南奥駈道(前鬼~地蔵岳)
2018年(平成30年)11月3日


メ モ
大峰奥駈道のうち釈迦ヶ岳の南の太古ノ辻以南は南奥駈道と呼ばれているが、この南の部分にはまだ足を踏み入れたことがありません。そこでこの休日にとりあえず日帰りでどの部分かを歩いてみようということで計画してみたが、結論としては前鬼から地蔵岳を往復するルートを選びました。
前鬼には、10年以上も前のことになるが太古ノ辻を経て釈迦ヶ岳に登るために過去2度行ったことがあり、ある程地理的なことも分かっているつもりなのが決め手でした。南の笠捨山方面も考えたが、自宅からは遠くこの季節で日帰りもきつそうなので次回以降、日照時間の長い時期にまわすことにしました。
しかし、前鬼も自宅からは130kmほどで結構遠く、およそ3時間ほどかかるため午前2時には家を出る必要があったが、少し寝過ごして出発したのは午前2時45分だった。暗い夜道を走り続けて前鬼の手前にある駐車場に着いたのは午前5時40分。少し休んでから支度をして午前6時25分に登山口の前鬼に向かいました。


行 程

駐車地

前鬼(第29靡)
↓↑
二ツ岩(第33靡)
↓↑
太古ノ辻
↓↑
蘇獏岳(第32靡)
↓↑
石楠花岳
↓↑
天狗山

奥守岳(第27靡)

嫁越峠

地蔵岳(第26靡)


距離     : 23.1km
最大標高差: 916m
累積標高  :1,386m





天 候

晴れ時々曇り 
(日本気象協会tenki.jp : 過去天気) 

山行記録

午前6時25分に登山口の駐車場を出発。
前鬼川の支流を渡って行く。

少し行くとゲートがあり、一般車は進入禁止となっている。

進入禁止の鎖をまたいで車道を進んで行く。
緩い登りが続く車道は苦手で、前鬼ルートの中でももっとも嫌なところです。

旬の紅葉を眺めながら歩いて行くこと30分ほどで前鬼に到着。第29靡です。
10年前と変わらない雰囲気です。

階段を登り、宿泊所の前をとおって登山口に向かうところでちょうど朝日が差してきた。
きれいな空だった。この時は今日もいい天気に違いないと思ったのだが・・・。

石畳の道を緩く登って行く。

正面に五鬼熊の住居跡があった。
昔は5軒の宿坊があったらしいが今は五鬼助(小仲坊)の1軒のみです。

住居跡の前で左に折れて石垣に沿って進んで行きます。

大きな杉が立ち並ぶ中を黒谷の源流に沿って緩く登って行きます。

途中、涸れた白い沢を2度渡る。

沢を渡ってからは登りも急になってくる。
まだ日が差さない静かな渓の中の岩の道を黙々と登って行きます。

前鬼から1時間ほどでこのルートの名物?の階段に着きました。
853段の木製の階段が太古ノ辻直下まで断続的に現れます。

100段ごとに段数が書かれている。

 
400段を過ぎたころに大岩が見えてきました。
ここまで来ると二ツ岩は近いです。

 
俱利伽羅岩の手前に閼伽坂尾根の分岐がありました。

 
俱利伽羅岩を過ぎるとほどなくセイタカ童士とコンガラ童士の二ツ岩に着く。第33靡です。
午前8時半。ここで少し休憩します。

 
二ツ岩の後ろに回って五百羅漢を眺める。
釈迦ヶ岳や孔雀岳の稜線付近には雲がかかっていた。これからの天気の具合が気になります。

 
二ツ岩から先はしばらく巻き道が続く。
途中に斜面が崩れたところなどがあり足元に気をつけて行きます。油断は大敵です。

 
小さな登り下りもあります。

 
涸れた沢に出ると巻き道もお終いで、左手の急な斜面を登って行きます。

 
急登の途中には何箇所か階段がありますが、これが最後のものです。
特に何も書かれていませんでしたが・・・。

 
笹の中の道を急登して行くうちに稜線が見えてきました。
太古ノ辻は近い。

午前9時25分に太古ノ辻に到着。駐車場から3時間かかりました。
10年前では2時間半だった。寄る年波か・・・。

ここでは頭上に大日岳が迫ってきています。

10分ほど休憩してからいよいよ南奥駈道に入って行きます。
未知の領域への期待感と不安感が交差する。

背くらべ岩の横をとおって進んで行きます。
背くらべ岩は二ツ岩とも呼ばれ、これが第33靡とする説もあるようだが、
先ほどのセイタカ童士とコンガラ童士の二ツ岩とどちらが正解なのだろう。

