五僧峠・霊仙山
2022年(令和4年)11月6日

メ モ
久しぶりに南アルプスへ行った10月中旬以降長い間好天気が続いている。あまりにもいい天気が続くので、大台東部の加茂助谷ノ頭へ行ってから未だ10日も経っていないにもかかわらず、早くもあれこれと次の山歩きのことを考え始めた。
出来るだけ近場の山ということで出た結論は、鈴鹿主稜線北部の霊仙山から鞍掛峠までの未踏部分の踏破でした。しかしこの間を日帰りで歩くのは不可能なので、今回は五僧峠から霊仙山までを対象としました。
問題はどういうルートにするかですが、まず第一に、権現谷林道を五僧峠まで車で行くのは道路事情がよく分からないので避けるということから、出発点は妛原としました。なお、五僧峠には時山経由で車で行くこともできるが、名神高速か国道306号を通って大きく迂回して行く必要があるため不採用としました。
第二に、未知である主稜線部分を登りとすることから、妛原から権現谷林道を歩いて五僧峠まで行き、五僧峠から主稜線を辿って霊仙山を越え、西南尾根を下って妛原まで戻って来る反時計回りのルートをとることにしました。
11月6日の早朝3時半ごろに家を出発していつもの道を走り、途中で食料を調達しながら妛原の駐車地には午前5時半に到着した。今日は日曜日からなのか、先着の車が1台止まっておりちょうど出発されるところだった。私もすぐに仕度をして午前5時55分に出発しました。

行 程

妛原駐車地

五僧峠

P746

谷山

霊仙山

近江展望台

笹峠

今畑登山口

妛原駐車地


距離     : 23.8km
最大標高差:  862m
累積標高  : 1,447m
    
 
天 候

快晴

 (日本気象協会tenki.jp : 過去天気)

山行記録

午前5時55分に駐車地を出発。権現谷林道を歩いて行きます。
実は、今年の3月にも今回と同じ目的でこの道を五僧峠に向かったが、
記録的な豪雪の影響が残っており、道路は雪崩落ちた雪で寸断されていて元行者窟の先で引き返した経緯があった。
今回はその時のリベンジということにもなります。

この道を歩くのは今回で4度目になりますが、
このあたりには秘境の地に入って行くような雰囲気を毎回感じます。

上の写真の場所から少し先にある元行者窟です。

50分ほど歩いて白谷の出会いまで来ました。
白谷橋から振り返った急な斜面はリョウシへの登山口です。
もちろん一般道ではないので標識も何もありませんが、ここからリョウシ、コザトを経て霊仙山まで行くことが出来ます。
私も昨年福寿草を見るために登りました。取り付きは振り返るのも怖い急斜面です。

さらに歩いて保月からのアサハギ林道と合流します。
このまま権現谷林道を行くとこの先で五僧峠からの道と合流しますが、
かなり大回りな道となりますので時間の節約のためここからショートカットして行きます。

小さな涸れ沢に沿って緩く登って行きます。
踏み跡もあり特に問題はありません。

林道と合流して少し行くと五僧峠です。午前7時15分着。
説明板によると、ここは美濃と近江を結ぶ交通の要地で、
”島津越え”とも呼ばれる歴史のある峠です。

有名な鈴鹿山脈縦走の木板。
今日の予定を無事クリヤー出来れば、あと残るのは五僧峠と鞍掛峠の間のみとなります。
鈴鹿峠から油日岳までが抜けているが縦走の対象とならないのだろうか。

 
道路の向かい側が霊仙山への入口です。
7時25分発。

 
霊仙山まで4時間10分と書かれている。
私の足では+1時間位かなと思ったが、現実はそんな程度ではありませんでした。

登山口からすぐ急登になります。

少し登ると道は左の方へ巻いて行きます。
前方に鉄塔が見えてきましたが、そこまで行くとあと道はありませんでした。

おかしいなあと思って戻って行くと巻き道の始点で道が分岐しており、
主稜線の縦走路はそのまま登りが続いている。分岐の標識を見過ごしていました。

植林の中に入っても急登は続きます。

登山口から20分ほどで急な登りは終わります。

少し下ったあと登り返すとP656。
午前7時55分着。

自然林に囲まれた雰囲気のいいところです。
紅葉がなかなか綺麗。

ここからは左の尾根に入り込まないように注意して右の方へ下って行きます。

始めは緩やかな下りです。

しかし鞍部に近づくと傾斜はきつくなり、
最後の数十メートルは張られたロープを補助に使って慎重に下って行きます。

本日最初の難関を通過してP695との鞍部に着きました。
鞍部の標高は530mほどなので、ほぼ五僧峠の高さまで下って来たことになります。

鞍部からはP695へと登り返します。
始めはざらついた斜面の急登ですが短いので大きな問題はありません。下りの方が厳しいかも。
そのあとは普通の尾根道を登って行きます。

