中ノ嶺・マブシ嶺
2024年(令和6年)5月25日

メ モ
マブシ嶺は大台ヶ原の南にあり、台高山脈を尾鷲に向かって行く場合、開けた大展望がある最後のピークとなります。4年前に大台ヶ原から尾鷲道を辿って行きましたが、山頂から南の方を見てこのあとどのように道が続いて行くのだろうかと気になりました。
しかし大峯奥駈道や鈴鹿山脈主稜線の完結に時間がかかり、なかなかこの方面に気が回る余裕がありませんでした。昨年二つの大きな目標を達成したあと、マブシ嶺以南の尾鷲道を調べていたところ、たまたまYouTubeで分かりやすい情報を得ることが出来ました。
それは、水無峠を出発点として、地蔵峠から木組峠を越えてマブシ嶺に至るもので、道中での解説も詳しく、数回見ることによりルートの様子をかなり具体的に掴むことが出来ました。この情報を基にして、5月25日に尾鷲道の南部を歩いてマブシ嶺に登ることにしました。
今回も結構な距離を歩くことになりそうなので、少し贅沢をして前日は熊野のホテルに泊まりました。南奥駈道を歩くときによく利用したところです。前日の夜は8時すぎに寝床に入りました。あまり深い眠りではなかったが、そこそこの睡眠も取れて午前3時半ごろに起床、4時ごろにホテルを出発しました。
高速を走って海山ICまで行き、そこから国道42号、県道経由で目的の栃山林道に入って行きました。この時間に対向車に会うはずもなく順調に走って水無峠には午前5時に到着。軽く朝食を取ってから支度をして午前5時30分に水無峠を出発しました。


行 程

水無峠

地蔵峠登山口

又口辻

中ノ嶺

       木組峠⇔マブシ嶺

光山分岐

腰森谷登山口

地蔵峠登山口

水無峠

距離     : 23.6km
最大標高差:  671m
累積標高  :1,220m
    





天 候

快晴

 (日本気象協会tenki.jp : 過去天気)

山行記録

午前5時に水無峠に到着。
朝食を取り仕度をして午前5時30分に出発しました。





林道は水無峠から先は地道になる。
この先、ゲートまでの道路事情はよく分からないが、安全第一で水無峠からは徒歩で行きました。


左に台形のマブシ嶺が見えます。なかなか遠いです。
右奥には日出ヶ岳や正木嶺、堂倉岳の丸い穏やかなピークが並んでいます。


清五郎滝というところへの道の分岐点です。
覗き込んだら整備された道が結構急傾斜で下っていました。


林道を進んで行きます。
ゲートまでは3km弱なので40~50分くらいかかりそうです。
天気も良いし、日も長いのでゆっくり行きましょう。

峠から40分ほど歩いてそろそろゲートかなと思う頃に、
また清五郎滝への下降点がありました。この道は先ほどよりも緩い下りでした。


午前6時15分にゲート着。


ゲートから少し行ったところの眺め。
岩壁の向こうに見えるのは日出ヶ岳、正木嶺、堂倉山のトリオ。


林道を進んで行く。
前方の山腹に白いガードレールが見える。あそこを登って行けばそろそろ地蔵峠かな。


 
上の写真で見えたガードレールの先で海が見えました。
中央の木が邪魔ですが・・・。


 
林道が橡山から続く稜線を分断するところに写真の道標があったので寄って見ました。


お地蔵さんは少し急登したところの大木の基部に置かれていました。
ちょっと分かりにくかったが、”左こづ 右きくみ”と彫られているようです。木津と木組かな。
往時はこの稜線に沿って生活道があったのかも知れない。


林道に戻って進んで行きます。


木々の緑が綺麗です。


林道が再び稜線を分断した先が地蔵峠の登山口でした。
午前6時55分着。水無峠から1時間25分の林道歩きでした。


登山口には詳細な情報が記されていた。
私はここから又口辻までは赤色、又口辻から新木組峠までは青色、
そしてその先マブシ嶺までは再び赤色で進みます。


復路は木組峠上分岐から先は木組峠越道で腰森谷登山口まで下り、
そこから林道を歩いてここまで戻って来る一部周回ルートです。


少し休んでから午前7時10分に出発します。


初っ端は急登ですが、稜線に乗れば緩やかな登りとなります。


登山口から30分ほどで古和谷分岐に到着。
ここで尾鷲道と合流します。尾鷲道は写真の正面から登って来ます。


古和谷分岐から10分ほどで又口辻です。
ここで道は稜線ルート(直進)とトラバースルート(右)に分かれます。

トラバースルートが一般的のようですが、私はまわりの展望を期待して稜線ルートを行きます。
道標には松浦武四郎「丙戊前記」ルートも記されています。詳細は分かりませんが歴史があるのでしょう。
ただし、竜辻山以降は未整備だそうです。