 
太古ノ辻から笹の中の道を一登りで午前9時45分に蘇獏岳に到着。
頂上には仙人石舞台と呼ばれる大岩が並んでいます。

 
頂上には木が生い茂っているため舞台という感じはしません。

 
蘇獏岳山頂。第32靡です。

 
振り返って釈迦ヶ岳。手前に大日岳も見えます。
木々の枝が邪魔をして見通しはあまりよくなかった。

短時間で蘇獏岳山頂を発ち天狗山に向かいます。蘇獏岳の下りからは行く手の山々がよく見えた。
手前に石楠花岳、その右向こうにいくつかのピークがある天狗山。
左遠くに目的地の地蔵岳。そのさらに左遠くに笠捨山。

右に地蔵岳と笠捨山。
左の谷には北山川が流れ、国道169号が通る。
遠くの山並みの向こうには熊野灘が広がっているはずです。
(画像の上にマウスポインターを置くと拡大されます)

蘇獏岳を下って鞍部を過ぎ、緩く登って行くと左に石楠花岳と書かれた道標があった。
寄ってみます。

薄い踏み跡を辿って登って行くと石楠花岳の山頂に出ました。
午前10時10分着。

石楠花岳山頂は特にどおってことはないところだった。
そのまま稜線を辿って天狗山に向かいます。

鞍部で奥駈道に合流して進んで行きます。

 
途中、石楠花に覆われた小さなピークを通過。
石楠花の道を抜けると奥駈道らしいところに出ました。

 
天狗山に向かって登って行きます。

天狗山には小さな3つのピークがあり、これは最初(北側)のピークからの眺めです。
先ほど辿ってきた蘇獏岳、石楠花岳が見えます。蘇獏岳の左には大日岳、釈迦ヶ岳、孔雀岳が続く。
雲が湧いてきて先行きが気になります。

途中の小さなピークを越えて天狗山に向かいます。

天狗山の三角点は3つのピークのうちの南側のピークにあります。

午前10時40分に天狗山に到着。

新宮山彦ぐるーぷの山名板。
釈迦ヶ岳を振り返り見たが山頂部は雲に覆われていた。
すっきりした展望は帰途に期待することにして、少し休んでから奥守岳に向かう。

 
右に見える奥守岳に向かって笹原の道を下って行きます。
奥守岳の左向こうには目指す地蔵岳、その彼方に笠捨山、奥守岳の背後には多くのピークを持つ八人山が見えます。
空は厚い雲に覆われてきています。

