爺ヶ岳
2020年(令和2年)11月17日

メ モ
新型コロナと夏の猛暑の影響で、今年はこれまで7月の北海道山行以外は近場の山に終始したため、秋も深まった11月に出来れば少し遠出して静かになった中部山岳の高山に登ってみたいと思った。この時期、南北アルプスや八ヶ岳などで日帰りで登ることができる山は限られるが、その中で最終的に決めたのが北アルプスの爺ヶ岳だった。
この夏は猛暑だったのにもかかわらず、10月になって北アルプスなどの高山には降雪があり、そのまま本格的な冬山になってしまうのかと思ったが、11月の中旬になって高温の日が続くようになり、高山に降り積もった雪も大方は溶けてしまったようだった。半ばあきらめていた爺ヶ岳だったが、今年最後の機会を逃さないように仕事の都合や天気の様子を考えて17日に決行することにしました。
爺ヶ岳は北アルプスの山々の中で最初に登った山だった。今から49年前の夏に扇沢から柏原新道を登り、鹿島槍ヶ岳や五竜岳を越えて、唐松岳から八方尾根を下った2泊3日の単独行だった。山登りを初めて2年目のことで、右も左もわからずに闇雲に歩いた時期だった。
爺ヶ岳には21年前に1泊2日で鹿島槍ヶ岳を目指した時にも登っているが、その時はあいにくの天気で山頂からの展望は得られなかった。今回は3度目で初めての日帰り登山となる。このところ出張続きで少し疲れがたまっており、夜行日帰りは少しきついかなとも思ったが、何とか頑張ろうと16日に帰宅してから支度をして午後10時に家を出発しました。
第二京阪を進んで行く途中で京滋バイパスが工事通行止めとなっているのを知って少し慌てたが、久御山から大山崎を迂回して名神に入り事なきを得た。少し遅れたがその後小牧から中央道を走って小黒川PAで1時間ほど仮眠した。安曇野ICを出たのは17日の午前4時頃。途中で食料を買い出しし、大町で朝食を取って扇沢手前の柏原新道の登山口に着いたのは午前5時半だった。

行 程

柏原新道登山口
↓↑
ケルン
↓↑
石畳
↓↑
ガラバ
↓↑
種池山荘
↓↑
爺ヶ岳南峰

距離     : 12.5km
最大標高差: 1,310m
累積標高  : 1,310m
    
 
天 候

快晴

 (日本気象協会tenki.jp : 過去天気)

山行記録

17日の午前5時半に登山口の駐車場に着く。車が3台ほど止まっていたが人の気配はしなかった。
少し休憩してから支度を始める。その間に何台かの車が到着していた。
明るくなってきた6時20分に出発。

扇沢に架かるトラス橋。塗装が少し傷んでいるが49年前と変わらない。
遠くに見える赤沢岳も同じだ。
(マウスポインターを画像に重ねると49年前の写真)

爺ヶ岳登山口。標高は1350m。
登山届を書こうとしたが備えてあった鉛筆はすべて芯が出ていなくてダメ。
持参の筆記用具で作成し、ポストに入れてから出発した。

すぐにつづら折りの道となる。
整然と石が並べられた道は歩きやすい。

はじめのうちは尾根筋直下の西側斜面を登って行く。

 
根っ子が犇めく道。
尾根を乗り越えて東側の斜面に移る。

 
晴れてはいるが遠くは少し霞んでいるようです。

午前7時ちょうどに八ッ見ベンチ。標高は1600mを越えている。
八ッ見とはどういう意味なのだろう。八ヶ岳でも見えるのかな。

八ッ見ベンチから先は日の差さない西側斜面の道になります。

ガレた斜面を横切って行く。
前方に見えるのは岩小屋沢岳。

ガレた斜面を慎重に横切るとケルンに着く。午前7時30分。
昭和45年5月4日と書かれている。

ケルンの近くからの眺め。
(蓮華岳、針ノ木岳、スバリ岳、赤沢岳、鳴沢岳)

蓮華岳

針ノ木岳とスバリ岳
岩小屋沢岳

ケルンを過ぎると道は断続的に雪に覆われてきた。
真ん中あたりの踏み固められたところは氷化しており滑るので、両側の雪の部分を歩きます。

午前8時半に一枚岩を通過。
ただし、どれが一枚岩かは分からず。

一枚岩付近から見た種池小屋。
ケルン近くで見えたときは遠かった小屋もだいぶ近づいてきた感じがする。
右に雪が残った問題のガラバが見えます。そこから左上に道が続いている。

