銚子ヶ口
2015年(平成27年)2月7日


メ モ
鈴鹿山脈とは一般的には滋賀と三重の県境に連なる稜線を言うが、釈迦ヶ岳から御在所岳にかけての南部には西側に平行して稜線が続いており、そこも鈴鹿の山の範疇となっている。雨乞岳から北上するものがそれで、杉峠を経てイブネを過ぎるとその連なりは甚だ複雑となって千メートルを超える幾つものピークを起こしながら最終的には銚子ヶ口という山に至る。鈴鹿主稜線とこの稜線との間には杉峠を源流とする神崎川が流れ、それは愛知川となって琵琶湖に流れ込んでいる。
鈴鹿の主要な山々は既に登り終えているが、イブネから北のこの山域は未踏の地域だった。10年ほど前の秋に銚子ヶ口に登るつもりで登山口を探したが、結局分からず終いで永源寺の紅葉を見て帰ったことがある。あとで調べたところ登山口はうっかりしていると見逃してしまいそうなところだと分かったが、それ以来この山のことは忘却の彼方だった。
ところが昨年の晩秋に未踏の御在所岳と釈迦ヶ岳との間の稜線を歩いた際に、平坦なイブネの頂の北に幾つもの小さなピークを有する山並みを眺めて銚子ヶ口のことを思い出したのだった。しかしマイナーなこの山の冬は登る人も少なく、積雪の状態によっては登山ルートも明瞭ではないだろうと懸念された。とはいうものの雪が溶ける時期まで待つ気になれず、天気が良さそうなこの週末に思い切って出掛けることにした。
7日の朝6時過ぎに家を出発し、第二京阪、名神経由で八日市から国道421号を走り、永源寺湖を過ぎたあたりから右側を注意しながら進んで行くと、小さな水車の横に銚子ヶ口岳と書かれた登山口があった。登山口の前の広場はせいぜい車2台しか止められないほどの狭い所だったがまだ車は見られなかった。7時半を過ぎたこの時間で一番乗りということは、恐らく今日は他に登る人はいないのではないかと思われた。何はともあれ、支度をして8時に登山口を出発した。

行 程

杠葉尾登山口
↓↑
冬道分岐
↓↑
東峰
↓↑
銚子ヶ口

距離     : 10.0km
最大標高差: 741m
累積標高  : 768m
 




天 候

晴れ
 (日本気象協会tenki.jp : 過去天気) 

山行記録

 
先月購入したiPhoneにFieldAccessを入れ、GPSガジェットとして使用してみることにした。
うまく行けば踏み跡のない雪山でも心強い味方になる。GPSの記録をオンにして8時ちょうどに登山口を出発。


 
 冷え切った植林の中の道を行く。
緩く一登りして小さな峠のようなところを過ぎるとしばらくは比較的平坦な道が続く。


 
 広い樹林の中に続く緩い登り道を進んで行く。


 
 道の脇にはこのような立て札もある。


 
 このようなものもありました。


 
道は尾根の東斜面を巻いて徐々に高度を上げて行く。
勾配は緩く歩きやすい道です。


 
登山口から45分ほどのところ。
何かしら、石を積み上げた人工的なものがあった。


 
道には何日か前の踏み跡が残っていたが、そのあと新雪が積もったようで、
樹林が途切れたところなど、場所によっては踏み跡が見られないこともあった。


 
ここは登山口から1時間半ほどのところ。
前方が明るくなり尾根の稜線が近づいてきた感じがする。


 
尾根の稜線に出たあとは、その稜線を辿りながら進んで行く。
途中、痩せ尾根で2ヶ所ほど急斜面を横切るところがあり少し緊張した。


 
 登山口から2時間ほどのところ。
夏道は尾根の右斜面を横切って行くようだが雪のため踏み跡もなく通るのは難しそう。
そこで正面の尾根道を行くことにした。キケンと書かれたテープが張ってあるので慎重に行こう。


 
 尾根に取り付いたあとは人の踏み跡もなくなり、小動物の足跡が点々と付いているのみ。
それに導かれるように登って行くと凍り付いた急斜面に出くわした。ここでアイゼンを装着。
新雪が積もったところではアイゼンの効きが悪いが、まわりの木々に掴まりながら何とか登り切った。


 
 尾根道の途中には先ほどのような急斜面が何ヶ所かあって緊張がつづき、少し疲れも出てきた。
そのような尾根を辿ること40分ほどでようやく傾斜も緩くなり、
なんとか小さな霧氷も見られるまでに高度を上げてきた。


樹林も疎らになり、ようやく頂上が近づいてきた。
積雪量も増えてきたが、せいぜい足首まで沈む程度なので持参の”かんじき”をつけるほどでもない。
それでも雪のない時よりも疲労度は大きい。



