和賀岳
2012年(平成24年)7月22日

メ モ
いつの頃からかは忘れたが、いつかはニッコウキスゲが咲く和賀岳に登りたいと思っていた。ニッコウキスゲなら比較的近くの北陸や中部山岳方面の山でも見ることができるものを、なぜわざわざ遙かな北東北の山に出掛けるのか、と自問しても明確な答えは引き出せない。Femme Fataleという言葉がある。他人にとってはさほどでもないが自分にとっては運命の人と言う意味と解釈している。そんなに大げさなものではないが、強いて理由を説明するとなるとそのようなものだという感じがしないでもない。
話が脇道にそれたが、そのニッコウキスゲは7月20日前後が見頃だが、その時期の北東北はちょうど梅雨末期と重なり好天に巡り会うのは難しい。しかし今年は17日に関東以西が梅雨明けしたあとも不安定な天気となっている一方で、北東北の日本海側はこの週末までは好天気が続くようだった。そこで好機到来とばかりにこの週末に和賀岳を目指すこととした。しかし折角遠くまで行くのだから近くの秋田駒ヶ岳にも行ってみたい気もした。いつどの山に登るかは前日の天気予報を見てから決めることにして7月21日の午後やまびこ65号に乗り込み、5時52分に盛岡駅に到着した。
早速レンタカーの営業所に行き手続きを済ませて田沢湖方面に向かう。食事と買い物をしながら国道46号を進んで行く。途中で天気予報を聞いたところ、どうやら好天は22日のみでそのあとは気圧の谷の通過と太平洋からの湿った大気の流入で天気はよくないらしい。ということで明日は和賀岳に登ることに決めた。
秋田県に入り、田沢湖駅近くをとおって角館に近づきカーナビに導かれるままに真木林道を目指す。林道に入って目的地まであと6Kmほどを残すあたりから未舗装の道になる。スピードを落としてガタゴトと進み11時頃に登山口の駐車場に着いた。先着の車が1台止まっていたが、そこから少し離れて登山口に近い所に車を止める。昨日から咳が出て少し風邪気味なのですぐに寝袋を取り出して満天の星を見ながら仮眠をとった。
明くる朝起きたのは午前4時。支度をしている間に何台かの車が到着し出掛けて行く人もあった。今日は近くの温泉で泊まることにしているので慌てることもないと考えて、簡単な朝食をとってから4時50分にニッコウキスゲが咲いていることを期待して和賀岳目指して出発した。

行 程
国土地理院地図

 
真木登山口−甘露水口−ブナ台−滝倉−倉方−薬師岳−小鷲倉岳−和賀岳(往復)

天 候 晴れ


午前4時50分に登山口の駐車場を出発する。天気はまずまずのようだった。

林道を7、8分歩いて行くと甘露水という水場があり、その手前が登山口だった。

杉の植林帯を抜けて自然林の中を登り20分ほどでブナ台に着く。このあたりからブナが多くなる。

ブナの原生林の中を登り続けて登山口から1時間ほどで小さな沢に出る。滝倉と書かれた道標がたっていた。下山の時にここで水を補給したが、手が凍えそうな冷たさだった。

滝倉からつづら折りの急登を続けること30分ほどで倉方に着く。付近にはダケカンバもありなんとなく高山的な雰囲気がしてくる。

倉方からは木々の背丈も低くなり頭上が明るくなってくる。

倉方から10分ほど登ると樹林が途切れて見通しのよい尾根道に飛び出す。
そこからは前方に鋭い三角形の頂が見えた。あれが目指す薬師岳だろうか。

尾根からは右手に滝のように流れ落ちる雲が見えた。
羅臼岳に登ったときも同じような現象を見たことがある。
北太平洋の高気圧から流れ込む冷たい空気が真昼山地を乗り越える時に生じる現象かもしれない。

尾根を登るうちに鋭峰の左奥にドーム状の頂きが見えだした。
目指す薬師岳はどうやらあの丸い頂きのようだった。

尾根の上部から登ってきた道を振り返る。右側が切り立った結構険しい道だった。

崖っぷちの険しい道を急登すると薬師分岐に着く。
急登はそこまでであとは前方に和賀岳を眺めながらのんびりと薬師岳に向かう。

一登りして小さな祠のある薬師岳山頂に着く。

標高1218mの薬師岳山頂。7時20分着。無粋な立て看板が少々目障りです。

左端の薬師平を経て小杉山、小鷲倉岳、和賀岳へと続く稜線。
中央右寄りの鋭いピークが標高1354mの小鷲倉岳。和賀岳はさらに右の大きなピーク。

薬師岳山頂で小休止してから先に進む。
薬師岳から薬師平の間は広大なお花畑になっている。こちらのニッコウキスゲは既に終わってしまっているが、
それでも色とりどりの花が咲いていて、お花畑の名に恥じない雰囲気のところだ。

咲き残ったニッコウキスゲもちらほらと見られる。

薬師岳から20分ほどで薬師平に到着。なかなか雰囲気のよいところだが、ここも花の時期は終わっているようだった。

小杉山へ向かう途中で雲間から現れた小鷲倉岳を見る。
陽が昇るとともに谷間の雲海が上昇してきて時折稜線を覆い隠す。しかし今日は天気が安定していて、やがて雲は儚くも消えてしまう運命にあった。

