白 山 2008年(平成20年)7月19日〜20日 |
メ モ | 近畿地方の梅雨も明け、いよいよ夏山の季節がやってきた。この時期に行きたいところは山ほどあるが、休日しか行けない身の上では体力と時間と費用と人混みなどの条件を考えるとその対象は自ずと限られてくる。その中の一つは平凡ながらも白山だ。しかし室堂は完全予約制で今から明日の予約は無理だろうと思ったが、駄目元で夕方電話してみると、なんとたった今キャンセルがあったところで宿泊OKとのこと。これで今年の夏山は白山と決まった。 白山には比較的アプローチしやすい登山口もあるためこれまで何度も登っている。しかしそれは室堂近辺に限られており、北の四塚山や東の北弥陀ヶ原などにはまだ行っていない。さらに中宮道や北縦走路などもいづれは歩いてみたいと思っている。そう云うことで今回は大白川から大倉尾根を登り、四塚山まで行ったあと室堂で1泊。明くる日はお花松原から北弥陀ヶ原まで散策すると云う計画で18日の午後11時過ぎに家を出発した。 名神から東海北陸道を走り御母衣ダムのそばをとおって大白川の登山口に着いたのは19日の午前3時過ぎ。しばらく仮眠してから4時50分に室堂目指して平瀬道を登り始める。 この道は今回で6度目になるので登るペースは心得ている。また後半の避難小屋から上は眺めも良く登山道脇の花も多くてあまり疲れを感じない道だ。しかし今年は何となく花も少なく、カンクラ雪渓の量も多い。それは室堂あたりでも同じで、水屋尻雪渓のまわりやお池巡り道も雪が多く、花が咲くどころではない状態だった。 大汝峰を巻いて行くとハイマツの海の彼方に七倉山と四塚山が見えてきたが、この山にも多くの残雪が張り付いていた。辿り着いた四塚山からは北に延々と続く加賀禅定道を眺めることが出来た。四塚山をあとにして来た道を戻り、大汝峰や御前ヶ峰に登ったあと室堂に着いたのは午後の3時頃。朝からこれまで雲一つかからない安定した天気が続いていた。この調子だとお花松原を散策する明日もきっと良い天気に違いないと確信するのだった。(下につづく) |
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行 程 大白川 ↓ 室堂 ↓ 四塚山 ↓ 大汝峰 ↓ 御前ヶ峰 ↓ 室堂(19日泊) ↓ お花松原 ↓ 無名の池塘 ↓ お花松原 ↓ 室堂 ↓ 大白川
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天 候
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(気象庁 : 過去の天気図) | |||
7月19日 | ||||
4時50分に登山を開始。鳥居を潜って登山道に足を踏み入れる。この道は平成10年に初めて登って以来今回で6度目になる |
しばらく登ると右手前方に大倉山と思しき頂が見える。いつもは暗いうちから登り始めるので気がつかなかったが、あんなに高いところまで行くのか・・・ |
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ほどなくその右手に残雪を抱いた朝日に輝く山並みが見えた。どうやら明日行く2349m峰のようだ。北弥陀ヶ原はあの稜線上にあるのだろうか |
3km付近から別山方面を見る。大倉尾根前半の登りも終わりに近づく |
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急登が終わって平坦な尾根道になると、右手に白山主峰群から2349m峰へとつづく中宮道の山並みが見え出す。 明日行く予定のお花松原は中央の鞍部付近にある。それにしてもいつもより残雪が多いような気がする |
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やがて道はガレ場にさしかかる。行く手に白山の主峰群が見える |
中間地点の避難小屋を過ぎて、再び急坂となった尾根を登る。これからが花々を楽しめるところだが、今日は少しその数が少ない |
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登山道脇に咲くミヤマキンポウゲ | カラマツソウ | |||
大倉尾根の登りも終盤に近づく。カンクラ雪渓もかなりの雪の量だ |
カンクラ雪渓展望台の上のガレ場のお花畑を過ぎると階段が延々と続く。賽の河原はもうすぐだ |
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登ってきた尾根道(右下が大倉山)を振り返る。雲海の果てには北アルプスの山並みが続く | ||||
賽の河原付近からの別山。いつもならこのあたりまで来ると雲が湧いてきて別山は見えなくなるが、今日の天気は実に安定している | ||||
長い登りもようやく終わって室堂に着く | 室堂では早咲きのクロユリが迎えてくれた | |||
白山荘の横を通り、お池巡りの道に入る。背丈ほどもあるハイマツ帯を過ぎると水屋尻雪渓だ。ハクサンコザクラなどの花々が見え出す |
ミヤマキンバイ | |||
お池巡り道を歩いても雪は多く、花は殆ど見られなかった。一面雪に覆われた千蛇ヶ池を過ぎて大汝峰に向かう | ||||
大汝峰に近づくと、道の両側にアオノツガザクラやイワカガミなどの高山植物が目につくようになる | ||||
大汝峰直下の分岐点で道を左にとって大汝峰を巻いて行くと七倉山と四塚山が見えてくる。 一面のハイマツと白く輝く残雪、そして青い空と、夏山の見本のような景色だ。 このあたりまで来ると殆ど人影はない |
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大汝峰を巻いて北の端まで来る。3度目の今日はあの四塚山まで行く |
