木曽駒ヶ岳
2014年(平成26年)3月24日

メ モ
木曽駒ヶ岳は私が山歩きを始めた原点の山でこれまで3度その山頂を極めている。しかし昭和49年の秋に桂木場から将棋頭山を経て空木岳まで縦走した時に訪れて以来もう40年もの間ご無沙汰している。無積雪期には他に登りたい山が多くあり自宅から少し遠いこの山にはなかなか足が向かなかったためだった。
この山には昭和42年に完成したロープウェイがあり平成19年の夏に三ノ沢岳に日帰りで登った時はこれを利用させていただいた。このロープウェイは通年営業されており真冬でも千畳敷カールまで行くことができる。そこから木曽駒ヶ岳まではそれほど遠い距離ではないが、厳冬期の中央アルプスはたやすく人を受け入れてくれるような山ではない。しかし移動性高気圧が周期的にやってくる春には、タイミングさえ間違えなければその山頂から冬の装いをまとった中央アルプスや中部山岳の大観を、比較的容易にしかも日帰りで目の当たりにすることができる。
というわけで、彼岸に入って日増しに春めいてくるこの時期に登頂の機会を狙っていたところ、連休明けの24日の月曜日が絶好の登山日和となりそうだった。そこで都合をつけてこの日に春浅い木曽駒ヶ岳に40年ぶりに登ることにした。
24日の早朝3時半に家を出発。名神、中央道経由で駒ヶ根菅の台の広い駐車場に着いたのは7時15分だった。駒ヶ岳SAで軽食をとってきたのですぐに支度を始める。今日は平日だが思っていたよりも人が多い。といってもせいぜい10人ほどだろうか。8時15分発の始発のバスに乗り、しらび平からロープウェイに乗り換えて千畳敷には9時12分に着いた。
登山届を出して駅の建物の外に出ると目の前に千畳敷の大観が広がる。下界の方は少し春霞がかっているものの快晴の申し分ない天気で気にしていた風もほとんどない。登山口まで行ってからアイゼンを装着し、9時35分に大展望を期待して眼下の雪原へと足を踏み出した。

行 程

千畳敷

乗越浄土

中岳

木曽駒ヶ岳

中岳

        乗越浄土←→P2911m

千畳敷

距離     :  4.5km
最大標高差: 346m
累積標高  : 476m
 
天 候

快晴
  (気象庁 : 過去の天気図)

山行記録

早朝3時半に家を出発し、第二京阪、京滋BP、名神、中央道を走る。6時ごろに恵那峡SAで休憩。恵那山の方から朝日が昇り始めていた。

さらに進んで恵那山トンネルを抜けて伊那谷を北上。6時45分ごろに駒ヶ岳SAで朝食をとる。背景は青い空に映える中央アルプス南部の白銀の稜線。

7時15分に菅の台の駐車場に着く。走行距離295km。平日にもかかわらずそこそこの車と人だった。

始発のバスでしらび平まで行き、しらび平からロープウェイに乗る。標高差1000mをわずか7分で昇る。

千畳敷から宝剣岳を見る。目指す浄土平は右の鞍部。
今日は狙いどおりの無風快晴の好天気。

建物を出て右に行き回り込むと登山口。アイゼンを装着して9時35分に出発。
伊那谷の向こうに南アルプスの山々が連なる。

浄土平までうっすらとトレースが続く。その上を登山者が二人歩いている。

トレースは雪崩を避けるために迂回して剣ヶ池方面へ下ってゆく。
正面は伊那前岳へ続く稜線。

 
 少し下ってから左に折れてほぼ真っ直ぐに浄土平に向かう。
写真は下りきった雪原上から振り返ったもの。後ろは南アルプス。


 浄土平を目指す。
今日は無風快晴のため歩いているうちに暑くなってきたので、急坂になる前に上着を一枚脱ぐ。


傾斜は徐々にきつくなってアイゼンの機能が発揮されてくる。
途中で何人かに追い越されながらあせらずゆっくり登ってゆく。

まだ振り返る余裕のあるところから見た景色。

いよいよ本日のルートの最難関場所に近づく。
雪が堅く締まった30度以上はありそうな急斜面には明確なトレースはなくフラットな状態だった。
斜面に合わせてアイゼンを強く踏み込み、ピッケルで二点支持しながら着実に登ってゆく。

足首が痛くなる斜面の角度です。
この岩がオットセイ岩かな?

