳です。


至仏山


武尊山


これから向かう中ノ岳。
中ノ岳はここからだと越後駒よりも立派な山に見える。


7時10分に大展望を満喫した兎岳山頂にお別れをして中ノ岳に向かう。


兎岳直下の荒沢岳方面への分岐点。


荒沢岳方面の展望。左後方には守門岳と浅草岳が見える。
荒沢岳からここまでは幕営の装備で幾つものピークを越えてくる必要がある。


守門岳と浅草岳。
浅草岳の右には写真では分かりにくいが飯豊連峰も見える。


小兎岳との鞍部に下る。
前方の越後三山の眺めが素晴らしいです。


辿り着いた鞍部の池に写る紅葉。ただし、あまり綺麗な水ではなかった。


7時40分に小兎岳に到着。
と言っても登山道の一番高いところが頂上と思われるだけで、標識も何もなかった。



小兎岳から兎岳を振り返る。


小兎岳から下る途中で見た中ノ岳。
小兎岳の次の1768mピーク(写真左手前)までは道の両側の笹は綺麗に刈り払われており歩きやすかった。
地元の方々のご苦労に感謝しながら進む。


1768mピークへの登りから小兎岳と兎岳を振り返る。


8時に1768mピークと思われるところに着く。
小屋を発ってから2時間半ほど。このあたりまでは比較的順調に来ることができた。


1768mピークを振り返る。
1768mピークの少し先からはこれまでと違って小さな起伏のある少し険しい斜面の道が続いた。
道を横切る笹に足を取られて何度も滑りながら進んで行く。


中ノ岳との鞍部付近から近づいてきた中ノ岳を見る。
時刻は8時半。標高差は400mほどあるがあとどれくらいの時間がかかるだろうか。


中ノ岳に登る途中から辿ってきた道を振り返る。
手前から1768mピークと小兎岳、兎岳が重なる。
兎岳の右に台形の大水上山、その右に丸い丹後山。丹後山へ登ってきた尾根もよく見える
眺めはよいが1768mピークからの下りの道で歩くペースを崩してしまい、少し疲労感が出てきた。


 
疲れが出始めた体にむち打って急登を続ける。


 
九合の池ノ段まで登れば、荷物を置いて空身で頂上まで行くことができる。
急登が続くがあと一頑張りと言い聞かせて登って行く。時刻は9時半ごろ。


 
中ノ岳への登りの途中から振り返り見る(9時40分ごろ)。
写真中央付近の1768mピークから1時間半以上かかっている。だいぶペースが落ちてしまった。


右手に只見川の源流の一つである北ノ又川の源頭の滝沢を見おろす。
紅葉した木々の中にまだ残雪がある。



池ノ段の近くから中ノ岳を見る。
標高は2000m近くになっており、ほぼ同じ高さで写真の左端に九合の池ノ段がある。


10時に池ノ段に到着。腹拵えを兼ねて10分ほど休憩してから空身で山頂に向かう。


山頂目指して登って行く。疲れがたまってきて足取りは重い。


紅葉の中を登る。
このあと頂上かと思われるピークを何度も通り過ぎて疲労度もさらに増す。


10時25分にようやく中ノ岳山頂に辿り着いた。
丹後山を出発して約5時間、1768mピークから2時間半近くもかかってしまった。



折から湧き出した雲に遮られながらも360度の展望を楽しむ。


まずは北東の方向に見えるのは御月山。このあとオカメノゾキを経て八海山へと続く。
その右には日本海も見える。


北の方向には越後駒ヶ岳。左端は中ノ岳避難小屋。


越後駒ヶ岳。標高はこの中ノ岳よりも80mほど低い。
写真では分からないが、手前の台形状の稜線上に駒ノ小屋が見える。
37年前の昭和52年の6月に泊まった小屋だ。


東の方には荒々しい荒沢岳。
荒沢岳から続く稜線上には灰吹山や灰ノ又山などなぜか灰のつく山がある。


 
足下には雪を残した紅葉の坂倉沢。


南には歩いてきた稜線の彼方に尾瀬や日光の山々が連なる。


 
燧ヶ岳と平ヶ岳


平ヶ岳の彼方右に日光白根山や男体山、女峰山。さらにその右に皇海山。


至仏山と武尊山


 
南西の足下にはこれから下る日向山。


 
越後三山の最高峰である中ノ岳に登ることは今回の山行の目的の一つだった。
まずまずの展望を得て目的を達成し、10時40分に下山の途につく。
池ノ段まで戻り、少し休憩して11時5分に十字峡目指して下りを開始。まずは日向山が目標だ。


 
かなり急な道を40分ほど下って11時45分に七合の小天上に着き、激下りもとりあえず一段落。
このルートを登るとき、この最後の急登は疲れた体にこたえるだろうなあ。


 
七合から日向山までは近いと思っていたが結構距離があった。
一旦鞍部まで下ってから緩い坂道を登り返して行く。途中に何ヶ所か写真のような池があった。


 
日向山直下の生姜畑を行く。日差しがないのが残念だが草紅葉が綺麗です。


 
生姜畑から中ノ岳を振り返るが残念ながら雲に隠れています。


 
12時35分に五合の日向山に到着。
中ノ岳から約2時間。このあと標高差1000mあまりの激下りが始まる。あと3時間くらいかな。


 
五合を過ぎると樹林帯に突入。


 
 五合から50分ほど下って午後1時25分に四合に着く。ここで一休み。


 
 四合からも樹林の中をドンドン下り続ける。


 
 やがて左側の展望が開けた場所に出た。
丹後山とシシ岩と思しき尾根が見える。


 
日向山からもだいぶ下ってきた。


 
午後2時10分に二合の千本松原に着く。後ろに遠くなった日向山が見える。
ここで休憩して出発しようとするときに、後から下ってきた人から御嶽山の噴火のことを聞いた。本当に驚きました。


 
二合から下って行くと前方が開けて眼下に十字峡が望まれた。
もう少しだ、頑張ろう。


 
ところが途中のクサリ場で疲労も限界に達してきたので、一合で大の字になって寝転んで大休止した。
そのあとも足に力が入らないまま何とか十字峡の階段上まで下ってきた。


 
疲労困憊の状況で階段を下って午後3時半に駐車場に戻る。これで三つ目の目的である周回ルートの踏破が達成できた。
疲労は激しかったが、すべてを計画通りに運ぶことができ満足感もひとしおだった。
気になっていたレースは終わりかけていたのでホッとする。
着替えをして荷物を整え、少し休んでから4時過ぎに帰途についた。
長野着は午後7時。レンタカーを返して駅前のホテルに行き、お風呂に入って2日間の疲れを癒した。


 
29日の帰途、木曽福島付近で電車から噴煙をあげる御嶽山を見た。
自然の猛威は恐ろしい。人は自然に生かされているとつくづく思うのだった。



コースタイム
丹後山(5:35)−大水上山(6:20)−兎岳(7:00)−1768m峰(8:00)−池ノ段(10:00)−中ノ岳(10:25)
中ノ岳(10:40)−小天上(11:45)−日向山(12:35)−千本松原(14:10)−十字峡(15:30)

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