南ア・烏帽子岳
2018年(平成30年)5月11日


メ モ
長かったGWも終わったので静けさを取り戻した山に行こうと思ってあれこれ考えたが、結論としては兼ねてから機会をうかがっていた南アルプスの烏帽子岳に決めました。できれば小河内岳まで行きたいところですが、その時の疲労度や積雪の状態如何により現地で判断するしかなかった。いづれにしても長時間の山行になることは間違いないので時期的には日照時間が長い今が有利であることが決め手となりました。
南アルプスの山に登るのは、8年前のGWの甲斐駒ヶ岳と仙丈ヶ岳以来のことです。最近は専ら日帰りの山行ばかりとなっている私にとって、大きく深い南アルプスでは、一日で主稜線上の頂きに登り、そして戻って来ることができる山はなかなか思いつきません。そんな中で大鹿村の鳥倉林道から比較的短時間で主稜線上の三伏峠まで行くことができる道は大変魅力的なものでした。
好天気が予想される11日の金曜日に決行することにして、前日の午後9時半ごろに自宅を出発し、中央道の松川ICを出たのは翌日の午前零時を過ぎていた。深夜の松川の町を通り抜けて小渋ダム湖畔の道を走り大鹿村に入る。大鹿村に入ると2車線の走りやすい道が続く。大鹿小学校の近くで鳥倉林道に入って右や左にハンドルを切りながら高度を上げて行く。この鳥倉林道は全線舗装されており、非常に走りやすい道だった。
第二駐車場を過ぎるとほどなく広い駐車場に着いたが他に車は見られなかった。到着は予定よりも1時間ほど早い午前1時半過ぎで、家から約4時間、走行距離は316kmだった。車から出て見上げると満天の星で南西の空に輝く”さそり座”が一際目についた。今日は早立ちなので車に戻って早速寝袋を取り出して休むことにしました。
寝袋に入っていても寒くてよく寝られないうちに4時になったので起きて支度を始める。広い駐車場には相変わらず私の車1台だけだった。連休明けの平日でもあり、どちらかというとマイナーなところなので今日は他に入山者はいないかもしれない。朝食を取り準備万端、登山届を出して午前4時40分に未知の山域に入って行きました。

行 程

鳥倉林道駐車場
↓↑
登山口
↓↑
豊口山のコル
↓↑
塩川道分岐
↓↑
三伏峠
↓↑
烏帽子岳


距離     : 16.6km
最大標高差:1,076m
累積標高  :1,118m
 




天 候

晴れ
 
(日本気象協会tenki.jp : 過去天気) 

山行記録

鳥倉林道の駐車場。明るくなってきた午前4時40分に出発します。


駐車場からは奥茶臼山(左)と前茶臼山が見えます。
まだ日が差さず眠っているようです。


舗装された林道の終盤の登りは少しこたえました。
林道が左に大きく曲がるところで小河内岳(左)と小日影山が見えてきます。


 
 地道になると登山口は近いです。


 
 午前5時20分に登山口に到着です。
ここから三伏峠まで3時間と書かれている。果たして・・・?


 
 登山口から一登りしたあとはカラマツ林の中の緩い登りが続く。


 
 登山口から20分で1/10。この割合で行くと峠まであと180分か。


カラマツ林の中を緩く登って豊口山から張り出す尾根に乗りました。
登山口から30分ほど。


 
 尾根に乗らずに道は東斜面を巻いて行く。午前6時25分に3/10を通過。


 
 午前6時35分に豊口山のコルに着く。ここから峠まで2時間とのこと。
ここで10分ほど休憩。


コルからは三伏峠へと続く尾根を登ります。


 
やがて道は尾根の北斜面に沿って続くようになります。午前6時55分に4/10を通過。


 
 午前7時10分に5/10を通過。


5/10から少し進んだところ。道は険しくなってきました。
昨夜は冷えたようでツララがさがっています。


 
雪も残っている桟道を登ります。
このあたりではまだそれほど危険を感じなかった。


 
6/10付近の道。日が差し始めて明るい雰囲気。


 
午前7時25分に6/10。
登山口からすでに2時間経過。あと1時間で峠までは無理のようです。


 
 ここは登山口と峠との距離の中間点のようです。時刻は午前7時半。


 
 残雪の量も多くなってきた。
左の斜面が切れ落ちて、下手をすると谷底へ滑落というようなところが何ヶ所もありました。


 
気をつけて慎重に足を運ぶ。


 
途中で展望が開けたところもあります。
乗鞍岳から笠ヶ岳、槍・穂高、常念岳などの北アルプス。


 
中央アルプスも一望。


 
 午前8時20分に8/10を通過。残雪の危険地帯はここまで。


 
 午前8時半に塩川道との分岐に着く。
ちょうど40年前の5月に塩川から三伏峠を越えて塩見岳、間ノ岳、農鳥岳を縦走し奈良田へ下山したが、
今ではとても無理なことです。今日は塩川からの踏み跡は分からなかった。


 
 分岐からは峠目指して150mほどの登りとなります。


 
 急登を続けていくうちに前方が明るくなると・・・


仙丈ヶ岳から塩見岳までの大展望が開けました。


仙丈ヶ岳と甲斐駒ヶ岳


 
間ノ岳と農鳥岳。左手前は本谷山。寝不足が解消される瞬間です。


 
急登も終わって峠まであと少し。


 
小屋が見えてきました。


 
40年ぶり、3度目の三伏峠です。小屋は建て替えられていて当時のものではありませんでした。


 
 日本一高い峠。午前9時5分着です。3時間45分かかりました。


 
テントサイト。こんなにいい天気なのに誰もいません。


小屋から烏帽子岳への樹林の中の道は残雪で分からなかったため稜線に沿って行ってみることにした。
稜線に出ると小河内岳とその背後に南アルプス南部の山々が見渡せました。