トレースが少し右に回り込むところまで来ると、
ありがたいことにステップが刻まれていて登るのが楽になる。
乗越浄土まであと一登り。

 
登山口から1時間ほどで10時35分に乗越浄土に着く。千畳敷との標高差は250mほどだろうか。

  乗越浄土から中岳に向かう。稜線上も風は弱くて今日は本当に申し分ない天気です。

 
乗越浄土から宝剣岳を仰ぎ見る。

天狗岩と三ノ沢岳。後方遠くには恵那山。

中岳に向かう途中から宝剣岳を振り返る
左の鞍部は乗越浄土

中岳へ続く稜線は広くたおやか。

緩く登って11時に中岳に着く。
遠くには八ヶ岳から蓼科山にかけての山々が連なる。

中岳山頂の祠。ここで小休止する。

中岳から駒ヶ岳に向かう。
過去3度の駒ヶ岳は遠い過去のことであり、また天気もあまり良くなかったので、
このあたりの景色は全く記憶にない。

中岳の山頂付近にはいろいろな形の花崗岩が屹立していた。
貼りついた霧氷が冬の美しくも厳しい自然を現している。

中岳の花崗岩と霧氷。

駒ヶ岳との鞍部。
あと一登りで今日のゴール。

駒ヶ岳の頂上は目前。

11時25分に木曽駒ヶ岳に到着。

40年振りに訪れた木曽駒ヶ岳山頂で遠い昔のことに思いを馳せる登山者。

休む暇もなく木曽駒ヶ岳山頂からの山岳展望を開始。
まず西の方には雄大な木曽の御嶽山。

御嶽山

御嶽山の右には乗鞍岳から続く北アルプス。

乗鞍岳

左から笠ヶ岳、穂高連峰、槍ヶ岳。
右遠くには立山・剣が頭を覗かせている。

後立山連峰。
ほぼ縦位置から見ているので判別しがたいが爺、鹿島槍、五竜、白馬鑓、白馬などがそれとなくわかる。

北東には浅間山や八ヶ岳、奥秩父の山々。
手前は北へと続く中央アルプス主稜線。

浅間山遠望。手前の白い台地は霧ヶ峰?

その右には八ヶ岳。

東には甲斐駒ヶ岳から光岳までの長大な南アルプスが連なる。
中央アルプスは南アルプスの展望台でもある。

左から鋸岳、甲斐駒ヶ岳、仙丈ヶ岳.。続いて北岳、間ノ岳、農鳥岳の白峰三山。そして富士山。
間ノ岳は最近の測量の結果標高は3190mに改められ、奥穂高岳と並んで日本第3位の高峰となったらしい。

 
南アルプス中、南部の巨峰群。
富士山の右に塩見岳、さらに悪沢岳、荒川岳、赤石岳、聖岳方面の山々へと続く。
手前の山は2911mの無名峰と中岳。

 
 そして南アルプス最南部の茶臼岳、光岳方面。
手前は中岳と宝剣岳。

富士山

南には中央アルプスの主稜線が延々と続く。
左に宝剣岳、遠くに双耳峰のような空木岳と南駒ヶ岳。右の支脈上の三角峰は三ノ沢岳。その右遠くに恵那山。

空木岳と南駒ヶ岳

いつまで見てもきりがない大展望ともお別れです。
厳しい風雪に耐える頂上祠を後にして11時45分に下山の途に就く。

中岳へと向かう。

中岳を登る。
稜線上は固く締まった雪や氷に覆われており、アイゼンを効かせながら快適に歩くことができた。

中岳の登りから三ノ沢岳を見る。木曽側は急峻な谷。

中岳を越えて乗越浄土に向かう途中で見た宝剣岳と三ノ沢岳。
宝剣岳の西面も凄まじい岩壁だ。

 
 乗越浄土付近からの宝剣岳。

乗越浄土に戻ってきたのは12時40分ごろだった。
午後1時55分のロープウェイまでまだ少し時間があるので伊那前岳への稜線を歩くことにした。

本場のアルプスの稜線を登るような感じです。行ったことはありませんが・・・。

 登る途中で宝剣岳から南駒ヶ岳にかけての中央アルプス主稜線を見る。
スイスアルプスもこんな感じでしょうか。一度行ってみたい。

 
 雪の稜線を登り続ける。

 
ピークまでもう少し。これは伊那前岳まで続く稜線上の最高峰で、標高は2911mありますが、無名峰のようです。

  無名峰のピークに到達。雪に埋もれているのか標識も何もなかった。

 
 無名峰からの中岳と駒ヶ岳。双子の兄弟のようです。

 
北へと続く中央アルプスの主稜線。右遠くに八ヶ岳。

 
 稜線は伊那前岳へと続く。遠くには南アルプス。

 無名峰からの中央アルプス主稜線。
伊那前岳まで行く時間はなさそうなのでここで引き返すことにした。

 
 乗越浄土からの下り。最後の難関です。

傾斜は急だが、ステップが刻まれているので
アイゼンを確実に雪に食い込ませて下って行けば問題なさそう。

あわてずに一歩一歩慎重に下る。

急斜面を下り終えてほっと一息。南アルプスを眺めながら雪原を行く。

 
 千畳敷に戻ったのは午後1時35分だった。ちょうど4時間の山歩き。
短時間ではあったが好天気に恵まれて中身の濃い山行だった。
40年振りの木曽駒ヶ岳に感謝。
1時55分のロープウェイに乗って菅の台には2時45分頃着。往路を戻って家に着いたのは7時前だった。


コースタイム
往  千畳敷(9:35)−浄土平(10:35)−中岳(11:00)−駒ヶ岳(11:25)
復  駒ヶ岳(11:45)−中岳(12:15)−浄土平(12:40)−2911m峰(12:55)−浄土平(13:10)−千畳敷(13:35)

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