雪に埋もれたモノレールの終点を過ぎ、樹林が途切れて明るく開けた頂上に着いたと思いきや、
目の前に雪に覆われた本当の頂上が威圧するかのようにドカーンと聳えていた。
あんな雪の斜面を登ることができるのだろうかと不安感に襲われる。


山頂まで続く急な雪の斜面を見て一瞬たじろいだが、ここで引き返す手はないと思い、雪に覆われた稜線を進んで行った。
左手は雪庇が張り出しているので右側の樹林帯の際を急登すること10数分、11時30分になんとか無事頂上に着いた。


辿り着いた頂上はフカフカの新雪に覆われており、点々と小動物の歩いた足跡が残っていた。


頂上は雪に覆われているので立ったまま山岳展望を開始。
振り返ると、眼下の登ってきた雪の稜線の彼方に連なる鈴鹿北部の山々が見えた。
左遠くに霊仙山。右に御池岳、藤原岳方面、竜ヶ岳と続く。


 
霊仙山と御池岳を拡大。
御池岳は台形状の大きな山で、その左端には鈴ヶ岳も見えている。


 
さらに霊仙山を望遠で。
かつて歩いた左の西南尾根から右の最高点までの大きな山容が手に取るように分かる。


 
霊仙山の右手前の御池岳を望遠で。
右半分の通称テーブルランドは雪に覆われて白くなっている。


 
御池岳の右には頭陀ヶ平(左の鉄塔が2本建つピーク)から天狗岩のあるピークを経て藤原岳までの稜線が続く。


 
藤原岳の右には竜ヶ岳。


竜ヶ岳の山頂部を望遠で。
写真では分からないが、山頂に人影が認められました。


東の方には釈迦ヶ岳の大きな山体。


釈迦ヶ岳を拡大。


釈迦ヶ岳の右には、昨年歩いた金山や水晶岳。水晶岳の右遠くにはハライドも見えている。


南には鈴鹿南部の山々。
左から国見岳、御在所岳、鎌ヶ岳(山頂部のみ)、イブネ、雨乞岳。


国見岳と御在所岳を拡大。左端にはハライド。右端には鎌ヶ岳。


平らな山頂のイブネ


イブネの後ろには東雨乞岳と雨乞岳。


 
ひととおり展望を終えてからGPSで山頂を確認してみると、
どうやらここは山頂の手前のピークで、三角点はもう少し奥にあるようだった。(ここが東峰であることは帰宅してから確認)
そこで、iPoneの地図で確認しながら三角点のあるピークに向かう。


 
フカフカの雪に足を取られながら樹林の中を進むこと10分ほどで前方が明るくなり、
山頂が近づいたことが分かる。


 
銚子ヶ口の三角点は雪に覆われており確認は出来なかったが、
GPSで確認したところここで間違いはなさそうだった。11時50分着。


 
無垢の新雪の上に立ってまわりを眺めたが、展望が開けていたのは南側だけだった。


 
先ほどの東峰からの眺めとはさほど違わないが、御在所岳やイブネ、雨乞岳を確認。


 
国見岳、御在所岳、鎌ヶ岳


 
イブネ


 
東雨乞岳と雨乞岳


 
 そして綿向山


 
銚子ヶ口山頂で10分ほど過ごしてから東峰には12時10分に戻る。


 
 今日は天気はまずまずだが、遠くは霞んでいて期待していた中部山岳の眺めは得られず、
確認できたのは僅かに御嶽山のみだった。


 
12時30分に東峰を辞して下山の途についた。
雪の急斜面を慎重に下り、雪庇が張り出した稜線を戻って行く。


 
樹林帯に入る前に振り返り見た銚子ヶ口。左が東峰で右が三角点のあるピーク。
ここで見納めです。


 
 モノレールの終点。レールに沿って少し行ってから左に折れて、
自分が付けた足跡を辿りながら雪の斜面を下って行く。


 
登る時に緊張した急斜面は下る時にはさらに緊張を強いられた。
アイゼンが思うように利かないところが難しい。


 
 東峰から下ること45分で何とか冬道の分岐点まで戻る。


 
そのあと、痩せ尾根の嫌なところを無事通過。


 
痩せ尾根を過ぎたところでアイゼンをはずしてばらく休憩。
あとは尾根の稜線と別れて右の斜面に付けられた道を坦々と下る。


 
下り続けて平坦な道となりホッとして気も緩む。


 
登山口近くにあった祠に無事帰ってくることができたお礼をする。


 
 午後2時45分に登山口に戻る。予想どおり誰にも会うことのなかった静かな山行だった。



コースタイム
往 杠葉尾登山口(8:00)−冬道分岐(10:10)−東峰(11:30-11:40)−銚子ヶ口(11:50)
復 銚子ヶ口(12:00)−東峰(12:10-12:30)−冬道分岐(13:15)−杠葉尾登山口(14:45)

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