谷川岳 1994年(平成6年)8月27日 |
午前3時半に西黒尾根に取り付き、真っ暗な登山道を懐中電灯を照らしながら登って行く。 のっけからの急登だった。天気は良さそうだが湿気があり蒸し暑い。すぐに全身汗だくになる。 やがて鉄塔のある平地に出て一休みする。後にも先にも傾斜の緩やかなのはこの辺りだけで、あとは急登につぐ急登だった。 登りつづけて午前5時ごろになると森林限界に達し、日の出も近づいたようでようやく明るくなってきた。 |
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登山道がごつごつした岩だらけの道になり傾斜もさらにきつくなって 尾根の南斜面に出たところで不意にまわりの展望がひらけた。 西黒沢越しに天神平のロープウェイの駅が見えた。こことほぼ同じ高さだった。 湯桧曽川を隔ててそびえる朝日岳、白毛門の上空が明るさを増して来る。 |
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さらに岩まじりの急斜面を登り尾根上に出ると、 突然壮絶な岩壁を鎧のように纏った岩峰が目の前に現れた。 |
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マチガ沢を隔てて見える谷川岳本峰だった。 それは何の予備知識もない無垢の頭の中にいきなり飛び込んできたのだった。 かつて残雪の小倉尾根から越後駒ヶ岳に登ったときこれに近い経験をしたことがあるが、 この時の衝撃はそれをはるかに上回るものだった。 |
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朝日に染まった谷川岳. * さらに岩尾根を登って行き、ラクダのコブや氷河の跡、ザンゲ岩などと呼ばれるところを越えて行った。 |
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トマノ耳とオキノ耳も間近になってきた。 |
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振り返れば登ってきた西黒尾根が一望できた。 |
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肩の広場に着いたのは午前7時少し前だった。 肩の広場からトマノ耳まではさして時間はかからず、午前7時に到着した。歩き始めてちょうど4時間だった。 |
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雲一つない好天気だったが、遠くは霞んで見通しはあまり良くなく、 |
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しかし西側にはオジカ沢ノ頭から仙ノ倉山、平標山へと続く谷川連峰の峰々が望まれた。 |
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北にはこれから行くオキノ耳、一ノ倉岳、茂倉岳が続いていた。 山頂を一人占めし、至福の時を過ごした後、午前7時30分にオキノ耳を目指して歩き始めた。 |
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トマノ耳からの一ノ倉岳と茂倉岳。 |
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茂倉岳から一ノ倉岳と谷川岳を振り返る。 * シーズンには賑わう谷川岳もこの時期はあまり人影は見えず、オキノ耳と一ノ倉岳の鞍部付近ではじめて人とすれちがった。 鞍部で少し休んでから一ノ倉岳を登る。急な道だが登りは短く、午前8時40分に山頂に着いた。 山頂は小広い平地だがまわりの笹が邪魔して視界はあまり良くないので早々に茂倉岳に向かった。 起伏の少ない尾根道を20分ほど歩いて茂倉岳に着いた。 |
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茂倉岳から見たオジカ沢ノ頭 |
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茂倉岳からの万太郎山。右奥にエビス大黒ノ頭と仙ノ倉山。 |
コースタイム (休憩を含む) |
土合駅(3:00)−西黒尾根登山口(3:30)−トマノ耳(7:00-7:30)−一ノ倉岳(8:40) −茂倉岳(9:00-10:00)−茂倉新道−登山口(13:00)−土樽駅(13:30) |