武尊山
2008年(平成20年)11月14日

メ モ
身を切るような冬の季節風が吹く前に今年最後の高山歩きをしようと10年振りに武尊山を訪れた。
10年前の平成10年に登ったのは5月の連休のことで、その時は川場キャンプ場から天狗尾根のルートで沖武尊を往復したが、稜線には雲がまとわりつくあいにくの空模様で、残念ながら遠くの展望は得られなかった。それでも沖武尊からはなんとか雲間に至仏山などを認めることができ、中でも南の方に鋭い頂を天に突き上げていた剣ヶ峰山が印象的だった。その後幾度か武尊山山行を考えたが、上越方面には他に登るべき山が多くてなかなか行く機会はなかった。
今年も晩秋の季節になり、まだ本格的な雪が降らないうちにと、週末の東京への出張を利用してこの武尊山や白毛門、岩菅山などの山歩きを考えたが、白毛門は過去2度登っているし、岩菅山は白砂山と併せて日が長い6月頃が適当と考えて、最終的に10年振りの武尊山に登ることとした。登山コースは、10年前に見た剣ヶ峰山も目的の一つとして、武尊神社から沖武尊、剣ヶ峰山を回って武尊神社に戻ってくるルートとした。
熊谷からレンタカーで国道17号を月夜野まで走り、そのあと水上を経て登山口の武尊神社近くの駐車場に着いたのは14日に日が変わる少し前だった。満月の明るい夜で、仮眠中にふと目を覚ますと、一瞬雪でも積もっているかのように錯覚するほどの月明かりに照らされた地面の白さだった。
ようやく夜明けの気配がしてきた5時半頃に起き、支度をして駐車場を出発したのは6時20分。幸い寒さは大したこともなく、空には雲一つない絶好の登山日和だった。武尊神社から沖武尊までの道は山の北側にあたるため少し寒かったが、沖武尊から剣ヶ峰山にかけての稜線歩きは小春日和の下で汗ばむほどだった。道中出会った登山者は僅か5名で、遠く富士山から南北アルプスや八ヶ岳、上信越や尾瀬、日光などの山々の展望を思う存分楽しむことができた晩秋の静かな山歩きだった。

行 程

武尊神社

剣ヶ峰山分岐

手小屋沢避難小屋

武尊山

剣ヶ峰山

須原尾根分岐

武尊神社

距離     : 11.4km
最大標高差: 1,053m
累積標高  : 1,126m
  




天 候

快晴
 (気象庁 : 過去の天気図)  

山行記録

 
 6時20分に武尊神社駐車場を出発。
オフシーズンでもありまた金曜日ということもあって車は3台のみ。


 
 舗装された車道を少し行くと武尊神社がある。安全祈願をして先に進む。


 
 まずは須原尾根を目指して行く。


 
 朝日を浴びる谷川岳を振り返りながら40分ほど歩いて分岐に着く。
直進すれば剣ヶ峰山へ、左は手小屋沢避難小屋のある須原尾根に向かう。


 
 すっかり葉を落とした樹林の中を尾根の稜線目指して登って行く。


須原尾根の稜線が近づいたころ振り返ると、遙かに朝日を受けた谷川連峰を眺めることができた。
右手の一ノ倉岳からオキノ耳、トマノ耳を経て左奥の仙ノ倉山まで続く国境の稜線。


 
 分岐から1時間ほど登って須原尾根の稜線に辿り着き、上ノ原からの道と合流する。


 
 合流地点から歩いて行くと左手下の樹林の中に
ドラム缶を転がしたような手小屋沢避難小屋があった。


武尊山の北側にあるこの尾根にはなかなか日が差さず、冷たく薄暗い樹林の中の道が続く。
しかし手小屋沢の対岸の山腹にはようやく朝日があたって、落葉した木々が白く輝いていた


