緑岳・白雲岳
2017年(平成29年)7月8日

メ モ
私が始めて北海道の山に登ったのは16年前の夏のことでした。3日間かけて旭岳からトムラウシ山まで縦走し、その雄大な景観と稜線に咲く花々にいたく感動したものでした。しかし重い荷を背負っての縦走はなかなか厳しく、縦走路から外れた白雲岳や化雲岳の山頂を踏む余裕はなかったのでした。
その後、これらの登り残した山々に行ってみたいという気はあったものの、大雪山の中でも比較的奥深いところにあるため日帰りではなかなか難しく、さらに他に登りたい山が多々あったために、これまで実現できずにいました。
登り残した山のうちの白雲岳は、今回改めて調べてみると高根ヶ原の東にある高原温泉から緑岳経由で何とか日帰りで行けそうということが分かり
、天塩岳と合わせて今年の目的の山としました。登山口にある大雪高原山荘の予約を取ることが出来たことも行程上大いに助かりました。
前日天塩岳に登ったあと愛別まで戻り、愛別から旭川紋別道と国道39号を走って大雪ダムまで行き、そこから国道273号に入った。その後高原大橋の手前で国道273号と別れて石狩川に沿って林道を進んで行った。この林道は途中で沼ノ原方面に行く道と分かれてヤンベタップ川沿いに高原温泉まで続いている。沼ノ原方面の道は通行止めとなっていた。天塩岳のときと同じような未舗装の道を砂埃を舞い上げながら約10km走って大雪高原山荘には午後5時前に到着。天塩岳登山口から約3時間かかった。
案内された部屋は2階の”忠別”。窓からは忠別岳のような山が見えたが、ここは深い盆地のようなところなので主稜線上の山はまったく見えないとのことだった。温泉に浸かってさっぱりしたところで6時から夕食を戴き、そのあとまた温泉に入ってから明日の支度をして午後8時に電気を消して就寝しました。
目を覚まして起きたのは8日の午前4時前。すでに空は明るくなってきており、窓からは朝日に染まる山が見えた。今日も天気はよさそうで素晴らしい1日となるに違いない。荷物を持って車まで行き、靴を履き替え、入山届けをして午前4時半に出発した。


行 程


高原温泉

第一、二花畑

緑岳

小泉岳

白雲岳

白雲岳避難小屋

緑岳

第二、一花畑

高原温泉


距離     :16.2km
最大標高差: 997m
累積標高  :1,130m
  





天 候

晴れ
 (日本気象協会tenki.jp : 過去天気)

山行記録

 午前4時ごろ、モルゲンロートに染まる大雪の山々。
昨夕、宿の方が”明日は素晴らしい日になる”と言われていたが、本当にそのようになってほしいものです。


 
管理事務所の入山簿に記入して午前4時半に出発。


 
 はじめは硫黄の匂いが漂う遊歩道のような道を行く。
行く手には雪を残した稜線が見える。


 
 階段を登ると緑岳登山口。


 
 昨日とは違っていきなり階段が続いて高度を上げてゆく。
昨日は比較的よく寝ることが出来て疲れも取れ、体調はよさそうです。


樹林の中の道だが途中で振り返ると大雪の一部が見えた。
気分が高揚します。


 
 白樺の立ち並ぶ道を登る。


 
登山口から30分ほどで見晴台に到着。


見晴台からの眺め。
ここは標高1400mほどなのでまだ高根ヶ原よりも低く主稜線上の山々は見えていない。


 
見晴台からも階段は続く。


振り返ると音更山、石狩岳、二ペソツ山などの東大雪の山々が・・・。


午前5時20分に第一花畑に到着。しかし今はお花畑は雪に覆われている。
前方には雪を残した緑岳から小泉岳にかけての山々。


 
 第一花畑上部から東大雪方面を振り返る。


第二花畑もまだ雪の下。
前方には先行者1名と私を追い越していった方2名がいます。3人とも女性の単独行者でした。



第二花畑上部から第一花畑と東大雪を振り返る。
第一、第二とも雪の斜面は緩やかで歩行には全く支障なかった。



第二花畑のあとも残雪が続くが、しばらく行くと左手に岩壁が立ちはだかる。
道はそこをよじ登って続く。時刻は午前6時。登山口から1時間半のところ。



 
岩の急登は少しで、そのあとは背の高いハイマツの間を通って行く。
暗いハイマツの道を抜けると・・・。


残雪の稜線が目の前に。


少し進むと小広い休憩適地。
時刻は午前6時20分。ここで少し休憩します。


起伏の少ない道もここまで。いよいよ緑岳への急登が始まります。
ここの標高は約1700m。2020mの緑岳頂上まで300mほどの登りです。
午前6時25分に出発。


登り甲斐がありそう。


ゴロゴロした岩の道は歩きにくいところもあるが、つづら折につけられているのでそれほどの傾斜でもない。
一定のペースでゆっくりと着実に登って行きます。


振り返れば登ってきた第一、第二花畑の残雪とその彼方に東大雪の山々。


その右には高根ヶ原から続く忠別岳やトムラウシ山などの大雪南部の山々が見えてきました。


登ってきた道を見下ろします。
中央上の緑が剥げたところが先ほど休憩したところです。


 
登り続けること1時間。傾斜も緩くなり頂上が目前に。


 
 午前7時25分に緑岳山頂に到着。
しかし風が強く帽子が飛ばされそうになる。ケルンで風を避けて一休みです。


強風の中で山岳展望を開始。
登ってきた方向(南)には高根ヶ原から続く大雪南部の山々。


忠別岳、五色岳、トムラウシ山など16年前にその山頂を極めた山々。
そしてテントを担いで歩いた道。
(画像の上にマウスポインターを置くと拡大されます)


