平家岳
2014年(平成26年)5月18日

メ モ
GWに出来なかった代わりの山行として、好天気が続くとの予報があった5月中旬の適当な日に北アルプスか北陸方面の未踏の山をあれこれ考えたが、最終的には18日に奥美濃の平家岳へ日帰りで行くことにした。伊吹山から北上する奥美濃の山々は金糞岳、三周ヶ岳、冠山、能郷白山を経て大日ヶ岳、銚子ヶ峰そして白山へと続いて行く。その山並みの中にあって能郷白山と大日ヶ岳との中間に位置する平家岳は奥美濃の山々の中でもとりわけ奥深く、その山名が醸し出す雰囲気と合わせてまさに秘境の山という感じがしていた。
この山には北側の福井県の九頭竜湖付近から比較的容易に登ることができるようだが、秘境という言葉に拘って、是非とも岐阜県側から登りたいと考えていた。岐阜県側からのルートとしては板取川の上流の川浦渓谷から中電の巡視路を辿る尾根道があり、その行程は山頂まで5時間はかかる長大なもので標高差も千メートルほどだが、幾らなんでも笈ヶ岳や毛勝山ほどではないだろうと少し高を括っていた。しかし結果的には日帰り登山としてはこの二つの山の経験を上回り、平ヶ岳に匹敵する厳しい山行となったのだった。
17日の午後11時20分に枚方の家を出発し、第二京阪、京滋BP、名神を走り、関ヶ原ICを出て国道21号を行く。岐阜の手前から国道157号に入り、市街地をとおって岐阜駅を過ぎたところから国道256号を進む。長良川を渡ってしばらく行くと市街地を出て暗い夜道となり、道の駅”ラステンほらど”を過ぎるとほどなく3月に登った高賀山への道を分ける。さらに進んで郡上方面に向かう国道と別れて県道52号を行く。板取川温泉を過ぎたところで左折して板取川沿いの中電の工事用道路を走り、短いトンネルを通り抜けて18日の午前2時30分ごろに立派なトイレのある駐車場に着いた。そこから先の道は通行止めとなっていた。駐車場には他に車は見られなかった。
夜明けまで少し時間があるので仮眠することにしたがあまりよく寝られず、早朝の寒さがたまらずに起き出したのは4時を回ったころだった。いつの間にか隣に車が1台止まっていた。支度をしている間にもう1台やってきたが、いずれも登山者ではなく渓流釣りなどが目的のようだった。今日は長丁場になりそうなので用意も整った4時40分に駐車場を出て平家岳山頂に向かった。

行 程
国土地理院地図

 
川浦登山口−美濃平家岳分岐−中電小屋−面谷口分岐−井岸山−平家岳(往復)

天 候 晴れ


午前4時40分に駐車場を出発。前方に通行止めのゲートがある。通行可能となるのは7月から。

10分ほど歩いて行くと新深山トンネルがあったが、暗い道はあまり感じが良くないので左手の旧道を行く。トンネルができる前の道だが今は車は通れないようになっている。

旧道を10分ほどでトンネルの反対側に出る。写真は振り返ってみたもので、登山口は左手の改修された沢の傍にあった。

登山口には道標などはなく、木の枝に吊り下げられてある赤い布きれが目印のようだった。これからこの中電の巡視路を辿って行く。時刻は5時5分。

登山口の標高は約500mで、尾根の稜線まで約400mの登りとなる。
この急登はなかなかのもので、寝起きの体には応えた。
能郷白山などの奥美濃の山々や笈ヶ岳、毛勝山の取り付きの急だったことを思い出させる登りだった。

つづら折り急登を続けること45分ほどで不意に頭上が開けて
送電塔のある平地に出る。
No.49鉄塔で、これからNo.33鉄塔まで辿って行くことになる。先は長い。

No.49鉄塔から10分ほどでようやく尾根の稜線に着く。
道の傾斜も緩くなりホッと一息ついた。
No.48鉄塔はそこからすぐのところだった。

No.48鉄塔から南側を眺める
旧道から見上げていた山々がほぼ同じ高さになった。

     
No.48鉄塔から少し進んだところの登山道。
まわりは新緑の木々に囲まれており、朝日を受けたその風情は瑞々しいことこの上ない。
先ほどまでの急登の疲れが癒されます。

