釈迦ヶ岳
2006年(平成18年)11月4日


メ モ
大峰山脈の核心部は、一般的には北の山上ヶ岳から南の釈迦ヶ岳までの間の20数kmと言われている。このうち北部や中部の代表的な山々である山上ヶ岳や稲村ヶ岳大普賢岳、弥山、八経ヶ岳には登っているが、まだ南部の山には足を踏み入れていない。そこで秋も深まってきたこの連休を利用して南部の重鎮である釈迦ヶ岳へと出掛けることにした。釈迦ヶ岳に登るコースは縦走路以外では二つあるが、その歴史と景観や登り甲斐を考慮して躊躇なく前鬼からの道を選んだ。
4日未明の2時45分に家を出発し、国道169号をひた走りに走って前鬼の駐車場に着いたのはまだ暗い5時35分。少し休んでから支度をして、ようやく夜も白んできた6時5分に出発する。吊橋が損傷しているため登山道は立入禁止となっており仕方なく車道を歩く。苦手な緩い勾配の車道を30分ほど歩いて前鬼に着く。早朝のことでもあり、あまり人の気配がない。休まずにそのまま登山道に入る。
かつての賑わいを偲ばせる杉木立の中の宿坊跡を通り抜けて道は白谷へと入って行く。始めのうちは緩やかな道だが、落葉が積もっているので道筋が分かりにくいところもある。まだ紅葉には少し早い林の中に朝日が差し込んでまわりが幾分か明るくなって来たころ涸れた沢を2回渡り返し、いよいよ急登が始まる。呼吸を整えて足を踏み出そうとした瞬間、ふと前方を見上げると子供を二匹連れた動物が登山道を横切っていった。ひょっとしたら熊かも知れないと思って慌てて熊避けの鈴をつけた。しばらく様子を伺ってから急坂を登り始める。
岩混じりの道はやがて木製の階段の登りになる。3つの階段を登り切り、大岩の横を通ったあとにも次から次へと階段が現れる。いい加減うんざりしてきた頃ようやく階段の登りも一段落して平坦な道になる。そこから少し行くと二つ岩に着いた。二つの岩の後に回ると、彼方の孔雀岳の東斜面に待望の五百羅漢が望まれた。しかしいつの間にか空には雲が多くなり、その眺めも今一つ冴えない。そのうち回復してくるだろうと希望的観測をして先に進む。二つ岩から先しばらくは尾根の斜面を巻く起伏の少ない道が続くが、大日岳を頭上に見上げる涸れ沢あたりからはまたまた木製の階段が延々と続く。階段の後は笹原の中の道となり、右手に大日岳を仰ぎながら登って8時25分に太古ノ辻に到着した。辿り着いた太古ノ辻は笹原の中に木々が散在する明るく開けたところだった。10分ほど休憩してから深仙ノ宿を目指して出発する。
奥駆け道は大日岳を巻き、大日岳への分岐から聖天ノ森を経て深仙ノ宿に至る。大日岳へは帰途に挑戦することにして先を急ぐ。聖天ノ森付近からは眼下に深仙ノ宿とその後に目指す釈迦ヶ岳が高く大きく望まれた。下りついた深仙ノ宿にも人の気配はなく、灌頂堂にお参りをしてから最後の登りに掛かる。(下につづく)

