ニペソツ山
2008年(平成20年)6月28日

メ モ
6月の本州は梅雨の季節だ。過去の経験から週末に晴天が巡ってくることは殆ど期待できず、イライラが募って精神上よくないことが多い。今年はいっそ梅雨のない北海道へ行ってみようと、あれこれ考えて計画した結果が3日間でニペソツ山と石狩岳に登るというものだった。
27日の金曜日、羽田から帯広行きの最終便に乗って到着したのが午後7時45分。レンタカーの手続きをして8時20分頃にニペソツ山の登山口を目指して出発する。レンタカーの営業所の人に天気のことを聞いてみると、最近は安定した状態で明日も良さそうだと云うことで一安心する。しかし気温は低く、半袖では寒いくらいの気候だった。まずは帯広市内に入って夕食と明日のための買い物を済ませる。そのあとはカーナビに導かれるままに国道241号から273号を走る。音更、士幌、上士幌をとおり抜け、糠平湖畔を走ってゆく。深夜の見知らぬ土地のため少し不安でもあったがこういう場合カーナビが心強い味方だ。EnyaのA Day Without Rainを聞きながら車を進めて行く。
そろそろ十勝三股あたりかなと思う頃、左手にニペソツ山登山口への案内板が目に入った。左折して進んで行くとしばらくして石狩岳登山口方面への道を右に分ける。真っ暗な砂利道を慎重に進んでいって、日が変わった28日の0時20分に終点の登山口に着いた。他に車はなく一番乗りとなる。満天の星を見ながらしばらく仮眠をとる。
寝ているのか起きているのか分からない状態が続く。ふと外を見ると空が明るくなり始めている。時計を見ると3時過ぎだった。夏の北国の夜明けは早い。3時40分頃から起き出して支度をし、登山届けを出して4時15分に出発した。あれほど晴れていた空に怪しげな雲が流れて行くのを気にしながら丸太橋を渡って登山道を登って行った。

行 程

十六ノ沢登山口
↓↑
小天狗岩場
↓↑
天狗のコル
↓↑
天狗平
↓↑
ニペソツ山

距離     : 13.5km
最大標高差:  990m
累積標高  : 1,412m
  
天 候

曇り後晴れ
(気象庁 : 過去の天気図)    

山行記録

国道273号を走り、十勝三股付近でニペソツ山登山口への道に入る。

砂利道をガタゴト20分ほど進んで行くと十六ノ沢登山口に着く。
車を止め、仮眠してから早朝の4時15分に出発する


丸太橋を慎重に渡って登山道に入る。

登り始めは天気も良く頭上には青空が広がっていた。

樹林の中の緩急織り交ぜた道を登ること1時間ほどで右手に岩を抱いた峰が見えてくる。
(小天狗と呼ばれているらしい)

少し行くと正面にもなかなか立派な山が見えてきた。
晴れていた空に雲が広がり始めている


一体どちらの山を目指すのだろうと思っていると、
やがて道は右に曲がって行き、岩のピーク目指して急な登りとなる


ピーク付近の岩を巻いて行く。
特別危険なところでもなかった。

岩のピークを過ぎると道は下りになり、先ほど見た雪を残した頂きに向かって行く。
どうやらあのピーク(あとで前天狗岳だと分かる)を越えて行くようだ。

左手遠くに糠平湖と思しき湖が見え、その右手にはウペペサンケの特徴ある山容も見える。

下りきった鞍部は天狗のコルと呼ばれている。


天狗のコルには小さな花々が咲いていた。

ミヤマハンノキの樹林帯を抜けてハイマツの中の岩道を登って行く。

登るうちに遠くに表大雪が見えてくる。
曇り空だが、旭岳から忠別岳を経てトムラウシ山までの山並みがよく分かる。

その右手には東大雪の石狩岳や音更山が見える。

小天狗を越えて登ってきたルートを振り返える。
小天狗の右手遠くには通称オッパイ山と呼ばれるクマネシリ山が見える。

道は前天狗岳を巻いて天狗平に向かう。

左手の斜面には高嶺の花が沢山咲いていた。

岩の道を登り詰めると広い台地に辿り着く。そこで初めてニペソツ山の勇姿を望むことが出来た。

台地から一旦下って天狗平へ登り返す。鞍部からは大雪山や石狩岳が見えたが、
幸いなことにその方向から急速に青空が広がり始めていた。

天狗平に着くころには頭上まで青空が広がってきて、ニペソツ山にも陽の光が差し始める。

天狗岳とニペソツ山。

天狗岳を巻いてニペソツ山に向かう。

降下点からのニペソツ山。天気はすっかり回復したが、
これからの下りとそれを上回る登りを覚悟して気を引き締めて行く。
(画像をクリックすると拡大されます)

コルに向かって下って行く。

天狗岳を振り返る。

鞍部からのニペソツ山。いよいよ最後の登りだ。

姿が変わって行く天狗岳を振り返りながら登り続ける。

遠くになった天狗岳。

天狗岳とニペソツ山との間には色とりどりの花が咲いており、
下り登りの疲れを癒してくれる(ハクサンイチゲ)。

ミネズオウ イワウメ
イソツツジ ミヤマキンバイ
エゾコザクラ キバナシャクナゲ
頂上を見上げる。

ようやく稜線に出る。あと少しだ。

辿り着いたニペソツ山の山頂。大展望が広がる。

旭岳からトムラウシ山まで続く表大雪。
7年前に3日かけて歩き通した山並だ。
(画像をクリックすると拡大されます)

左奥に少し雲がかかった旭岳。
その手前の台地はコマクサが咲いていた高根ヶ原。その右手に白雲岳。

トムラウシ山から化雲岳にかけての表大雪南部。

トムラウシ山から先はオプタテシケ山、十勝岳を経て富良野岳へと連なる十勝連峰。

表大雪の右手前には石狩岳と音更山。

振り返ればウペペサンケ山。

1時間ほども眺めを楽しんでから9時半に下山を開始する。
帰りもあの天狗岳を越えて行かねばならない。

天狗平から下った鞍部にも花は多い(エゾコザクラ)。

ハクサンイチゲ

天狗平から鞍部に下り、登り返してニペソツ山を見納める。
このコースは最初の1時間ほどの樹林帯の登りが我慢のしどころで、
そのあとは初めて見るまわりの景色やいろいろな高山植物が山歩きの疲れを忘れさせてくれた。
曇りがちだった空模様も天狗平に着く頃には晴れてきて、ニペソツ山に近づくにつれて願ってもない好天気となった。
辿り着いた山頂からは7年前に3日かかって縦走した表大雪の山並みをこの目で眺めることが出来て感無量だった。
明日登る予定の石狩岳もよく見えたが、トムラウシ山から南に続く残雪の十勝連峰もなかなか雄大であった。
好天気の下で無事登頂出来たことに感謝して、遙々訪れてきた甲斐があった長い山道を戻って行った。


帰途、上士幌のふれあいプラザ浴場に寄ってさっぱりとした気分になり帯広に向かった。

士幌付近の広大な農場。北海道ならではの景色です。


コースタイム
十六ノ沢登山口(4:15)−小天狗岩場(5:45)−天狗平(7:20)−ニペソツ山(8:35)
ニペソツ山(9:30)−天狗平(10:30)−小天狗岩場(12:30)−十六ノ沢登山口(13:45)

十勝岳につづく


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