鷲羽岳・水晶岳
1974年(昭和49年)7月27日〜29日

メ モ
北アルプスに登り始めて4年目。各方面の主稜線の縦走を繰り返して残る主要なところは白馬岳以北、爺ヶ岳から鷲羽岳の間と立山から薬師岳の間の3箇所となっていた。そのためか、この年の夏山はそのうちの一つでもあり、前年悪天候のため計画を断念したと思われる鷲羽岳から烏帽子岳の間を縦走し、未踏の水晶岳にも立ち寄った山行をしている。
鷲羽岳と水晶岳とを2泊で縦走するには新穂高温泉を起点とするのが当時でも一般的だった。山行記録によると、当時大阪から高山までの直通夜行列車はなく、新幹線で名古屋まで行き、夜行急行”のりくら”で高山まで行ったようだった。高山からバスで新穂高温泉に着いたのは午前8時ごろだったと思われる。
1日目は暑い夏空の下を小池新道で双六池まで行き、そこでテントを張った。夏山シーズンでの山小屋の混雑に辟易していたので、テント泊を始めたのもこの山行からだった。初めての高山でのテント泊で少し気分が高揚していたことや、夜半外を覗き見ると北の空に北極星とこぐま座が輝いていたことははっきりと覚えている。
しかし2日目は前夜の予想に反して悪天候で、鷲羽岳を越えて雨の中を水晶岳に登り、野口五郎小屋に着いたときはテントを張る気力も失っていた。大きな荷物を背負って小屋に入り、超満員の部屋で休むしかなかったのだった。
3日目の最終日は何とか天気は持ち直したようだったが、水晶、赤牛、立山、剣などの山頂部は厚い雲に覆われたままだった。野口五郎小屋を出発し、三ツ岳を越え、烏帽子小屋からブナ立尾根を下って無事葛温泉に下山した。
このように北アルプスの夏山縦走山行は3年連続して天候に恵まれないものとなった。


行 程

新穂高温泉

鏡池

双六池(27日泊)

鷲羽岳

水晶岳

野口五郎岳

野口五郎小屋(28日泊)

三ツ岳

ブナ立尾根

葛温泉

距離     : 42.3km
最大標高差: 1,902m
累積標高  : 2,885
m 




天 候

27日:晴れ
28日:霧のち雨
29日:曇り時々晴れ
 
原典:気象庁「天気図」、加工:国立情報学研究所「デジタル台風」  

山行記録

 
 1日目。新穂高温泉から笠ヶ岳を望む。

 
小池新道から穂高連峰を振り返る。
この日は双六池でテントを張った。夜半見上げた空は満天の星だった。

 
 2日目は予想外の悪天候だった。
前年と同じ霧の中の鷲羽岳を越えて水晶岳に取り付く頃には雨も降り出した。
野口五郎岳を越えて野口五郎小屋に着いた時は疲れもありテントを張る気にもなれず満員の小屋に泊まる。
3日目の天気は回復傾向だったが稜線付近は厚い雲に覆われていた。
写真は野口五郎小屋付近からの雲に覆われた水晶岳。

 
 野口五郎小屋付近から、雲に覆われた赤牛岳。

 
 立山、劔方面。

 
 三ツ岳付近から燕、大天井などの表銀座方面。

 
 三ツ岳付近から餓鬼岳方面。

 
烏帽子小屋付近から赤牛岳と薬師岳。

 
 赤牛岳の稜線越しに薬師岳。
このあとブナ立尾根を下り葛温泉まで下山。
信濃大町から松本、名古屋経由で京都に向かった。



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