利尻山
2009年(平成21年)7月12日


メ モ
初めて利尻山へ登る計画を立てたのは2年前のことだったが、2ヶ月前の5月から宿や飛行機の予約をしていたところ、直前になって都合が悪くなり取り止めた経緯がある。去年も山行は考えたが、天候の具合からニペソツ方面を選ぶ結果となった。今年もシーズンが近づくにつれて週末の空模様を気にしていたが、どうやら12、13日あたりが良さそうだと云うことで、直前の10日の金曜日に宿に予約を入れ、航空券を手配して出掛けることとした。
11日の午前11時過ぎ、ANA1797便は定刻に関空を飛び立った。2時間ほど飛び続けて稚内に着いたのは午後の1時すぎ。バスに乗り換えてフェリー乗り場に向かう。雲は多いものの青空も覗いており、徐々に良くなっているような空模様だった。フェリー乗り場で1時間ほど時間待ちをしてから乗り込み始めたが、後からも後からも団体客が押し寄せてきて客室は満員状態だった。
午後3時30分、フェーリーは岸壁を離れ、稚内を後にして鴛泊に向かった。納沙布岬を目指して北に行くほどに青空は広がって行き、北国の透明感に溢れた景色が広がり始める。岬を回り込んで行くと、まず礼文島の黒い影が見え出す。しばらくして雲に覆われた利尻島が見えてきた。3度目の正直を期待したこの山行は果たしてどのような結果になるのだろうか。

行 程

北麓野営場
↓↑
甘露泉水
↓↑
6合目
↓↑
長官山
↓↑
利尻山

距離     :  12.3km
最大標高差: 1,507m
累積標高  : 1,521m
 
天 候

快晴
 (気象庁 : 過去の天気図)

山行記録

稚内を出航したフェリーは宗谷岬を右にして北上する。青空も広がり始めて天候は回復傾向だ
やがて納沙布岬を回り込んで鴛泊に向かう。進むうちに礼文島の左に利尻島が見えてきたが、僅かに山頂部が顔を覗かせているのみだった

鴛泊に着いたのは午後5時10分。迎えの車で宿に行く。宿の部屋からはペシ岬がよく見える。空は曇ったままで明日の天気が気になるところだ

昨夜6時からフェリー乗り場の2階で夕食を戴いたあとは特にすることもなく8時ごろには横になった。
あまりよく寝られなかったが、3時過ぎに起きて外を見ると案じていた上空の雲は消え去っていた

6人の登山客を乗せた宿の車が登山口に着いたのは早朝の4時前。お礼を言って車を見送り、簡単な朝食をとって4時10分に出発した

登山口は登りと下りが分けられており、登りの道には写真のような洗い場があって、そこで靴に着いている種子などを洗い落とすようになっていた

舗装された遊歩道を8分ほど歩いて行くと甘露泉水に着く。帰りはここで渇いた喉を潤すことになるだろう

甘露泉水から少しで3合目の道標があり、さらにポン山との分岐を過ぎてぬかるんだ道を登って行く。4合目を過ぎると泥濘もなくなり歩きやすくなる

早朝の薄暗い樹林の道を登って5合目に着くと、一気に視界が開けて紺碧の海と青い空の間に礼文島が見えた。
登り始めて初めて見る印象的な眺めだった。右の山はポン山

更に登り続けてダケカンバの中にハイマツも見られるようになると6合目に着く。ここは第一見晴台と書かれているように頗る眺めがよかった

礼文島を望む
第一展望台からは鴛泊の町とペシ岬がよく見えた。手前左にポン山も見える
6合目からもまだまだ登りは続き、傾斜もきつくなってくる。7合目からは七曲がりと云われるつづら折りの登りが始まる

樹林の切れ間から目指す稜線を見る
つづら折りの登りが終わっても8合目はまだまだ先だ。途中で岩が露出した眺めのよい所があったので少し休憩する。
ペシ岬や鴛泊が一望できる。手前はポン山

行く手の稜線を見上げる。8合目は多分あの稜線上にある。あそこまで行けば待望の利尻山が見えるはずだ

登り始めて2時間45分で8合目に到着。ここからは期待に違わぬ利尻山の眺めが得られた
8合目からの利尻山。写真で見た印象よりも遙かにスケールの大きい山だった。
8合目は小広い平坦地で休憩適地。これからの登りに備えて腹拵えをする
(画像をクリックすると拡大されます)