 
 小さな起伏が続く道を歩いて行くとやがて傾斜もきつくなり、不意に目の前に岩の壁が現れた。
曲がった不安定な梯子でよじ登って行く。


 
 岩壁の上に出るとそこにはうっすらと雪が積もっていた。
凍り付いているところもあり、滑らないように慎重に登って行く。


やがて2番目の岩壁が現れる。
ここの傾斜は大したことはなかったが、岩に雪が凍り付いていて5箇所の難所の中では一番緊張した


 
胎内くぐりの横の岩道は難なく通過。


 
 次の4番目の岩の登りにも凍った雪が張り付いていたが、
冷たいクサリを頼りに一気に登り詰めた。


4番目の難所を登り切ると左手に岩が重なった見晴らしの良いところがあり、
燧ヶ岳や会津駒ヶ岳、至仏山、平ヶ岳などの広闊な眺めが得られた。


登ってきた方向を振り返ると谷川連峰が、また行く手には沖武尊の山頂も見えた


展望台のすぐ前には最後の岩壁がある。梯子とクサリで登り詰める。


難所を乗り越えたあとは間近になった山頂を眺めながら登って行く。


明るい稜線の右手には剣ヶ峰山へと続く尾根道が、
またその左後方には長い裾野を引いた赤城山の姿も眺められた。


 
 振り返れば谷川連峰から続く国境稜線の果てに苗場山。


 
 9時45分に沖武尊の山頂に着く。10年ぶりの頂きからは360度の展望が得られた。
少しくどいかも知れないが、記憶に留めるために以下に記します。


まず、西南の方向にはこれから行く剣ヶ峰山が鋭いピークを天に突き出している。
その遙か彼方には浅間山、八ヶ岳、そして富士山などが見渡せた。


以下反時計(左)回りで、上州の名山赤城山。


手前右から剣ヶ峰、家ノ串、中ノ岳。家ノ串の彼方には皇海山。


 
 上の写真の皇海山を拡大。


 
 その左に男体山や奥白根山などの日光の山々。


右から燧ヶ岳、会津駒ヶ岳、中央に至仏山、平ヶ岳などの尾瀬の山々。
左手遠くには越後三山の中ノ岳の鋭峰が見える。


上の写真の中ノ岳を拡大。右後ろに越後駒ヶ岳。


右の越後三山から続く上越国境の稜線。中央は巻機山、左には朝日岳


右の武能岳から続く谷川連峰、苗場山にかけての山並み。左手遠くに見える白い山は北アルプス白馬三山。
苗場山の右手遠くには冠雪した頸城山塊の火打山も見える。


谷川岳を拡大。


苗場山と火打山。苗場山の後ろに山頂部が少し見えるのは妙高山。


さらに反時計回りで、白馬三山の左には岩菅山、
その左には草津白根山などの上信国境の山が続く。左端のピークは四阿山。


北アルプス白馬三山を拡大。右手前の山は高妻山。


右の岩菅山の左に鹿島槍ヶ岳、剣岳、立山などが顔を覗かせている。


遙かに槍・穂高連峰。
槍ヶ岳の手前に草津白根山。左のピークは四阿山。


締めくくりは日本一の富士山。手前は秩父山地。


 
遮るもののない素晴らしい眺めを堪能してから剣ヶ峰山に向かう。


 
 ハイマツとシャクナゲの道を剣ヶ峰山目指して行く。


 
 沖武尊を振り返る。


 
 沖武尊と剣ヶ峰との鞍部付近から沖武尊を振り返る。


剣ヶ峰山は西武尊とも呼ばれる。


 
 剣ヶ峰山の登りから沖武尊を振り返る。


 
 家ノ串、前武尊方面を振り返る。


大部近づいてきました。


 
 頂上直下の雪の道を登る。


 
 登り着いた剣ヶ峰山の山頂は細長く登山道の幅しかない。


剣ヶ峰山から武尊山主稜線を振り返る。左から沖武尊、中ノ岳、家ノ串、剣ヶ峰、前武尊。
左遠くに平ヶ岳と至仏山、家ノ串と剣ヶ峰の間に奥白根山が見える。


反時計(左)回りで、武尊山の左には上越国境の山並みが続く。
右から、平ヶ岳、越後三山、巻機山などが見える。帰路は下の谷間を下って行く。


右から朝日岳、谷川連峰、その彼方に上信国境の山々。
手前は獅子ヶ鼻山。


右端のピークは四阿山、左に浅間山、その間には幽かに乗鞍岳も見える。


遙かに蓼科山と八ヶ岳を望む。


八ヶ岳(右端に赤岳)の左には仙丈、甲斐駒、白峰三山などの南アルプスの山々。
手前は榛名山。


最後に剣ヶ峰山から関東平野方面を望む。


 
 帰路は武尊山との分岐まで戻って武尊神社に向かう。


 
 沖武尊を仰ぎ見る。


 
 急な下りも30分ほどで終わり、何度か沢を渡り返して下って行く。
すっかり葉を落とした木々。新緑や紅葉も良いが、このような風情も悪くない。


 
午後1時15分に須原尾根との分岐点まで戻る。


武尊神社への道から朝日岳を望む。


 
沖武尊前衛峰(左)と剣ヶ峰山を振り返る。


 
 剣ヶ峰山


 
 武尊神社前の紅葉。季節柄鮮やかとは言い難い。


 
駐車場の近くにある裏見ノ滝。滝の裏側に道があるが時間の関係で割愛。


 
 帰途、湯テルメ・谷川の温泉に浸かる。計画どおりの山歩きが出来てほっとする瞬間です。


 
 湯テルメ・谷川の駐車場から夕暮れのオジカ沢ノ頭を見る。




コースタイム
武尊神社(6:20)−剣ヶ峰山分岐(7:05)−手小屋沢避難小屋(8:05)−武尊山(9:45−10:25)
−剣ヶ峰山(11:20−11:50)−須原尾根分岐(13:15)−武尊神社(14:00)


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