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今年のシーズン最後を飾る山歩きとして近場でどこか良いところはないかと調べたところ、鈴鹿南部の入道ヶ岳から鎌ヶ岳への縦走に興味が惹かれた。入道ヶ岳の山頂部は笹原に覆われた開放的なところだが、入道ヶ岳から鎌ヶ岳の間は一転して起伏の多い険しい尾根道が続き変化に富んだ山歩きが出来そうだった。さらに紅葉もまだ充分に楽しめそうで、かつ予報によると25日の午前中は晴天が期待できる。と云うわけで、連休中日の土曜日に出掛けることとした。
早朝の4時に家を出発し、国道163号から名阪国道などを走って未明の宮妻峡登山口に着いたのは6時過ぎだった。しかし車から出て薄明るくなった空を見上げると一面に雲が広がっており、予想した秋晴れとはほど遠いものだった。予報が外れたことにがっかりしたが今更どうしようもないので支度をして6時半頃に出発した。
駐車場から少し下って沢を2回渡るとすぐに急な登りとなる。奥美濃の山に似た急傾斜で、寝起きのような体にはかなりきつい。息を切らさないように一歩一歩ゆっくりと登る。きつい登りの見返りはすぐに高度を稼ぐことが出来てまわりの景色がドンドン変わって行くことだ。振り返ると葉を落とした木々の間から水沢岳から鎌ヶ岳にかけての鎌尾根が見える。しかし生憎の空模様であの鎌ヶ岳まで行く気力は半減していた。登山道のまわりの樹林は黄色や赤に紅葉していてなかなか綺麗だが、如何せん曇り空ではその鮮やかさも今一つだ。やがて傾斜も緩くなりアセビの林を抜けると突然目の前に伊勢湾の眺めが広がる。あちらの方は晴れているのだろうか、海面が金色に輝いている。
そのあと比較的起伏の少ない道や痩せた尾根を登って行くうちに、不意に樹林帯を抜け出て一面笹に覆われた明るい斜面に出た。振り返ると宮妻渓谷越しに見える鎌ヶ岳も雲に覆われ始めている。笹の中の道を登り詰めたところは北ノ頭で、そこから南の方に頂上に鳥居が建てられた入道ヶ岳が望まれた。
その入道ヶ岳に着いたのはちょうど8時だった。冷たい風が吹き抜ける山頂からは東に伊勢平野と伊勢湾の広大な眺めが得られた。しかしその東の方から盛んに流れてくる雲は背後の鎌ヶ岳から御在所岳にかけての稜線にぶつかり、、その山頂部を覆い隠すのだった。風が吹いて寒いので入道ヶ岳の頂上を早々に辞して北ノ頭に戻り、取り敢えず水沢峠を目指す。
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