8合目から一登りで長官山の山頂に着く。これから辿って行く道が一望できる。
稜線上には避難小屋も見える
(画像をクリックすると拡大されます)

避難小屋。利尻岳山小屋と書かれている。小屋の裏にはトイレブースが2つあった。ブースはここ以外に6合目の上と9合目にある

避難小屋を過ぎるとこのコースの中で最も厳しい登りが始まる
9合目から長官山を振り返る。稜線上に赤い屋根の小屋が見える。
8合目も遙かに見下ろすようになった

9合目から頂上を見上げる。ここから正念場の登りが始まる 沓形道分岐近くの登山道。赤く滑りやすい火山礫の道で、頂上直下まで続く

雪渓上部からの眺め。黄色くなっているのはボタンキンバイの群落のようだ。
長官山から山頂までの登山道の脇には可憐な花々が咲いていた

エゾカンゾウ チシマフウロ
ゴゼンタチバナ イブキトラノオ
リシリヒナゲシ ボタンキンバイ
ハクサンイチゲ
ゴゼンタチバナやイブキトラノオ、ハクサンイチゲなどの両白山地の名が付いた花を見ることができ、
この孤高の山に一層の親しみを感じた

エゾツツジ ミヤマアズマギク
深く削られた切り通しのような所を過ぎると頂上は近い 頂上は目前。祠が見える
山頂の祠に無事登頂のお礼をする。山頂には10人ほどの人たちがいた。日曜日にもかかわらず思ったほどの人数ではなかった

鴛泊で同宿の方に記念写真を撮って戴く。その方はもう2週間以上も北海道を巡っているとのことだった

辿り着いた山頂は北峰で、そこからは南側に南峰とローソク岩が目の前に見えた。北峰は1719mで南峰より2m低い

山頂から西の沓形方面を望む
北の眺め。一時雲がかかっていた礼文島も今は晴れている。右端に鴛泊が見える
鴛泊方面の眺め。右手の海上に見える白い点は稚内に向かうフェリー

そのフェリーをズームアップ
ペシ岬をズームアップ。鴛泊はちょうど雲の下。手前の稜線上には8合目が見える
東には納沙布岬や宗谷岬から続く北の大地、北海道が見える
頂上直下の東斜面には黄色いボタンキンバイの群落が広がる
反対側の西の斜面には白いハクサンイチゲの群落が・・・
山頂で45分ほど休憩して展望を楽しんでから帰途に着く。山頂を振り返りながら下り続ける

避難小屋付近から山頂を振り返る
長官山から利尻山を振り返る
8合目から利尻山を振り返る。ここで大休止をとり宿で作って戴いたお弁当を戴く。利尻山も見納めだ
午後1時10分に登山口に戻り、宿の車で利尻富士温泉まで送って戴く。温泉に浸かり、宿に戻って少し休憩してからペシ岬に登った

ペシ岬から北海道を望む。紺碧の海と青い空
ペシ岬から利尻山と鴛泊港を見る
鴛泊に入港するフェリー。昨日のこの便で利尻にやってきたのだが、遠い昔のような気がする

はるかに礼文島を望む。だいぶ日が傾いてきた
夕食時に同宿の単独行の方々と無事登頂を祝して乾杯した。夕食を戴いてから宿の企画で夕日ヶ丘展望台へ行く。利尻山には雲がかかっていた

礼文島に沈む夕日。今日は本当に素晴らしい天気だった
朝起きてみると曇り空。あんなに夕日が綺麗だったのに信じられないことだった。宿の車で港まで送って戴き、11時発のフェリーに乗って稚内に向かう。2便目のこのフェリーはよく空いていた 船尾から遠ざかる利尻島を見る。(加藤文太郎の言葉を借りて)嗚呼利尻山よ、また会う日までと泣かずにはいられなかった

コースタイム
(休憩を含む)
往  北麓野営場(4:10)−6合目(5:33-5:43)−8合目(6:55-7:10)−利尻山(8:45)
復  利尻山(9:30)−8合目(10:40-11:05)−5合目(12:07-12:15)−北麓野営場(13:10)


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