ハイマツの中を緩く下り、それを抜けると目の前に地獄谷の眺めが広がる |
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地獄谷を眺めたあと道は急な下りとなる。下りついた鞍部には水を湛えた御手水鉢があった |
鞍部から緩く登り返し、雪渓を横切って七倉ノ辻に着く。ここから釈迦新道や加賀禅定道、岩間道などが分かれる |
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北竜ヶ馬場とも呼ばれる七倉ノ辻から振り返れば、緑の山肌の大汝峰が大きく見えた。 御前ヶ峰方面から見た山肌とは随分趣が違う。さらに足を延ばして北の四塚山に向かう。 |
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七倉ノ辻から少し下って登り返すと四塚山に着く。山頂付近には化け猫を封じ込んだとされている石塚があった |
四塚山を更に進んで行くと主稜線は高度を落として行き、いわゆる加賀禅定道となって北に向かって延々と続いていた。 |
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七倉山から四塚山にかけても色とりどりの花々が咲いていた(ハクサンイチゲ) |
イワギキョウ | |||
クルマユリ | 登山道脇のシナノキンバイ | |||
チングルマ | ハクサンフウロ | |||
四塚山から七倉ノ辻を経て大汝峰に向かう。大汝峰への登り道にはイワカガミが咲き乱れていた。 (後方は七倉山と四塚山。右遠くの山は薬師山) |
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5年振り3度目の大汝峰。まわりに人影はなく、15分の休憩の間山頂を独り占めする |
大汝峰からお花松原を見下ろす。今年は本当に雪が多い。その後ろに2349m峰。更にその後ろに三方崩山 |
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大汝峰から見た御前ヶ峰と剣ヶ峰。左は翠ヶ池 | ||||
大汝峰を下ってお池巡り道に入る。翠ヶ池に浮かぶ雪の水面下の色が喩えようもなく美しい |
油ヶ池を過ぎると御前ヶ峰への登りが始まる。かなりの急登だが15分ほどで山頂に着く |
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6年振り5度目の御前ヶ峰。天気は安定しており眺めは頗る良い | 剣ヶ峰と白い雲と青い空 | |||
大汝峰を振り返る。下は紺屋ヶ池と油ヶ池。雪の多さがよく分かる | ||||
御前ヶ峰を最後に今日の行程は終了した。室堂で宿泊の手続きをしてから部屋に案内される。 そのあとは夕食まで特にすることもない。室堂の前の岩のテラスに寝ころんで御前ヶ峰や別山の眺めを楽しむ。 |
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夕暮れの別山。 岩のテラスで休んでいると爽やかな風が疲れた体に心地よくあたる。明日もきっと良い天気に違いない |
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7月20日 | ||||
中宮道の取り付きから急降下し、雪渓に沿って下って行くうちに陽が差し始めて青空も見えてくる。天気の好転を期待してビルバオ雪渓を下る |
お花松原に近づくと青空は更に広がり、まわりも大部明るくなってくる | |||
お花松原に着く頃には稜線付近を除いて完全に晴れ上がる。しかしあたりは一面残雪に覆われていて花を探すどころではなかった |
3年前の同じ頃に来た時にはアオノツガザクラの群落が見られた斜面も雪に覆われていた |
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付近を歩いていた監視員の方の話では、今年は雪が溶けるのが遅れているらしく花の見頃は8月始めとのことだった。 |
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それでも、お花松原の近くには僅かながら花が見られた(サンカヨウ) |
キヌガサソウ | |||
ハクサンコザクラ | クロユリ | |||
次は北弥陀ヶ原に向かう。2349m峰に取り付いてしばらく登ると前回休憩した岩場に着く。 そこからは、稜線付近は雲に隠れていたものの念願の白山主峰群の眺めを得ることが出来た |
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更に進んで2349m峰を越えて行く。振り返ると一瞬剣ヶ峰がその全容を露わにした | ||||
右手には昨日登ってきた大倉尾根の全容が見て取れる。今日はまたあそこを下る | ||||
2349m峰の稜線にはハクサンシャクナゲが沢山咲いていた。 お花松原とはもともとはこの稜線付近を云い、花はハクサンシャクナゲ、松はハイマツのことらしい |
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稜線を進んでいったが北弥陀ヶ原らしいところはなかなか現れない。お花松原から40分ほどで小さな池塘に辿り着く。 |
池塘のまわりには沢山のハクサンコザクラが咲いていた。時間もないので北弥陀ヶ原は次の機会に譲ることとして、ここから帰途に着いた |
コースタイム |
19日:大白川(4:50)−室堂(9:00)−四塚山(11:15)−大汝峰(12:50)−御前ヶ峰(14:00) −室堂(15:00) 20日:室堂(7:00)−お花松原(8:45)−池塘(9:30)−お花松原(10:15)−室堂(12:15) −大白川(15:15) |