雪道は続きます。
今日は万が一のことを考えてチェーンスパイクとアイゼンを持ってきたが、今のところ登りでは使うほどのことはなさそう。

午前9時5分に石畳を通過。
石畳はガラバと小屋直下以外では唯一記憶に残るところだった。

 
 石畳を過ぎてしばらく行くと明るい道となり登りも緩やかになる。
ホッと一息といった感じです。

稜線が近くなってきた分、小屋が見えなくなりました。

午前9時20分に石ベンチ。ここは国土地理院地図に示されるP.2218付近です。
座って暫し休憩します。

 
石ベンチから少しで小さい沢を通過。
ここは特に問題なし。

沢を過ぎて緩やかに登って行きます。

 
いよいよ本ルート中最大の危険個所、ガラバです。
まずは桟道に積もった雪の上を歩いて行きます。

そのあとはガレた急斜面に付けられた幅の狭い道を行きます。
今日は殆ど雪がなくなっているので良かったです。

雪に覆われた沢を横切り、急斜面を横切って行きます。
このあたりで積雪が増えると柏原新道は通行が難しくなるでしょう。

危険個所を通過して気が緩んでしまったのか、あるいは睡眠不足や疲れが出て来たのか、
この後の小屋までの登りが大変つらかった。

夏ならいろいろな花に囲まれる小屋直下の道を休み休み登って行きます。

午前10時35分に種池小屋に辿り着く。
あまりのしんどさに小屋の前で座り込んでしまった。

小屋の前でしばらく休み、少しエネルギーを補給して何とか疲れが回復してきたところで
ようやく周りの景色を眺めることができた。
これまで見上げてきた蓮華岳、針ノ木岳、岩小屋沢岳などが目の前に・・・。

左手には登ってきた尾根とその遥か彼方に八ヶ岳、富士山、南アルプスなどの山々。
残念ながら春のように少々霞んではいますが・・・。

15分ほど休んでから爺ヶ岳に向かいます。

 
小屋からは200mほどの登りです。
焦らずにゆっくりと登って行きます。

途中で振り返ると待望の立山と剱岳の大観が・・・。右端には毛勝山も見えます。
(画像をクリックすると拡大されます)

素晴らしい眺めに元気づけられて頂上を目指して行く。

午前11時55分に予定より30分ほど遅れて爺ヶ岳南峰に到着。

 
山頂道標と立山と剱岳。

 
山頂全景。貸し切りです。
休む間もなく山岳展望の開始。

まず南から西にかけては左の蓮華岳から右の剱岳までの山々。
ここをクリックすると拡大されます)

南側には折り重なる北アルプスの峰々と八ヶ岳、富士山、南・中央アルプス。
(画像をクリックすると拡大されます)

 
主要な山を望遠で。
まず最初に針ノ木岳。左奥は赤牛、水晶方面。
以下左へ。

 
蓮華岳。

 
遠くに槍・穂高。
 
大天井岳と常念岳。
大天井岳の手前には燕岳。

 針ノ木岳から右へ。
遠くに薬師岳。

立山と真砂岳、別山。
(画像をクリックすると拡大されます)

 
剱岳。
(画像をクリックすると拡大されます)

 
そして毛勝山(右端)。

 
北には鹿島槍ヶ岳。

 
爺ヶ岳中峰と北峰。
体力的、時間的に割愛します。

 
鹿島槍ヶ岳。

 
遠くには雨飾山と左に鬼ヶ面山や駒ヶ岳など。

 
北峰の彼方に焼山と火打山。
流石に白くなっている。

 
南東には八ヶ岳や富士山。

 
さらにその右の彼方に南アルプス。

 
最後に富士山を望遠で。

 
大展望を堪能して午前12時30分に爺ヶ岳にお別れをして立山、剣を眺めながら下山します。

 
種池小屋と立山、剱。

 
爺ヶ岳を振り返る。

 
下りは早く、種池小屋着午後1時。
そのまま扇沢へ下って行きます。

 
登りが辛かった道も下りは軽やかに・・・。

 
しかしガラバは慎重に・・・。

 
この道を雪が閉ざすのも時間の問題だろう。

 
帰路は氷化していた雪も融け始めており、結局アイゼン類は使用せずだった。

 
途中、標高2000m付近から種池小屋を振り返る。

 
扇沢が近づいてきました。

 
午後3時15分にケルンを通過。

 
午後4時5分に登山口に戻ってきました。
もちろん車は私の一台のみ。
季節外れの高温で登山道の雪も融けた束の間の機会を狙った晩秋の爺ヶ岳行でした。

 
下山した日は松本で1泊した。
翌日も登山に適した日だったが、疲労感が大きかったため平湯経由でゆっくりと帰ることにした。
始めは島々の集落にある徳本峠の登山口に寄った。
いつかは歩いてみたいと思ってから何年が経つだろう。

 
次は沢渡のバスセンター。
シーズンが終わって建物は閉鎖されており人の気配なし。
この寂寥感が何とも言えない。

 
中ノ湯から平湯トンネルを抜けて平湯へ。
去年の暮れに福地山に登った時以来のところ。平湯バスセンターの彼方に笠ヶ岳が高々と聳えていた。
帰りは高山経由で東海北陸道を走って帰宅は午後5時前だった。


コースタイム
往 登山口(6:20)−ケルン(7:35)−石畳(9:05)−ガラバ(9:50)−種池小屋(10:35-10:50)−爺ヶ岳(11:55)
復 爺ヶ岳(12:30)−種池小屋(13:00)−ガラバ(13:25)−石畳(14:15)−ケルン(15:15)−登山口(16:05)    

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