稜線に沿いながら樹林の中を進んで行くと前方に目指す烏帽子岳が見えてきました。
右には前小河内岳も見えます。


 
塩見岳も見えます。手前に見える柵の間の道が小屋からの道のようです。


 
柵に沿って進んで行きます。


烏帽子岳が近づいてきました。まだ少し残雪があるようです。


その残雪が問題でした。
途中で夏道を覆っているところは雪の斜面を斜めに登って行きますが、
踏み抜きや滑落の危険があるため大変疲れました。


 
何とか2つのコブを通過し、ハイマツをかき分けてようやく3つ目のコブに辿り着いた。
そこからは小河内岳の背後に荒川三山が見えました。


稜線越しに富士山も。


頂上まではあと少しです。


疲れた体に鞭打って頂上を目指す。


 
午前10時35分にやっと烏帽子岳に到着。小屋から1時間半もかかりました。
この時点で時間的にも体力的にも小河内岳は断念です。


 
 烏帽子岳山頂。
小河内岳を断念したために時間に余裕ができたので、ここでゆっくりと展望を楽しむことにしました。


まず北の眺め。
塩見岳の背後には仙丈ヶ岳、甲斐駒ヶ岳、白峰三山などの南ア北部の山々。
(画像をクリックすると拡大されます)


 
望遠で仙丈ヶ岳。


北岳


 
間ノ岳


 
振り返って南には小河内岳の背後に荒川三山、ちょこっと赤石岳、
大沢岳、中盛丸山、兎岳など。
(画像をクリックすると拡大されます)


 
望遠で悪沢岳。


 
荒川岳


北北東の彼方には白銀の北アルプス


爺ヶ岳から白馬岳までの後立山


 
中央に立山と剣岳。左に大天井岳と常念岳、右に針ノ木岳など。


 
槍・穂高


西には中央アルプス


将棋頭山から越百山までの中央アルプス核心部
(画像をクリックすると拡大されます)


越百山以南の中央アルプス。念丈岳や安平路山方面です。
手前に三伏峠の小屋が見えます。


東には富士山
(マウスポインターを画像に合わせると拡大されます)


 
頂上で45分間過ごしてから午前11時20分に下山にかかります。
前方遠くに恵那山が見えます。画面中央付近には鳥倉林道も。(マウスポインターを画像に合わせると拡大されます)
また、眼下には登るのに苦労した稜線が一望です。慎重に下って行こう。


 
初めのコブから振り返る。次は秋の季節にでも。


 
登りほどではなかったが、下りも結構難儀しました。


 
帰りは正規の道を行ってみよう。


 
水場への分岐付近からの塩見岳。


 
 峠への道から振り返る。
左に行けば水場。沢に下って塩見岳にも行けるようで、昔私も歩いたはずです。


 
 残雪の樹林の中を適当に歩いて午前12時15分に小屋まで戻ってきました。


 
小屋のまわりは残雪で休むところもないためそのまま下山し、
10分ほど下った眺めの良いところで休憩しました。


 
塩見岳の見納めです。
ここから先は残雪を横切るところが続くのでアイゼンを装着することにした。


 
まずは塩川道分岐に向かって残雪の樹林帯をドンドン下って行きます。


 
 午後1時に分岐を通過したあとは残雪の斜面のトラバースが始まります。


 
 このような個所が何ヶ所か続きます。慌てず慎重に。
幾つか残雪を横切っていく途中で女性二人のパーティとすれ違いました。
二人とも大きなリュックを背負っていて泊りがけのようでした。塩見岳にでも行くのだろうか。
今日出会った唯一の登山者でした。


 
樹林帯をドンドン下って行き、午後2時20分にコルに到着。ここで少し休憩。


 
 尾根の途中から見た小日影山


 
 コルから先も淡々と下って午後3時に豊口山の尾根から外れて登山口に向かいます。


 
 登山口までのカラマツ林は、朝の時と違って陽の光を存分に受けた新緑が輝くところだった。
秋の紅葉の時期もきっと綺麗だろう。


 
午後3時20分に登山口に戻る。前方に奥茶臼山が見えます。


 
 登山口を振り返る。


 
 林道を歩いて駐車場に戻ります。緊張感から解き放たれる時です。


 
 林道から見えた小河内岳


 
奥茶臼岳と前茶臼岳。
南アルプス前衛の山に過ぎないがなかなか立派な山容です。


 
 林道を下って行きます。


 
 午後3時55分に駐車場に戻ってきました。結局11時間を超える山行になりました。


 
着替えをして今日の宿のある飯田に向かいます。新緑のカラマツが綺麗です。


 
途中で大沢岳が見えてきました。


 
走って行くうちに赤石岳や荒川岳も姿を見せてきました。


 
左手には烏帽子岳から小日影山に続く稜線。


 
烏帽子岳が小さく見えます。
久しぶりに南アルプスの大きさを実感した味わい深い山行でした。
(マウスポインターを画像に合わせると拡大されます)




コースタイム
往  駐車場(4:40)−登山口(5:20)−コル(6:35-6:45)−塩川道分岐(8:30)−三伏峠(9:05)−烏帽子岳(10:35)
復  烏帽子岳(11:20)−三伏峠(12:15)−塩川道分岐(13:00)−コル(14:20-14:30)−登山口(15:20)−駐車場(15:55)

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