入道ヶ岳
2006年(平成18年)11月25日


メ モ
今年のシーズン最後を飾る山歩きとして近場でどこか良いところはないかと調べたところ、鈴鹿南部の入道ヶ岳から鎌ヶ岳への縦走に興味が惹かれた。入道ヶ岳の山頂部は笹原に覆われた開放的なところだが、入道ヶ岳から鎌ヶ岳の間は一転して起伏の多い険しい尾根道が続き変化に富んだ山歩きが出来そうだった。さらに紅葉もまだ充分に楽しめそうで、かつ予報によると25日の午前中は晴天が期待できる。と云うわけで、連休中日の土曜日に出掛けることとした。
早朝の4時に家を出発し、国道163号から名阪国道などを走って未明の宮妻峡登山口に着いたのは6時過ぎだった。しかし車から出て薄明るくなった空を見上げると一面に雲が広がっており、予想した秋晴れとはほど遠いものだった。予報が外れたことにがっかりしたが今更どうしようもないので支度をして6時半頃に出発した。
駐車場から少し下って沢を2回渡るとすぐに急な登りとなる。奥美濃の山に似た急傾斜で、寝起きのような体にはかなりきつい。息を切らさないように一歩一歩ゆっくりと登る。きつい登りの見返りはすぐに高度を稼ぐことが出来てまわりの景色がドンドン変わって行くことだ。振り返ると葉を落とした木々の間から水沢岳から鎌ヶ岳にかけての鎌尾根が見える。しかし生憎の空模様であの鎌ヶ岳まで行く気力は半減していた。登山道のまわりの樹林は黄色や赤に紅葉していてなかなか綺麗だが、如何せん曇り空ではその鮮やかさも今一つだ。やがて傾斜も緩くなりアセビの林を抜けると突然目の前に伊勢湾の眺めが広がる。あちらの方は晴れているのだろうか、海面が金色に輝いている。
そのあと比較的起伏の少ない道や痩せた尾根を登って行くうちに、不意に樹林帯を抜け出て一面笹に覆われた明るい斜面に出た。振り返ると宮妻渓谷越しに見える鎌ヶ岳も雲に覆われ始めている。笹の中の道を登り詰めたところは北ノ頭で、そこから南の方に頂上に鳥居が建てられた入道ヶ岳が望まれた。
その入道ヶ岳に着いたのはちょうど8時だった。冷たい風が吹き抜ける山頂からは東に伊勢平野と伊勢湾の広大な眺めが得られた。しかしその東の方から盛んに流れてくる雲は背後の鎌ヶ岳から御在所岳にかけての稜線にぶつかり、、その山頂部を覆い隠すのだった。風が吹いて寒いので入道ヶ岳の頂上を早々に辞して北ノ頭に戻り、取り敢えず水沢峠を目指す。

行 程

宮妻峡登山口

北ノ頭

入道ヶ岳

奥宮

重ね岩

仏岩磐座

水沢峠

宮妻峡登山口

距離     : 8.4km
最大標高差: 584m
累積標高  : 763m
 
天 候

曇り
(気象庁 : 過去の天気図) 

山行記録

宮妻峡登山口から沢を渡って登山道に入る 急登を続けてポイント3を通過
アセビの林を抜けて起伏の少ない道を行く 樹林帯を抜けて笹原の道を登る
登山道を振り返る。後ろは雲母峰 北ノ頭を目指す
北ノ頭からの鎌ヶ岳、御在所岳方面(左端の凹部が水沢峠)
入道ヶ岳山頂と光る伊勢湾
椿大神社奥宮から入道岳を振り返る
メモの続き
北ノ頭からしばらく進むと椿大神社の奥宮があり、そこからも正面に入道ヶ岳がよく見えた。奥宮にお詣りをしてから先に進む。笹が生い茂った道を行くと間もなく急降下の尾根道となる。しかも右手は絶壁になっており、まかり間違えば一巻の終わりとなるのでいやが上にも慎重になる。鞍部に下り立ってほっと一息つくが、そのあとも頻繁に痩せ尾根や岩道の起伏が現れる。また落ち葉が道を覆い隠しているため、木につけられたマーカーなどによく気をつけていないと道を見失う恐れもあった。やがて水平に断ち切られたような岩がある小ピークに着く。多分重ね岩と云うものだろう。そばにはポイント4の標識があった。さら5分ほど行くと一見仏像のような形をした三角形の岩が谷側に張り出した岩の上に鎮座していた。これがこの尾根の名前のもととなった仏岩の磐座に違いないと一人で納得しながら先に進む。
イワクラ谷へ下る道との分岐を過ぎ、小さな上り下りを繰り返したり、奇岩を見たりして登り着いたところは宮指路岳への分岐点だった。ここにはポイント1の標識があった。イワクラ尾根の道はここで右に折れて続いて行く。途中に花崗岩が風化したガレ場があり、そこからは遠く入道ヶ岳から辿ってきた尾根が見渡せた。入道ヶ岳の頂上部も雲に覆われ始めており、もはや天気の回復は期待できない状況だった。
水沢峠に下り立ったのは10時過ぎだった。峠に下る途中で見上げた水沢岳も既に雲の中にあり、鎌尾根を辿っても2時間の間ただ霧の中の岩場の登降を繰り返すだけだと考えると、先に進む気力が全く失せてしまった。と云うわけで、水沢峠で小休止したあと宮妻峡目指して一気に谷を駆け下りていった。水沢谷の上部は崩れやすい急傾斜の道だったがそれもすぐに終わり、薄暗い杉の植林帯を抜けて峠から30分ほどで車道に下り立った。まだまだ綺麗な紅葉を眺めながら車道を30分ほど歩いて駐車場に戻り着いたのは11時15分。鎌尾根の縦走が未達に終わって不完全燃焼の気持ちを抱きながらも、今年最後の山歩きはこれで終了したのだった。

イワクラ尾根の痩せ尾根を行く 重ね岩
磐座と雲母峰
イワクラ谷分岐 宮指路岳分岐
入道ヶ岳を振り返る
水沢峠 水沢谷の紅葉
水沢谷上部を振り返る 水沢峠登山口に出る
宮妻峡に向かって車道を行く 紅葉を見ながら宮妻峡に戻る

コースタイム
 宮妻峡駐車場(6:35)−北ノ頭(7:55)−入道ヶ岳(8:00−8:05)−北ノ頭(8:10−8:30)
 −仏岩(9:20−9:25)−水沢峠(10:05−10:10)−水沢岳登山口(10:45)−宮妻峡登山口(11:15)

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