釈迦ヶ岳
2006年(平成18年)11月4日


メ モ
大峰山脈の中で比較的よく歩かれているのは、北の山上ヶ岳から南の釈迦ヶ岳までの間と思われる。このうち北部の代表的な山である山上ヶ岳や稲村ヶ岳大普賢岳、弥山、八経ヶ岳には登っているが、まだ中部の山には足を踏み入れていない。
そこで秋も深まってきたこの連休を利用して南部の要である釈迦ヶ岳へと出掛けることにした。釈迦ヶ岳に登るコースは縦走路以外では二つあるが、その歴史と景観や登り甲斐を考慮して躊躇なく前鬼からの道を選んだ。
4日未明の2時45分に家を出発し、国道169号をひた走りに走って前鬼の駐車場に着いたのはまだ暗い午前5時35分。少し休んでから支度をして、ようやく夜も白んできた午前6時5分に出発した。

行 程

前鬼駐車場
↓↑
前鬼(第29靡)
↓↑
二つ岩(第33靡)
↓↑
太古ノ辻
    ↑
        ↓  大日岳     
    ↓ (第35靡)
    ↑
深仙ノ宿(第38靡)
↓↑
都津門(第39靡)
↓↑
釈迦ヶ岳(第40靡)

距離     :  11.9km
最大標高差: 1,196m
累積標高  : 1,254m
 
 
天 候

晴れ時々曇り
 (気象庁 : 過去の天気図)  

山行記録

午前5時35分に前鬼手前の駐車地に到着。
支度をして午前6時5分に出発。

しばらく車道を歩いて行くと
前鬼の手前にその由緒が説明された案内板がありました。

車道を30分ほど歩いて前鬼に到着。第29靡です。
早朝のことでもあり人の気配はない。

修行者あるいは登山者用の宿泊所の前を通って登山道へ。

登山道に入って緩く登って行く。

杉木立の中に往時の宿坊の跡が散在する

案内板に書かれた五鬼熊や五鬼童の住居跡。

かつての賑わいを偲ばせる杉木立の中の宿坊跡を通り抜けて道は白谷へと入って行く。

始めのうちは緩やかな道だが、落葉が積もっているので道筋が分かりにくいところもある。
まだ紅葉には少し早い林の中に朝日が差し込んでまわりが幾分か明るくなって来たころ
涸れた沢を2回渡ると、いよいよ急登が始まる。


呼吸を整えて足を踏み出そうとした瞬間、ふと前方を見上げると子供を二匹連れた動物が登山道を横切っていった。
ひょっとしたら熊かも知れないと思って慌てて熊避けの鈴をつけた。
しばらく様子を伺ってから急坂を登り始める。


二つ岩までは急登が続く。

岩混じりの道はやがて木製の階段の登りになる。
3つの階段を登り切り、大岩の横を通ったあとにも次から次へと階段が現れる。

いい加減うんざりしてきた頃ようやく階段の登りも一段落して平坦な道になる。
そこから少し行くと二つ岩に着いた。
午前7時40分。
二つ岩とはセイタカ童子とコンガラ童子。両童子岩とも呼ばれるようです。

二つ岩の後ろに回ると五百羅漢岩がある孔雀岳の東斜面の展望があるが、
今は雲が多く日差しがないのであまり迫力はない。
しかしその左の釈迦ヶ岳の手前の岩に囲まれた千手岳(第34靡)はなかなか迫力があった。