しかし、西の奥高野の方はよく晴れているように見える。

上の写真を少し拡大。
護摩壇山や伯母子岳が見えているのかも知れないが、よく分かりません。

地蔵岳の山頂部を拡大。右に笠捨山が見えます。
地蔵岳の山頂は平坦なピークの一番奥の高まりのようです。

奥守岳に登って行きます。

午前11時10分に第27靡の奥守岳に着きました。
地蔵岳方面から登ってくるときは天狗山の前山的存在のようです。

あまり眺めもないので先に進みます。
嫁越峠に下る途中からの地蔵岳。奥駈道に出てから今日一の下りと登りです。

右手には八人山。

 
午前11時30分に嫁越峠に到着です。
十津川と下北山とを繋ぐ峠。このような人里離れた峠を越えてお嫁入りをしたのでしょうか。

 
嫁越峠からの地蔵岳。

 
峠で一息入れてから地蔵岳に向かいます。
笹の中の急登が続きます。

 
標高差百数十㍍を15分ほどで登って小さなピークを超えると
広大な笹原が広がっていた。

 
天狗の稽古場というところです。
なぜ天狗山ではなく地蔵岳にあるのだろう。

 
天狗の稽古場を過ぎて緩い起伏の道を進んで行きます。

 
午前11時50分に第26靡の地蔵岳に着きました。
今日の折り返し点です。

 
地蔵岳は子守岳とも呼ばれています。

休む間もなく少し先に行って南の方を眺めます。
左に涅槃岳と笠捨山が見えます。右には近くになった八人山が多くのピークを連ねています。

 
涅槃岳と笠捨山。
来年の春か秋に行こう。

 
八人山。中、下、奥、西、南などがある。
興味が引かれるが、あまり一般向きではないようです。

 
20分ほど休憩してから戻ることにした。
山頂から緩く下っていく途中で釈迦ヶ岳と孔雀岳が見えてきました。
どうやら雲も取れたようです。

 
天狗の稽古場です。開放的で雰囲気の良いところです。
日差しがないのが少々残念ですが。

 
天狗の稽古場から見た東の方の眺め。
幾重にも山並みが続いています。

 
その中で一際目立つのは大台ヶ原です。

 
嫁越峠へ下る途中から見た天狗山。
今日歩いた稜線上の最高地点。なので登り返しがきつそうです。

 
嫁越峠に戻ってきました。
一息入れてから200㍍ほどの登り返しです。まずは奥守岳へ。

 
登る途中で十津川へと続く谷を眺める。
峠から花瀬へ下る道があるようだが悪路と書かれていた。

 
帰路の登り返しは気分的にもしんどい。
ようやく奥守岳山頂に近づきました。

 
午後1時5分に奥守岳に着きました。

奥守岳からの南の眺め。地蔵岳、涅槃岳、笠捨山が見えます。

北には釈迦ヶ岳。

天狗山に向かって戻って行く。

鞍部付近からの天狗山。

 
終わりかけの紅葉。

 
何とか天狗山に戻ってきました。

午後1時半に天狗山に着く。
ここで休憩がてら炭水化物を補給。

 
山頂からは何とか釈迦ヶ岳と孔雀岳を見ることができました。

 
天狗山で15分ほど休んでから太古ノ辻に向かう。
天狗山の北のピークから眺めた釈迦ヶ岳と孔雀岳。
その手前に大日岳や日に照らされた蘇獏岳、石楠花岳も見えます。

 
石楠花岳へと続く稜線を戻って行きます。

 
石楠花岳は巻いて行きました。
蘇獏岳との鞍部付近からの南東方面の眺め。山また山です。

 
目の前に蘇獏岳が立ちはだかる。今日最後の登りです。
蘇獏岳は今日歩いた稜線上では天狗山に次ぐ高さの山です。侮ってはいけない。

 
蘇獏岳へ登り返す途中で石楠花岳、天狗山、地蔵岳を振り返る。
初めての南奥駈道だったが、道中は静寂に包まれ、北奥駈道とはまた違った雰囲気がした。
来年はさらに南の方を訪れよう。

 
 蘇獏岳の山頂近くになってからは小刻みの起伏があり、疲れた体にはちょっときつかったが、
午後2時半に戻って来ることができました。

 
 蘇獏岳から下る途中で大日岳と孔雀岳が見えました。

 
 午後の日差しの中の大日岳。

 
 孔雀岳と五百羅漢。
本日最後の大観でした。

 
 午後2時40分に太古ノ辻に戻ってきました。
一休みして50分に出発。

 
 蘇獏岳を振り返ってお別れをします。

 
稜線直下からの大台ヶ原方面の眺め。

 
前鬼に向かって下って行きます。
午後3時近くになって夕刻の雰囲気がしてきました。

 
下る途中で見た紅葉。

 
巻き道での紅葉。
登って来るときは気がつかなかった紅葉です。

 
午後3時25分に二ツ岩を通過。

 
階段をドンドン下って行きます。
途中で登ってくる二人パーティとすれ違いました。深仙ノ宿にでも泊まるのかな。
ちなみに、今日出会ったのは他に稜線で南に向かう三人パーティと帰途太古ノ辻で南に向かった単独行の方のみだった。

 
鮮やかな色づきだったので写真を撮りました。

 
午後4時半に前鬼に戻る。

 
ちょうど今日最後の日の光が遠くの山を照らしているところだった。

 
前鬼まで戻ってきてホッと一息ついてから車道を歩いて駐車場まで行く。

 
午後4時55分。何とか暗くなる前に無事駐車場に戻ってきました。
かくして初めての大峰山南奥駈道行は無事終了しました。
夜道を走って帰宅は午後8時半ごろだった。



コースタイム
往  駐車地(6:25)-前鬼(6:55)-二ツ岩(8:30-8:40)-太古の辻(9:25-9:35)-天狗山(10:40-10;50)-地蔵岳(11:50)
復  地蔵岳(12:10)-天狗山(13:30-13:45)-太古の辻(14:40-14:45)-二ツ岩(15:25)-前鬼(16:30)-駐車地(16:55)

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