まわりの紅葉が綺麗です。

たのしくいこうと書かれています。
確かにこのあたりのような道が続けば楽しいです。

 
紅葉も綺麗ですし・・・。

 
勾配が緩んだ鞍部のようなところを過ぎると岩の急登となります。

登り詰めたあたりで大きな岩を左に巻く道があったので、
それを行くと左は急な斜面で落ちたら一巻の終りというようなところ。
必死で手がかり、足がかりを確保しながら通過しました。本日最大の難所でした。
(写真は通過してから撮ったものです)

 
尾根に戻って振り返って見ると道のようなものがある。
ロープも設置されており、どうやら大岩を直登するルートのようでした。
確認していないので何とも言えないが、巻き道よりもこちらの方が良かったかも。

直登ルートの岩の先端まで行ってみると絶景でした。
遠くに鈴ヶ岳や御池岳、頭陀ヶ平。左の双耳峰は三国岳かな。

午前8時50分にP695に到着。
五僧峠からここまでで何と1時間半近くも費やしてしまいました。

しかしP695から先は、距離はあるもののこれまでのような難所はないと思われますので、
紅葉を鑑賞しながらのんびりと行くことにします。

鞍部から次のP724への登りに差しかかると地面から紅葉が生えてきている。
始めは落ち葉かと思ったがそうではないようでした。初めて見ました。何なんでしょう。

頭上の黄葉も素敵です。

P724へ登って行きます。
右手は幼木を護るためのネットのようです。しばらく続きます。

植林を抜けて明るい自然林の稜線となりました。
今日歩く鈴鹿主稜線は、基本的に左側(西側)は植林で右側(東側)が自然林となっています。

午前9時20分にP724に到着。
ここから林道へ下る道があるようですが下り口は分かりませんでした。

P724から先は右手の紅葉を眺めながらのんびりと行きます。

P724から15分ほどで標高750mほどのピークに着く。まわりは樹林に囲まれて展望はなしです。
そこからは左に下って行きます。

P746に向かう途中で展望が開けるところがありました。
遠くに御池岳が見えます。右の樹林のピークは先ほどの750mピークと思われます。

 
上の写真と同じところの稜線の様子。
こういうところは歩いていて気持ちが良い。

 
午前9時50分にP746に到着。ここまで碌に休んでいないので腰を下ろして休憩しました。
なかなか雰囲気の良いところです。

 
P736手前。
左右の対照的な樹林の間を歩いて行きます。

午前10時35分にP736に到着です。
特に何もないところですが、ここからP794にかけての紅葉がとても綺麗でした。

紅葉(1)

紅葉(2)

紅葉(3)

紅葉(4)

   
紅葉(5)

紅葉(6)

P794へ緩く登って行きます。
P695からP794までの距離は4.5kmほどあるが、その間標高は100mほどしか上がっていない。
所要時間は2時間ほどでのんびりと歩けるところです。

午前11時10分にP794に到着。
紅葉した木々の間に見えるのはソノドです。

P794から少し急登して午前11時30分にP872に着きました。

P872の先にもやや急登があります。

登りついた900mほどの小ピークからP953にかけては展望が開けてきます。
小ピークからは左にソノド、中央遠くに烏帽子岳、その右に御池岳や鈴ヶ岳が見えます。

 
P953からは中部山岳方面の展望。
中央に恵那山。その左右には南アルプスの山々。(写真では分かりにくいと思いますが)

 
中央アルプス

 
御嶽山から左へ乗鞍岳と穂高・槍など。

伊吹山とその右後ろに能郷白山。
さらにその右遠くに加賀の白山も見えました。

谷山に登って行きます。

午前12時20分に谷山に到着。幾つものピークを越えてやっとです。
しかし特に何もないので先に進みます。

四丁横崖に向かって少し行くと霊仙山の展望が開けました。
左に最高点、中央左寄りに霊仙山、その右に経塚山が見えます。
経塚山の右手前の丸い丘の上に避難小屋がポツンと。