6時45分にNo.46鉄塔に着く
標高も1000mを越えてだいぶ眺めが良くなってきた。
中央左寄りに見える山は3月に登った高賀山。

No.46鉄塔からNo.45鉄塔の間は綺麗な新緑の中の道。

萌黄色の葉を付けた木々がどこまでも立ち並んで続く。

登山道の脇にはブナの大木も多く見られた。

No.45鉄塔からNo.44鉄塔を見る。登るにつれて見通しは良くなってきたが、なんだか”ここまでおいで”と言われているようで強制力を感じる。

7時15分にNo.44鉄塔に着く。そこからは次のNo.43鉄塔が手招きしているのが見えた

標高は1200m近くになり高度が上がってきたためか、
新緑は相変わらず綺麗だが葉っぱの付き具合が幾分か疎らになってきた。
青空も透いて見えるようになってきている。

 No.44鉄塔とNo.43鉄塔との間に咲いていたシャクナゲ。
ここまで碌に休憩を取らずに来たので花を見ながら一服入れることにした。

急登して7時45分に辿り着いたNo.43鉄塔からの眺め。
中央手前に登ってきた尾根が見える。

No.43鉄塔からNo.42鉄塔を見上げる。
またまた急登となりそうだ。


No.42鉄塔の手前からの眺め。
中央遠くの山は高賀山。

8時にNo.42鉄塔に着く。
標高も1300m近くになり、木々も低くなって見通しが良くなってきた。

No.42鉄塔からの西の眺め
左に左門岳、中央遠くに能郷白山、その右手前に屏風山が頭を覗かせている。

8時15分にNo.41鉄塔着。ここで2回目の休憩をとる。

振り返って登ってきた尾根を見る。ここの標高は1373mで伊吹山とほぼ同じ高さ。

その伊吹山は左門岳の左遠くに見える。
伊吹山の左の山は鈴鹿の霊仙山。右には北尾根から奥美濃の山々が連なる。


No.41鉄塔からNo.40鉄塔を見る。
立ち並ぶ鉄塔を見ながら、以前テレビで放映されていた”鉄塔武蔵野線”という映画を思い出した。
いつ果てるとも知れない登りが続く。なかなかしんどい道だ。

しかし天気はよいし、新緑も見頃でなんとか頑張れそう。

登山道脇には所々でシャクナゲが咲いている。
下の方よりも色が赤いが種類が違うのかな。

No.40鉄塔には8時45分着。
ここも見晴らしの良いところで、ようやく平家岳を望むことができた。

 
これから辿る尾根を見れば、中央の1413mピーク上にNo.37鉄塔が、その右手前にNo.38鉄塔が立つ。No.38鉄塔は美濃平家岳への登り口となる所だ。遠くには経ヶ岳や赤兎山、大長山などの越前の山々が見える。

  右に目をやれば樹林に覆われた美濃平家岳が大きく見える。その左手前はNo.39鉄塔。美濃平家岳の向こうに見えるのはまだ多量の雪を纏った加賀の白山。

No.38鉄塔付近の登山道。
このあたりの木々の葉っぱはようやく芽吹いたばかりの状態。


No.38鉄塔も見晴らしがよい。特に近くなった平家岳の良い展望台だ。
時刻は9時を回っていてここまで4時間以上掛かっているが、あと1時間ではとても辿り着けそうにない。


 
美濃平家岳の山腹を巻いてNo.37鉄塔に向かう。道の脇にはシャクナゲやタムシバが咲いている。

  9時25分にNo.37鉄塔に着く。振り返り見れば美濃平家岳から続く稜線上に辿ってきた鉄塔が並んでいる。

No.36鉄塔へ向かう途中で見た御嶽山。

No.37鉄塔から10分ほど下ってNo.36鉄塔に着く。
そこからは加賀の白山と越前の山々が見渡せた。なかなかいい眺めです。

しかしこれから行く平家岳の方向を見ると遥か下の鞍部に小屋が見えた。地図では標高1200mほどのところだ。
折角1400m前後の稜線を辿ってきたのに、ここに来て200m下り、250m登り返すことになる。
行きはまだよいが、疲れが出る帰りのことを思うと気が重たくなる。ここはこのルート中最大の試練の場所だろう。