二つ岩から先しばらくは尾根の斜面を巻く起伏の少ない道が続く

このあたりの紅葉はまずまずでした。

大日岳を頭上に見上げる涸れ沢あたりからはまたまた木製の階段が延々と続く。

階段の後は笹原の中の道となり、太古ノ辻目指して登って行く。

午前8時25分に太古ノ辻に到着。
太古ノ辻は笹原の中に木々が散在する明るく開けたところだった。

太古ノ辻にある背くらべ岩。
これが第33靡の二つ岩という説もあるようです。

紅葉は終わりかけ。

大日岳が迫力ある姿で迫ってくる。

10分ほど休憩してから深仙ノ宿を目指して出発する。
ここから奥駈道です。

大日岳へは帰途に寄ることにして、
往路は
大日岳を巻き、大日岳への分岐から聖天ノ森を経て深仙ノ宿に向かう。

途中の岩の上から釈迦ヶ岳と孔雀岳を望む。
四天岩や五百羅漢岩方面も見える。

聖天ノ森(第37靡)付近からは眼下に深仙ノ宿と
その後ろに目指す釈迦ヶ岳が望まれた。

午前8時55分に深仙ノ宿(第38靡)に到着。
下りついた深仙ノ宿にも人の気配はなし。灌頂堂にお参りをしてから最後の登りに掛かる。

深仙ノ宿から釈迦ヶ岳に向かう。

深仙ノ宿からつづら折りの道を一登りすると右手に大きな岩壁が現れる。
その中程には穴が空いており、穴から向こう側の空を覗くことができる。
変わった岩だなぁと思って帰って調べてみると、どうも極楽の都津門(第39靡)と呼ばれるものらしかった。

奥駈道を急登する。

都津門から少し登ると眺めのよい小ピークに出る。
そこからは左手に釈迦ヶ岳がまだまだ高く遠く望まれ、
その頂きの木々の間に釈迦如来像の光輪を認めることができた。


視線を右下におろして行くと釈迦ヶ岳や孔雀岳の山腹に
五百羅漢と呼ばれる岩峰群が揃って東を向いて屹立していた。
その無心な姿からイースター島のモアイ像を連想したのだった。

小ピークからなおも笹の中の登りを続けて古田の森から来る登山道と合流する。

合流点から山頂まではほんの一登りで午前9時40分に到着した。
第40靡の釈迦ヶ岳の山頂にはあまりにも有名な釈迦如来像が祀られている。
大正13年に建立されたらしいが傷みが激しく近々補修されるらしい。

古田の森方面からの登山者で賑わう山頂からは、
秋霞の中に北には八経ヶ岳から孔雀岳にかけての大峰主稜線の山々を望むことが出来た。

弥山、八経ヶ岳、明星ヶ岳、楊枝ノ森。

仏生嶽と孔雀岳。

また南には高度を落とした南奥駈の山々熊野まで延々と続く
一時は雲が多かった空もよく晴れ渡り、晩秋の大峰山の眺めを心ゆくまで楽しんだ。
買ってきたお弁当を食べてしばらく休憩してから午前10時10分に山頂を辞し帰途に着いた。

下りはやはり楽だ。五百羅漢岩を眺めながら大日岳を目指す。

都津門を通過。

下って来た深仙ノ宿から四天岩を眺める。

深仙ノ宿からの大日岳。

深仙ノ宿を過ぎ、聖天ノ森を登り返して大日岳に向かう。

 
 大日岳の取り付き点。
一時奥駈道から離れてここから大日岳に登る。

見た目は凄い山だが、行場の右手に巻き道がある。
両手両足を使って這うように登る急登だがそれほど危険なところもなく狭い山頂に辿り着く。

第35靡の山頂には大日如来像が安置されていた。

大日如来像。
どのようにして運び上げたのだろう。

如来像の後ろに回り込むと行場の上部に出たが、
そこからは釈迦ヶ岳から孔雀岳にかけての広闊な展望が得られた。

深仙ノ宿と遠くに古田ノ森。
聖天ノ森や五角仙などの靡は手前のピークあたりにあるのだろうか。

 
 大日岳で20分ほど過ごしてから再び奥駈道に合流して下山を再開する。
合流点付近からも孔雀岳がよく見えました。

太古ノ辻で少し休憩。

二つ岩。
岩の形相が朝よりもよく分かる。

後ろに回ると孔雀岳が見えました。

帰途、不動七重ノ大滝を眺める。
二つ岩で少し休んだあとはドンドン下り続けて前鬼には午後1時35分に戻ってきた。
そこから車道を歩いて駐車場には午後2時ちょうどに帰り着き、かくして釈迦ヶ岳への山歩きは終了した。
これで大峰の主要な山には登ったがそれは奥駈道の中の小さな点に過ぎない。
いつか機会があれば是非ともその長大な主稜線を辿ってみたいと思う。



コースタイム
往  駐車場(6:05)−前鬼(6:35)−二つ岩(7:40)−太古ノ辻(8:25−8:35)−深仙ノ宿(8:55)
    −釈迦ヶ岳(9:40)
復  釈迦ヶ岳(10:10)−深仙ノ宿(10:45)−大日岳(11:10−11:30)−太古ノ辻(11:50−12:00)
    −二つ岩(12:35−12:50)−前鬼(13:35)−駐車場(14:00)
 

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