苔むした岩の間を下って行きます。

四丁横崖に到着です。
ここは柏原からの登山道と合流する地点で、実質的にはここで赤線が繋がったことになります。
漆ヶ滝方面は通行禁止のようです。

四丁横崖から避難小屋へ登って行きます。

 
振り返り見た谷山。

 
避難小屋の手前から谷山と登ってきた道を振り返る。
遠くには御嶽山などの中部山岳。

午前12時40分に避難小屋に到着しました。
ここで休憩して炭水化物を補給します。

 
午後1時に経塚山へ向かいます。

一登りで経塚山。
2010年の3月以来12年振りになります。

経塚山から辿ってきた道を見る。
ソノドの手前の緑の稜線が辿って来た鈴鹿主稜線です。
主稜線の左端に谷山。そこから左手前の避難小屋を通ってここまでやってきました。

 
経塚山から伊吹山方面を見る。

 
琵琶湖方面の眺め。
遠くの山は比良連峰。

 
霊仙山(右奥)に向かいます。左は最高点。
 
カレンフェルトの道を霊仙山へ。

手前のピークに到着。山頂に人影が見える。

午後1時25分に霊仙山に到着です。五僧峠から6時間かかりました。
ここも12年振りです。

 
まわりをザクっと眺めます。
これは伊吹山方面。

 
琵琶湖方面です。
遅くなったので滞在5分で下山を開始します。

 
その前に最高点に寄ります。

少し下って登り返すと・・・。

最高点です。ここには昨年の3月にリョウシ、コザト経由で来ています。

最高点からの眺め。
北の伊吹山から東の中部山岳方面です。手前には谷山や経塚山が見えます。
以下、中部山岳方面を望遠で。

南アルプス南部。
右から上河内岳、聖岳、赤石岳、荒川岳。左手前は恵那山。

南アルプス北部。
右から塩見岳、農鳥岳、間ノ岳、北岳。

中央アルプス

御嶽山

北アルプスの穂高・槍。すでに白くなっています。
左は笠ヶ岳。

笠ヶ岳の左に双六、三俣蓮華方面。中央左寄りに水晶岳と黒部五郎岳。
この時間にこれだけ見えればまずまずですね。

霊仙山と琵琶湖方面。
少し慌ただしかったが、風も強く少し寒いので午後1時50分に下山を始めます。
帰りは目の前に見える西南尾根を下って行きます。

西南尾根上部からは辿ってきた鈴鹿主稜線がよく見えます。
真ん中の緑の山並みが主稜線です。起伏が少ないことがよく分かります。
手前の自然林の稜線はリョウシ、コザトから続くものです。また主稜線の後ろの大きな山はソノドです。
このあたりは3つの稜線が並行しています。

上の写真の南(右)側です。遠くに御池岳方面の山々。
手前の稜線がリョウシから続くもの。大きな高まりはコザトです。
その上が鈴鹿主稜線。目だったピークはありませんがP746が見えています。

西南尾根を下って行きます。

西南尾根には大きな起伏はありませんが、岩がゴロゴロしていて歩きにくいです。

最高点方面を振り返る。左には霊仙山。

近江展望台付近からの眺め。
遠くは御池岳方面。左に烏帽子岳も見えます。
手前は稜線が入り混じっていて分かりにくいが、主稜線のP746やP695、P656が見えます。
(マウスポインターを画像に重ねると主要な山名が表示されます)

上の写真の右端付近の拡大です。五僧峠の上の鉄塔が見えています。
(マウスポインターを画像に重ねると主要な山名などが表示されます)

午後2時35分に近江展望台。

近江展望台からは岩の中の歩きにくい下りとなります。
右端の影となっている谷が今朝歩いてきた権現谷です。
リョウシの後ろにP656、P695が見えます。

高室山や鍋尻山を眺めながら下って行きます。

だいぶ下ってきて高室山が鍋尻山の後ろに隠れてしまいました。

急坂を下ったため足をガクガクさせながら
紅葉の林の中を緩く下って行きます。

午後3時15分に笹峠を通過。

西に傾いてきた日差しを受けながら下って行きます。

今畑に向かって休みなしにドンドン下って行きます。

なかなか綺麗な樹林帯です。

今畑の廃村まで下ってきました。登山口まであと少し。

午後3時55分に登山口に到着。
長かった五僧峠からの縦走もここでお終いです。

夕暮れの雰囲気が漂う林道を妛原の駐車地に向かいました。
途中で紅葉の鍋尻山を見上げる。

午後4時20分に妛原の駐車地に戻ってきました。
結局予定していたよりも1時間ほどの遅れでした。
これで鈴鹿主稜線の未踏区間は五僧峠と鞍掛峠の間のみとなりました。
柏原駅と柘植駅間の完全踏破は来年の楽しみとしておきます。


コースタイム
往 妛原駐車地(5:55)−五僧峠(7:15-7:25)−P695(8:50)−P746(9:50-10:00)−P794(11:10)−谷山(12:10)
   −避難小屋(12:40-13:00)−霊仙山(13:25)
復 霊仙山(13:30)−最高点(13:40-13:50)−近江展望台(14:35)−笹峠(15:15)−今畑登山口(15:55)
   −妛原駐車地(16:20)

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