左には東大雪の山々。
この方面は今のところ二ペソツ山しか登っていない。
手前には第一、第二花畑の残雪が並んでいる。


西には左遠くに旭岳と右手前に今日の目的地の白雲岳。


北には小泉岳へとなだらかな稜線が続く


10分ほど休憩してから先に進む。
次の小ピークから振り返り見た緑岳。



小ピークからこれから行く稜線を見る。
小泉岳は見えていない。


小ピークから下った鞍部は板垣新道との分岐点。
小さく見えている避難小屋へはここから直接行ける。帰りはこの道を戻ってくる予定です。
(画像の上にマウスポインターを置くと拡大されます)


お花畑(1)
この鞍部から小泉岳にかけて道の両側にお花畑が続きます。


名も知らない花を見ながら緩やかに登って行く。
ただし風は相変わらず強い。


お花畑(2)


お花畑(3)


花を見ながらP2099を越えると小泉岳が現れてきました。
お花畑はこれから先がピークでした。


お花畑(4)
厳しい自然環境の中で強風にもめげず咲いている花々を見ていると、
可憐と言うよりもその生命力の力強さを感じます。


お花畑(5)
日常の生活環境の中で咲く花々よりもこのような高山の厳しい自然環境の中に咲く花々をより愛おしく思えるのは、
この力強い生命力を感じるからではないかと思います。


お花畑(6)
小泉岳に近づくとお花畑もおしまいです。


広大な空間の中を小泉岳に向かって行きます。


午前8時35分に小泉岳に到着。


山頂とは思えない景色です。


山頂から少し先に行くと銀泉台からの道と合流します。
写真はその合流点から山頂を振り返り見たもの。


最終目的地の白雲岳に向かう。


 
 緩く下って大雪山縦走路に出る。


 
 大雪山縦走路。
避難小屋から高根ヶ原方面へ続く16年前に歩いた道。


こちらは北海岳(左端のなだらかな山頂)方面。
16年前はあの北海岳を越えてここまでやってきたのだった。


しばし16年前の感慨に耽てから白雲岳に向かう。


白雲岳のまわりには、少ないながらも既知の花々が咲いていた。
ハクサンイチゲ


 
キバナシャクナゲ


エゾノツガザクラ


最終目的地まであと少し。


頂上直下の残雪を登ります。


 
午前9時25分に白雲岳山頂に到着。およそ5時間の道程でした。


早速山岳展望を開始。
まず第一に旭岳方面の眺め。この時期にしか見られない残雪の縞模様が印象的です。
(画像をクリックすると拡大されます)


縞模様の右手遠くには安足間岳、比布岳、旭岳に次ぐ標高の北鎮岳、凌雲岳。
北鎮岳の手前には北海岳などお鉢平を囲む山々。


南には大雪南部の山々。
霞んでいるが右に十勝連峰も見える。


トムラウシ山を望遠で。


十勝連峰を望遠で。
中央に美瑛岳と十勝岳、右に富良野岳。


東大雪の山々。
手前に緑岳も見えます。


 
 宿で朝食代わりに作ってもらったお弁当を戴いてから、いくら見ても尽きない眺めともお別れです。
午前10時に帰途につきました。


下山途中で見た凌雲岳、黒岳、烏帽子岳などの山々。
烏帽子岳の彼方に見えるのはニセイカウシュッペ山。
(画像の上にマウスポインターを置くと拡大されます)


白雲岳を下って行く。


 
縦走路に戻る。遠くは小泉岳。


 
 帰りは白雲岳避難小屋経由です。16年前に歩いた道を行きます。


途中、ところどころでに花が咲いていたが、数はそれほど多くなかった。


白雲岳避難小屋が見えました。
その向こうには遥かなるトムラウシ。
(画像の上にマウスポインターを置くと拡大されます)


懐かしいテントサイトです。


小屋の前で少し休憩してから緑岳に向かいます。


前方になだらかな緑岳。
これから板垣新道を行きます。


残雪の上を歩いて行きます。


振り返り見た白雲岳。
旭岳、北鎮岳に次ぐ北海道三番目の標高を有する堂々とした山容です。


登山道に咲くハクサンイチゲ。


 
 100mほど登り返して稜線鞍部に到着。


 
 白雲岳を振り返る。


鞍部から小泉岳(見えていない)方面を眺める。


小ピークを越えて緑岳に向かう。


午前11時50分に緑岳に戻ってきました。
雄大な景色ともここでお別れです。


大雪山を脳裏に焼き付けて下って行きます。


やはり下りは楽です。
眼下の緑の台地の中に歩いてきた道が見える。


第二花畑を下って行きます。


第一花畑は途中から木道を歩く。


第一花畑から緑岳を振り返る。


見晴台からの眺め。


 
登山口に戻ってきました。


 
 午後2時ちょうどに高原温泉に戻る。
入山簿に下山時刻を記入してから車に戻り、着替えをして午後2時半に新千歳に向かった。



登山道脇の花々
往路を戻り、上川層雲峡ICから岩見沢ICまで高速を走って新千歳に着いたのは午後7時前だった。
かくして、今年の北海道山行を予定通り無事終えることが出来ました。
8日はレンタカーを返却したあと千歳で泊まり、翌日午前11時発の飛行機で関空向けて飛び立ちました。
来年の山については帰ってからゆっくり考えることにします。


コースタイム
往  高原温泉(4:30)−第一花畑(5:20)−緑岳(7:25-7:35)−小泉岳(8:35)−白雲岳(9:25)
復  白雲岳(10:00)−白雲岳避難小屋(11:00-11:10)−緑岳(11:50)−第一花畑(13:20)−高原温泉(14:00)

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