人形山
2013年(平成25年)5月26日

メ モ
悲しい伝説を秘めた人形山は合掌造りで有名な五箇山のシンボルでもある山です。初めてこの山を見たのは4年前に登った笈ヶ岳の山頂からで、東の方に雪を戴いた立派な山容で横たわっていました。白木峰や金剛堂山など、疎かった飛騨と越中の国境の山々を初めて知ったのもこの時のことです。
この人形山の中腹には雪が残る季節に親孝行な姉妹の雪形が現れますが、それを見たくて5月末か6月初めの天気が良い日に登るつもりでいました。天気予報ではこの週末が梅雨入り前の最後の晴天で、そのあとしばらく天気はぐずつということだったので、思い切って土曜日の夜に出かけることとしました。
家を出発したのは金曜日の午後11時15分。第二京阪、京滋バイパス、名神そして東海北陸道をひた走りに走り五箇山ICを出て国道156号をしばらく行くと右手に人形山に向かう道がある。このあたりは深夜でもあり、カーナビに導かれるままで、どこをどう走っているのかよくわからなかった。山間に入るとヘアピンカーブが続く。道は一部を除いて舗装されておらず、結構な悪路だった。ガタゴト揺れながら進んで登山口には26日の午前3時35分に到着した。走行距離は320km。広い駐車場には車が1台だけ止まっていた。
出発は5時ごろを予定していたので1時間ほど車の中で仮眠をとった。4時半ごろに起きて支度をし、5時10分に人形山に向かって歩き出した。雲が多い空模様だったが予報では晴れてくるとのことだったので、白山や北アルプスの展望を楽しみにして薄暗い杉林の中の道を登って行った。

行 程

中根登山口
↓↑
宮屋敷跡
↓↑
梯子坂乗越
↓↑
人形山

距離     : 12.5km
最大標高差: 867m
累積標高  : 994m
  
天 候

晴れ
 (気象庁 : 過去の天気図) 

山行記録

中根登山口の駐車場。少し雲が多いが天気予報を信じて5時10分に登山開始。

登山口の祠。人形堂と書かれている。登山口の標高は約850m。1726mの頂上までの標高差は約900mでそれほどの高さではない。

はじめはまだ日が差さない薄暗い杉林の中を緩く登って行く。

変化のない道を坦々と歩くこと50分で第一休憩所の広場に着く。標高は1200mほど。

第一休憩所を過ぎると登山道脇にブナの大木が見られるようになる。
朝日を浴びた新緑が綺麗です。早朝登山ならではの光景。

ブナの新緑。

やがて正面の木々の間に宮屋敷跡付近と思われる稜線が見えてくる。

右手には目指す人形山も垣間見える

道端に咲くのは両白山地でも多く見られるイワウチワ。
ほかにショウジョウバカマも沢山咲いていた。

第二休憩所付近から道は残雪に覆われてくる。
残雪が途切れたところは泥濘となっていて歩きにくいところもあった。

6時50分に第二休憩所に着く。標高は1400m。それほどの急坂もなかったが既に全行程の半分以上の標高差を稼いでいる。

第二休憩所の標識。下半分が削り取られているようだが、ひょっとして熊?。

第二休憩所から人形山を見る。
あと3百数十mほどの標高差だがまだまだ登り応えがありそうだ。

瑞々しい新緑の道。左の谷筋には残雪がべったりと付いている。

樹林帯を抜け出して残雪の尾根道を登る。宮屋敷跡のある稜線に近づいてきた感じがする。

登ってきた尾根を振り返る。

7時35分に宮屋敷跡に到着。登山口から2時間半ほど。リュックをおろして大休止。

鳥居の正面には雪を戴いた人形山。
宮屋敷跡からの人形山。左端に三ヶ辻山も見える。
稜線付近や谷筋にはいろいろな形をした雪が残っているが伝説の雪形はここからは見えない。