行 程  
前鬼駐車場−前鬼−二つ岩−太古ノ辻−深仙ノ宿−釈迦ヶ岳−深仙ノ宿−大日岳−太古ノ辻−二つ岩−前鬼−前鬼駐車場

天 候 晴れ時々曇り


不動七重ノ大滝(帰途に撮影) 駐車場から車道を歩いて前鬼に着く
前鬼から登山道に入る 杉木立の中に往時の宿坊の跡が散在する
朝日に映える紅葉
二つ岩まで急登が続く 階段の登り道
二つ岩で一休み(セイタカ童士とコンガラ童士)
登山道の紅葉 登山道の紅葉
大日岳を見上げながら太古ノ辻に向かう 笹の中の道を登る(太古ノ辻直下)
太古ノ辻に到着 紅葉が終わりかけの太古の辻西斜面
一休みのあと奥駆け道を釈迦ヶ岳に向かう 聖天ノ森付近から釈迦ヶ岳を見る
釈迦ヶ岳と孔雀岳(四天岩や五百羅漢が見える)
深仙ノ宿と釈迦ヶ岳 深仙ノ宿灌頂堂
メモのつづき
深仙ノ宿からつづら折れの道を一登りすると右手に大きな岩壁が現れる。その中程には穴が空いており、穴から向こう側の空を覗くことができる。変わった岩だなぁと思って帰って調べてみると、どうも極楽の都津門と呼ばれるものらしかった。このあたりに限らず大峰山脈には様々な名前がつけられた奇岩や名勝が散在する。先ほどの五百羅漢にしても、その中には特別な名称がつけられている岩もあるようだ。しかし今はそれらを知る由もない。
都津門から少し登ると眺めのよい小ピークに出る。そこからは左手に釈迦ヶ岳がまだまだ高く遠く望まれ、その頂きの木々の間に釈迦如来像の光輪を認めることができた。視線を右下におろして行くと釈迦ヶ岳や孔雀岳の山腹に五百羅漢と呼ばれる岩峰群が揃って東を向いて屹立していた。その無心な姿からイースター島のモアイ像を連想したのだった。
小ピークからなおも笹の中の登りを続けて古田の森から来る登山道と合流する。そこから山頂まではほんの一登りで9時40分に到着した。釈迦ヶ岳の山頂にはあまりにも有名な釈迦如来像が祀られている。大正13年に建立されたらしいが傷みが激しく近々補修されるらしい。古田の森方面からの登山者で賑わう山頂からは、秋霞の中に北には八経ヶ岳から孔雀岳にかけての大峰主稜線の山々を、また南には高度を落として熊野まで延々と続く南奥駆けの山々を望むことが出来た。一時は雲が多かった空もすっかり晴れ渡り、晩秋の大峰山の眺めを心ゆくまで楽しんだ。買ってきたお弁当を食べてしばらく休憩してから10時10分に山頂を辞し帰途に着く。
下りはやはり楽だ。深仙ノ宿をとおり、聖天ノ森を登り返して大日岳を目指す。見た目は凄い山だが、行者場の右手に巻き道がある。両手両足を使って這うように登る急登だがそれほど危険なところもなく狭い山頂に辿り着く。ここには大日如来像が安置されていた。その後に回り込むと行者場の上部に出たが、そこからは釈迦ヶ岳から孔雀岳にかけての遮るもののない広闊な展望が得られた。殆どの登山者は古田の森方面から来るらしく、この大日岳では先ほどの釈迦ヶ岳の頂上では考えられない静かな時を過ごすことが出来た。
大日岳で20分ほど過ごした後は太古ノ辻と二つ岩で少し休んだのみで、ドンドン下り続けて前鬼には13時35分に戻ってきた。そこから車道を歩いて駐車場には14時ちょうどに帰り着き、かくして釈迦ヶ岳への山歩きは終了した。これで大峰山の主要な山には登ったがそれは奥駆け道の中の小さな点に過ぎない。いつか機会があれば是非ともその長大な主稜線を辿ってみたいと思う。

深仙ノ宿から釈迦ヶ岳に向かう 釈迦ヶ岳への尾根
穴があいた岩(極楽ノ都津門)
釈迦ヶ岳への道 小ピークから釈迦ヶ岳を望む
小ピークから五百羅漢を見る
 古田ノ森からの道と合流する。頂上はもうすぐ 釈迦像が祀られた頂上
釈迦ヶ岳頂上からの北望(左遠くに八経ヶ岳・弥山、右側手前は仏生ヶ岳と孔雀岳)
孔雀岳 山頂からの南望。奥駆け道は遙かに延々と続く
帰途、深仙ノ宿から見た大日岳
 
 帰途、大日岳に登る
大日岳山頂。大日如来像が祀られている 大日岳から古田ノ森を望む
 
大日岳から深仙ノ宿方面を望む 
大日岳から見た釈迦ヶ岳
分岐点からは五百羅漢もよく見えた

コースタイム
往  駐車場(6:05)−前鬼(6:35)−二つ岩(7:40)−太古ノ辻(8:25−8:35)−深仙ノ宿(8:55)
    −釈迦ヶ岳(9:40)
復  釈迦ヶ岳(10:10)−深仙ノ宿(10:45)−大日岳(11:10−11:30)−太古ノ辻(11:50−12:00)
    −二つ岩(12:35−12:50)−前鬼(13:35)−駐車場(14:00)
 

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