それでは本日の核心部へ突入です。


登り始めてほどなく、左側の視界が開けました。
南側の山々ですが詳細は分かりません。竜辻山から続く稜線かな。


緩やかな登りが続きます。


開けたところに出ました。
振り向けば尾鷲方面が見えますが、山頂からの眺めと大差ないのでここでは省略。


午前8時15分に竜辻山。


 
松浦武四郎のルートはこの先、出口峠の方に向かうようです。
大台ヶ原から南下して来た台高主稜線は、ここから出口峠を経て高峰山方面に向かうのかも知れない。
もしそうなら、ここで台高主稜線に合流することになる。


 
山頂からは尾鷲方面が一望の下です。
中央左に便石山と天狗倉山が縦に並んでいるのが見えています。


竜辻山から下って行きます。青いテープが目印です。


 
見上げれば青空を背景にした緑の木々が綺麗です。


中ノ嶺との鞍部を通過。


下ったあとは登り返します。標高差は70mほど。


途中で遠くの名も知らぬ山が見えた


山頂直下に立つ枯れ果てた大木。
だが、その存在感はなお健在です。


午前8時50分に中ノ嶺。
狭い山頂からは大峰山脈が見えました。


中ノ嶺からは下る方向を間違わないようにする必要がある。
青いテープを見失わないように。


次のピークとの鞍部。


鞍部からの登り始めはロープを使う急登です。


途中で視界が開けて大峯南奥駈の山々が見えました。
左から笠捨山、地蔵岳、転法輪岳、涅槃岳、子守岳、奥守岳などが見えています。
眼下には坂本貯水池。


三番目のピークが目前です。


午前9時20分に到着。

古い山名板がありましたが文字が薄れて読めません。標高は1305mのようです。
ひょっとしたら台高稜線で1300mを越える最南端のピークかも。
そんなピークに名前がないのもおかしいと思って帰って調べると、細又谷ノ頭と書かれた資料があった。
細又谷とはこの山の西の谷の名で”ほそまただに”と読むらしい。


細又谷ノ頭から少し下ると突然開けたところに出ました。
これから向かうマブシ嶺までの稜線が一望です。この眺めを得ただけでも稜線ルートを来た甲斐がありました。
左遠くの台地は大台ヶ原。その右手前にマブシ嶺。マブシ嶺から左に下って右手前に続く稜線がこれから向かうところ。
少し下って中ノ峠。そこから右に盛り上がってP1245を経て下ったところが木組峠。その右に光山につづく尾根。
さらに中央右寄りの遥か彼方に加茂助谷ノ頭の尖峰が見えた。


大台ヶ原の左には大峰山脈が続く。


思いがけず眺めることが出来た加茂助谷ノ頭。


最高の眺めに気を良くして下り着いたところは新木組峠。核心部を無事通過して午前9時50分着。
ここで右からのトラバースルートと合流します。又口辻からここまで2時間近くかかりました。
予定以上に時間がかかり少し疲れたが稜線ルートを辿って良かったと思いました。


ここから先も稜線ルートとトラバースルートとに別れますが、
トラバースルートは高リスクとのことで、引き続いて稜線ルートを行きます。


しばらく登って行くと開けたところに出ました。


振り返れば先ほどまでいた細又谷ノ頭(右)と中ノ嶺が見えました。


その右遠くには大普賢岳から釈迦ヶ岳を経て南奥駈北部までの大峰山脈。


主稜線を辿って行きます。


このあたりの森もなかなか綺麗です。


稜線分岐に着きました。
直進すれば光山方面。帰りの道です。


 
左に折れると木組峠へ。


 
木組峠へ下って行きます。
ここの斜面は広く、赤いテープがなければ迷うところだろう。


 
午前10時20分に木組峠着。
何となくその名前に魅かれていた峠に来ることが出来ました。
もし時間的、体力的に問題がある場合はここで引き返そうと思っていましたが、
なんとかマブシ嶺まで行けそうです。


 
木組峠から緩く下って木組峠出会に着きました。
ここでトラバースルートと合流しますが、やはり相当荒れているルートのようでした。


ここからはしばらく稜線をトラバースして行きます。


大した起伏もなく淡々と進みます。


午前10時40分に中ノ峠。稜線が緩んで降りて来たところです。


尾鷲道の標識。達筆です。


 
午前11時5分に一本木。
これからのマブシ嶺の登りに備えてエネルギーを補給します。
この一本木付近は広い高原状の台地となっており木々の緑が綺麗なところだった。
紅葉の時もきっと素晴らしいに違いない。