宮屋敷跡を出発して残雪の尾根道を行く。
左前方の三ヶ辻山のピラミッドが印象的だ。

広々とした眺めの良い尾根道は歩いていても楽しい。
正面の稜線の左には三ヶ辻山、行く手には梯子坂乗越。


そして右には目指す人形山。

尾根道から梯子坂乗越を見上げる。
ここから一旦下って前方の斜面を登って行く。

近づいてきた三ヶ辻山。なかなか立派な山容です。
体力と時間があれば寄ってみたいところだが・・・。

鞍部手前の道端にはカタクリが群生していた。予期せぬ出会いだった。

山中でカタクリを見たのは4年前の会津朝日岳の山頂付近以来のことだった。

梯子坂乗越に登る途中で宮屋敷跡から歩いてきた尾根を振り返る。見通しがよければこのあたりから北アルプスが見えるはずだが、今日は霞んでいて御嶽や乗鞍岳が幽かに見えた程度だった。残念。

8時50分に梯子坂乗越に着く。

乗越からは西に白山山系の山々を見渡すことができた。
少し霞んでいるが左奥遠くに白山が、また中央右よりには4年前に登った笈ヶ岳が見える。笈ヶ岳の右の山は大笠山。

笈ヶ岳(左)と大笠山。

辿ってきた尾根道を振り返る。

梯子坂乗越から稜線を辿って人形山に向かう。

人形山への道。

稜線を進んで行くと図らずもまたカタクリの群落を見た。
先ほどの所よりも密度が濃く数も多かった。本日の収穫の一つでした。

登山道脇に群生するカタクリ。

もう一登りで人形山だ。

頂上直下の雪田から歩いてきた尾根を振り返る。
中央右寄りのなだらかなピークが宮屋敷跡。そこから左に伸びる尾根を登ってきたのです。

9時10分に人形山に到着。予定より30分オーバー。

山頂は狭くて眺めも良くなかったが少し先に行くと笹が切り開かれた展望のよいピークがあった。そこからは白山山系の山々が一望できました。

少し霞がかかっているがまずまずの展望です。

少し休憩してからさらに奥の雪に覆われたピーク(左端)を目指して行く。

ピークから白山山系の山々を見る。
いい眺めです。

白山遠望。

笈ヶ岳
三ヶ辻山。
白山などの眺めを満喫して9時55分に人形山の山頂を辞す。

帰途再びカタクリを見る。

これはスミレ科のようだが名前は分からない。

今日唯一の心残りは北アルプスの展望が得られなかったことだが、帰途、梯子坂乗越付近から東の方を見るとうっすらと白い山々が見えた。
残念ながら個々の山を特定できなかったが、念のため写真だけは撮っておいた。
これはそのうちの1枚で、左の剣岳(黒い三角形の山)から右端の立山までが写っている。

これは薬師岳(左端)から北ノ股岳、黒部五郎岳にかけての山々。
水晶岳や鷲羽岳も小さく写っています。

最後は槍・穂高連峰。左の槍ヶ岳から大喰岳、中岳、南岳。
そして手前の笠ヶ岳を経て北穂、涸沢、奥穂が写っていました。

11時15分に宮屋敷跡に戻る。

登山口へ下る途中で宮屋敷跡のあるピークを振り返る。

日が差して明るくなった杉林を下る。

13時10分に無事登山口に戻ってきました。

下山後、今回の山行の目的の一つである雪形を見に上梨方面に行く。
写真は上梨トンネルの入り口付近から見た人形山。
残念ながら少し時期が早くて雪形はまだ現れていなかった(写真の中央の残雪箇所)。

帰途、菅沼集落を見下ろす。時間がないので見学は省略しました。
梅雨入り前の好天の下に輝かしい新緑や残雪、可憐なカタクリの花、
そして頂上からの大展望を満喫できた、期待に違わない山行でした。


コースタイム
往  中根登山口(5:10)−第一休憩所(6:00-6:05)−第二休憩所(6:50-6:55)−宮屋敷跡(7:35-7:50)
    −梯子坂乗越(8:50)−人形山
(9:10)
復  人形山(9:55)−梯子坂乗越(10:20-10:30)−宮屋敷跡(11:15-11:25)−第二休憩所(11:45)  
    −
第一休憩所(12:15-12:30)−中根登山口(13:10)

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