下りついた鞍部からNo.36、37鉄塔を見上げる。
帰路はこれを登るのか・・・。

鞍部に建つ中電の作業小屋。最後の登りに備えてここで休憩と腹拵えをする。

小屋からNo.34鉄塔に向かう途中で咲いていたシャクナゲ。登りの苦しさは花でも見ながら紛らわすしかない。

 
 No.34鉄塔からの眺め。
右から御嶽山、乗鞍岳、北アルプスの山々が見える。
今日は雲が多いが空気は澄んでいて見通しはよい。

 
No.34鉄塔からは井岸山の山腹を巻く道となり、最後のNo.33鉄塔を過ぎると稜線に向かってつづら折りの登りとなる。途中にはカタクリが沢山咲いていた。

  10時35分に面谷方面からの道と合流する。あとは井岸山を経て平家岳への100mほどの登りを残すのみだ。

 
 井岸山への道。

午前10時45分に平家岳の一郭である井岸山に到着。
今日始めて文字の書かれた道標類を見ました。

井岸山からは東の方に辿ってきた山並みが見渡せた。
一番高いピークが美濃平家岳。

そして西には間近に迫った平家岳。
秘境の山にあと一登りで辿り着くことができる。

井岸山と平家岳との鞍部に寄り添って咲いていたリンドウ。

平家岳への登りの途中には可憐なカタクリの小さな群落も見ることができた。

予定より1時間遅れて午前11時に平家岳山頂に到着。
登山口から6時間掛かったが今の体力ではこんなものかも知れない。
なにはともあれ日帰り登山で長時間かけて無事登頂を果たした感激は毛勝山以来のものだった。

山頂には三角点があるだけで標示板らしきものは見あたらなかった。
これも秘境の山らしくてよい。
秘境の山頂を独り占めして山岳展望を開始。

 
 まず東の方の中央アルプス。
木曽駒ヶ岳から南駒ヶ岳への連なり。

その左には御嶽山から北アルプスにかけての山々。

御嶽山

乗鞍岳

穂高から剣までの北アルプス

右から穂高連峰、槍ヶ岳、笠ヶ岳。

 北アルプスの核心部。
中央左寄りに黒部五郎岳、その右奥に水晶岳、さらに右に鷲羽岳や三俣蓮華岳。

 北アルプス北部。
右から薬師岳、立山・剣方面

 
 北には加賀の白山と越前の山々。左に荒島岳。

霊峰白山。
手前に別山が重なる。その手前には三ノ峰から一ノ峰にかけての稜線が続く。

 
 右に赤兎山と大長山。左に経ヶ岳。
未踏の経ヶ岳は今回の山行の候補に挙げていたが次の機会に期すことにした。

西には能郷白山と奥美濃の山々。左に伊吹山が小さく見える。

能郷白山と屏風山(右)。

南の方遠くには鈴鹿の山も見えた。
よく分かりませんが右から霊仙山、御池岳、藤原岳そして御在所岳方面と思われます。

東西に長い山頂の東側からは幽かに南アルプスも見ることができた。

確認できたのは悪沢、荒川、赤石、聖などの南部の山々。
北部は中央アルプスに遮られて見えていないのかも知れない。

十分な山岳展望と十分とは言えない休憩をとって、11時40分に帰途についた。
行く手に井岸山とその向こうに美濃平家岳から続く山並みが見える。

井岸山と美濃平家岳との間には懸案の大下りと登り返しが待っている。

12時25分に小屋のある鞍部まで戻ってきた。
かなり疲れも出てきたがこれからの200mの登りが正念場だ。

と意気込んでも疲れるだけなので、登りのことは考えずまわりの新緑や可憐な花々に注意を引き、
ゆっくりと着実に進んで行く。

午後1時過ぎにNo.36鉄塔まで登り返す。

 
 No.39鉄塔から平家岳(左)を振り返る。午後2時。
少々疲れたのでここで寝転がって小休止とした。
青い空が広がり爽やかな風が吹く至福の休憩時間だった。

 
 No.41鉄塔からこれから下って行く尾根を見おろす。午後2時50分。

 
 幾つもの鉄塔を通り過ぎて尾根道をドンドン下る。

 
尾根の稜線から下り始めたのは午後4時10分。つづら折りの道を急降下して登山口には午後4時55分に戻りついた。予定の3時を2時間超過する結果となった。

  登山口から駐車場までは朝と同じく旧道を歩いた。駐車場には午後5時20分着。休憩を含めて駐車場から往復12時間40分掛かったことになる。往復20km、累積標高差1400mは、日帰りでこれまで最も厳しかった平ヶ岳に匹敵するものだった。
帰りは高賀山の時と同じく美濃ICから高速を走って家に着いたのは9時ごろ。
長い間気になっていた秘境の山、平家岳に登り、好天気の下新緑と展望、それに長い尾根歩きを十二分に満喫した山行だった。


コースタイム
往  駐車場(4:40)−登山口(5:00-5:10)−稜線(6:05)−No.44と43の中間点(7:20-7:30)−No.41(8:15-8:25)
   −美濃平家分岐(9:05-9:10)−中電小屋(9:50-10:00)−平家岳(11:00)

復  平家岳(11:40)−中電小屋(12:25−12:30)−No.37(13:15-13:20)−No.39(13:50-14:00)
   −No.43と44の中間点(15:10-15:20)−下降点(16:10)−登山口(16:55)−駐車場(17:20)

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