 
一本木からしばらく行くといよいよ標高差200mほどのマブシ嶺への登りが始まる。


樹林帯を抜けると前方にマブシ嶺から地倉山へと続く稜線が見えました。


再び樹林帯に入ります。


そこを抜けると山頂は目の前に。


午前11時45分にマブシ嶺に着きました。水無峠から6時間余りかかりました。


 
何はともあれまず三角点に。
この前の時にあった多くの山名板はすっかりなくなっていました。


 
マブシ嶺の全体写真。
陽の光は燦燦と降り注いでいるが、冷たい風が吹いていて爽やかな山頂だった。


一休みのあとは山岳展望。
まずは西の正面に展開する大峰山脈。右の大普賢岳から左の笠捨山までが一望です。
手前の竜口尾根も負けじと頑張っています。
(画像をクリックすると拡大されます)


 
上の写真の左端の大峰転法輪岳の後ろに果無山脈が見えたのでその部分を望遠で。
右端に主峰の冷水山。


 
北には中央奥に大台ヶ原。その手前に雷峠。右に地倉山。


東には紀北方面の海岸線。


南東は尾鷲方面の眺め。
中央右寄りの濃い緑の山は橡山。左にずーっと下った鞍部が出発点の水無峠。遥々とやってきました。
(画像をクリックすると拡大されます)


 
南には辿ってきた稜線。
手前の低いところが中の峠。その後盛り上がってP1245。その向こうの鞍部が木組峠。
峠から登り返した稜線を右に行くと細又谷ノ頭、中ノ嶺、竜辻山のピークが大きく弧を描いて続く。
登り返した稜線を左に行くと復路に使う光山分岐から腰森谷への道がある。
(画像をクリックすると拡大されます)


 
大展望を堪能したところで、午前12時25分に下山を開始します。


 
登ってきた道を下って行きます。


 
一本木を通過。


続いて中ノ峠を通過。


午後1時20分。木組峠出会で一休み。


 
午後1時30分に木組峠に戻ってきました。


 
木組峠付近もきれいな森です。


 
木組峠から稜線に登って行きます。
今日最後の登りは疲れた体にはすこしきつかった。


稜線分岐まで来ました。
ここから光山方面に向かいます。


10分ほどで分岐が見えてきました。


分岐で最後のエネルギーを補給して午後2時5分に出発。


腰森谷へ下る道は思った以上によく整備された道だった。


要所要所に道標もあります。
この山域を安全に歩けるのは、絶え間なく整備し維持管理されているNTRCの方々のお陰です。


道中にはこのような歩きやすいところや・・・、


激下りなどもありました。


道標に従って尾根筋から離れて左折して行きます。


急斜面をつづら折りで下って行きます。


腰森谷まで下ってきました。


沢には下りずに水平にトラバースして行くと・・・。


栃山林道の終点に出ました。


振り返ると登山口の道標。


ここから地蔵峠を経て水無峠まで5.5km。最後の一頑張りです。


午後2時35分に登山口を出発して進んで行きます。
途中にはこのように斜面が崩れているところもある。


林道を進んで行きます。


20分ほどで地蔵峠が見えてきました。


午後3時に地蔵峠登山口に戻ってきました。
ここまで来れば一安心です。10分ほど休憩。


地蔵峠登山口から30分ほどでゲート着。


水無峠への途中で、朝とは感じの違った景色を眺める。鋸のようなギザギザ尾根が印象的です。
左遠くには日出ヶ岳、正木嶺、堂倉山。
(マウスポインターを画像に重ねると拡大されます)


黙々と歩きます。水無峠はもうすぐ。


最後に水無峠からの眺め。
マブシ嶺と日出ヶ岳方面を見納める。


水無峠には午後4時20分に戻ってきました。
今回も長距離、長時間の山行だったが、23kmを歩き通して無事戻って来ることが出来たのが何よりでした。
帰りは海山ICから往路を戻って午後8時に帰宅しました。



コースタイム
往 水無峠(5:30)-ゲート(6:15)-地蔵峠登山口(6:55-7:10)-古和谷分岐(7:40-7:45)-又口辻(7:55)
  -竜辻山(8:15-8:20)-中ノ嶺(8:50)-細又谷ノ頭(9:20)-新木組峠(9:50)-木組峠(10:20)
  -中ノ峠(10:40)-一本木(11:05-11:15)-マブシ嶺(11:45)
復 マブシ嶺(12:25)-一本木(12:40)-中ノ峠(13:05)-木組峠(13:30)-光山分岐(13:50-14:05)
  -腰森谷登山口(14:35)-地蔵峠登山口(15:00-15:10)-ゲート(15:40)-水無峠(16:20)


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