小杉山への道。道は朝露に濡れた草に覆われており、薬師岳から小杉山の間で膝から下がずぶ濡れになってしまった。

辿り着いた小杉山。白岩岳方面への道が分かれる。

小杉山から小鷲倉岳へ向かう途中で薬師岳を振り返る。

8時40分に小鷲倉岳に到着。
このピークへの登りは灌木帯の藪に覆われた道で一汗かかされた。
前方の稜線の彼方に早池峰と薬師岳が見える。

小鷲倉岳を過ぎると和賀岳がグンと近くなる。
もうきつい登りもなく、眺めのよい雲上の稜線を快適に歩いて行く。

和賀岳の雄姿。谷筋に残雪があればさらに堂々とした山容になるが・・・。
しかしニッコウキスゲの時期とは相容れない。

左手遠くには秋田駒ヶ岳と岩手山が並んでいる。
手前の鋭いピークは氷河の痕跡があるという羽後朝日岳。

その左遠くの田沢湖の彼方に森吉山。

和賀岳山頂まで緩やかな坂道をもう一登り。よく見ると頂上付近が黄色っぽい。
近づいてみると山頂付近は確かに黄色く染まっている。期待感大いに高まる。

辿り着いた山頂付近の緩やかな斜面は一面ニッコウキスゲに覆われていた。
梅雨の晴れ間に満開(?)のニッコウキスゲ。

雲海上の秋田駒ヶ岳とニッコウキスゲ。まさに地上の、いや雲上の楽園です。
(画像をクリックすると拡大されます)

同じ位置からズームアップ。
ニッコウキスゲの群落に興奮して写真を撮りながら9時20分に和賀岳頂上に着く。
標高1440mは決して高峰ではないが、さすがは東北の山だけあって言葉に表せない素晴らしい景色です。
頂上に着いたときは誰もいなくて暫しの間絶景を独り占めする。

和賀岳山頂の北斜面に咲くニッコウキスゲ。
背景遠くは雲海上の秋田駒と岩手山。その手前には羽後朝日岳を始めとする和賀山塊の山々。

(画像をクリックすると拡大されます)

北斜面のお花畑。見渡す限りのニッコウキスゲです。
昨年の咲き具合が表だったので今年は裏かも知れないと覚悟していたが、これが裏でも文句はありません。

咲き競うニッコウキスゲ。

咲き乱れるとはこのような状態を言うのだろう

次はまわりの山々を眺める。
まず西の方の辿ってきた稜線を振り返る。小鷲倉岳と小杉山、薬師岳が見える。

その右は白岩岳方面。

北には田沢湖の彼方に森吉山。

東には高下岳や根菅岳方面の山並み。

南にはこけ平。南斜面のニッコウキスゲはちらほらと咲いている程度だった。

再び東を眺めると親子のような早池峰と薬師。
遙か南には昨年登った焼石岳。その右遠くには月山?

そして南西の方向遠くには雲間から鳥海山が顔を覗かせている。

山頂に咲いていたその他の主な花々。
まずはトウゲブキ。1週間後にはこの花が主役となっていることだろう。

ミネウスユキソウ。

ハクサンフウロ ハクサンシャジン。
ハクサンの名がつく花を見ると親しみを覚える。

1時間が過ぎてもまだ立ち去りがたかったが、人も増えてきたので10時40分に山頂を辞す。
雲海上の楽園を脳裏に焼き付けて帰途についた。

これから戻って行く稜線を見る。手前に小鷲倉岳。奥に薬師岳と小杉山。
和賀川の源流地帯は急峻な谷となっている。

小鷲倉岳を越えて小杉山に向かう途中から薬師岳を見る。
朝登るときは雲海のために稜線近くしか見られなかったが、こうして見るとなかなか立派な山容をしている。

小杉山から和賀岳と小鷲倉岳を振り返る。

薬師岳へと続く稜線。

小鷲倉岳を振り返る。緑の山肌がとても綺麗です。

薬師平。寝不足と暑さで疲れたのでここで少し休憩する。

薬師平から先は薬師岳のお花畑が続く。

薬師岳のお花畑。
緑の草原の中の色とりどりの花々と青い空に白い雲。夏山の風景そのものです。

12時20分に薬師岳に戻り、歩いてきた稜線を振り返る。
和賀岳も遠くになった。おそらくもう登ることはないだろう。


小鷲倉岳と和賀岳。見納めです。

稜線上は強い日差しが降り注いで暑かったが、樹林帯に入ると陽の光も遮られてほっとする。
疲れも出てきたので美しい緑の木々を眺めながらゆっくりと下って行く。


ブナ台付近の樹林帯。




登山口の駐車場に戻ったのは14時40分。期待以上の好天気とニッコウキスゲの群落に満足して今日の宿の中里温泉に向かった。
明くる日の秋田駒は八合目まで行ったが悪天候のため断念し、乳頭温泉の黒湯に浸かってから大阪に向かって帰途についた。


コースタイム
 往  真木登山口(4:50)−ブナ台(5:20)−倉方(6:25-6:35)−薬師岳(7:20-7:30)−小鷲倉岳(8:40)-和賀岳(9:20)
 復  和賀岳(10:40)−小鷲倉岳(11:15)−薬師岳(12:20−12:40)−滝倉(13:30-13:45)−ブナ台(14:10)
     −真木登山口(14:40)

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