高妻山
1998年(平成10年)10月11日

メ モ
10月の休日を利用して戸隠連峰の最高峰、高妻山に出かけた。
予報では10日の土曜日の天気が良さそうなので初めは金曜日の夜から出掛けようと思っていたところ、仕事の関係で帰るのが遅くなり仕方なく出発を一日延ばすことにした。
ところが土曜日は思ったほど天気は良くなく、特に高妻山に近い新潟は大雨で、一日延期したことが幸いした結果となった。
10日の午後10時に家を出発し、11日の午前4時10分に登山口の戸隠牧場に着く。車から出て見上げると満点の星だった。その中に北斗七星やオリオン、カシオペアなどが見える。朝食を取ってまだ暗い4時55分に駐車場を出発した。
入口の柵の横から牧場に入り車道に沿って進んで行く。日の出までもうしばらくで、まだ薄暗いため懐中電灯をつけて歩く。しかし下弦の月明かりで、ぼんやりとだがまわりの様子は分かる。目指す方向に幽かに黒い山影が見える。
道の左手に小屋が見えたのでなんだろうと灯りを向けると急に中が騒がしくなり鶏がコケコッコーと鳴きだした。懐中電灯の灯を見て日の出と間違えたのだろうか。小屋から遠く離れてもまだ鳴き声が聞こえていた。

行 程

戸隠牧場
↓↑
一不動
↓↑
五地蔵山
↓↑
高妻山

距離     : 11.6km
最大標高差: 1,156m
累積標高  : 1,254m
  




天 候

快晴
 原典:気象庁「天気図」、加工:国立情報学研究所「デジタル台風」

山行記録

 
戸隠牧場をしばらく歩き、人だけが通り抜け出来るようになった柵から牧草地に入る。
牧草地が終わるとまた同じような柵がありここから道は登山道らしくなる。



 
 樹林の中の道をしばらく歩くと大洞沢に出会う。
沢を何度も渡り返して行くうちに斜度が増してきた道を登って行き、歩き始めて約時間たった時にちょっとした滝に出会う。
道はその右手の岩の斜面につけられている。鎖が張られており、それを頼りに登って行く。
そこから上にも何ケ所か鎖などが張られているところがあった。



 
 6時15分ごろ前方に帯岩と呼ばれる難所が現れる。岩の斜面をトラバースするいやなところだ。
斜面は結構急で、もし滑り落ちればただ事では済みそうもない感じがする。

岩に穿たれたステップと鎖を頼りに慎重に足を運ぶ。トラバースが終わると不動滝の左手の岩場をよじ登る。
このコース最大の難所を終えてほっと一息ついた。



 
 そこからしばらく行くと一杯清水という最後の水場があり、沢はここで終わっている。
あとは岩混じりの急な道を登り詰めて6時35分に一不動と呼ばれる鞍部に着いた。
ここにはコンクリートブロック作りの避難小屋があり、まわりには幾つかのテントが張られていた。
鞍部から戸隠山への稜線を少し行くとすっかり葉が落ちた梢越に遠く高妻山のピラミダルな山容が望めた。



また、東の方には遥かに上越国境の巻機山や平ヶ岳が望まれた。


その右には苗場山の特徴ある姿が見える。
苗場山の左手前の鋭鋒は鳥甲山のようだ。



 
 少し休憩して45分に高妻山目指して出発する。樹林の中の急な道を登って行くと
樹々の聞から後立山連峰がちらちらと見える。

急登もわずかの間で55分に二釈迦に着く。眼下に登ってきた大洞沢が見える。
戸隠牧場はまだ朝議の中で、その先には飯綱山の黒い山体がどっしりと控えていた。


 
 二釈迦から少し下り、急な道を登り返すと三文殊に着く。
登ってきた分だけ下り、さらにそれ以上登り返すと四普賢だ。20分着。
ここまでの道は樹林と笹に覆われた痩せ尾根の縦走路で、特に東側は急斜面になっており油断できないところだった。
四普賢からは五地蔵山が大きく立派に見える。


四普賢から急登して五地蔵山には35分に着く。
頂上は笹を切り開いたあまり広くない平担地で比較的展望は良い。

雲一つない青空がどこまでも続いており、その果てには上信越の青い山並みが雲海の上に浮かんでいる。


 
 振り返れば行く手にはすっかり姿を変えた高妻山が聳えていた。
その左後方に見えるのは後立山連峰。


 
五地蔵山からは割合い平坦な道が続き、55分に六弥靭に着く。
そこから少し下って登り返し、時丁度に七観音の頂きに着いた。

七観音からは妙高、火打、焼山の頚城三山が良く見える。


 
 足元の悪い泥濘の道を下り、少し登り返してから平坦な道を進む。
やがて急登が始まり平坦なピークを越えると正面に高妻山の雄姿が現れた。

そこからしばらく下った後いよいよ最後の急登が始まる。八薬師は気付かないまま通り過ぎてしまい、40分に九勢至に着く。
一不動では見事な三角錐をしていた高妻山もここから見るとすっかりなだらかな山容となってしまっている。

しかし、これから−不動から見た急な斜面を登るわけだから相当なアルバイトは覚悟する必要がある。


 
始めはそれほどの傾斜でもなかった山頂への道は途中からそれこそ木の根を掴んで登る急な直登になる。
長い縦走で疲れているため足どりは重く、頭上にはいつまでも青い空と急峻な道が見えるのみだ。
それでも40分ほどの悪戦苦闘の末ようやく頂上の一角の十阿弥陀にたどり着いた。
十阿弥陀からごつごつした岩の上を歩き30分ごろにようやく高妻山の頂上に到着しました。
頂上も岩が積み重なったところだ。三角点に触れて登頂を確認してからゆっくりとまわりを眺める。


眺めの圧巻はなんと入っても北アルプスの峰々だ。
それは南の槍・穂高連峰から北の鹿島槍、五竜、白馬などの後立山連峰まで、
長々と果てしなく続いているかのようだった。



北アルプス中南部(上の写真の左半分を拡大)。
左の常念岳から槍・穂高、笠、野口五郎、水晶、蓮華、針ノ木、爺などの峰々。


槍・穂高を拡大


鹿島槍から白馬岳までの後立山連峰


鹿島槍、立山、五竜、剣、唐松を拡大


白馬三山を拡大


 
 北アルプスの最後は白馬岳と雪倉岳・朝日岳


北には雨飾、焼山、火打、妙高などの頚城山群が間近かに見える。
写真は
雨飾山


 
 焼山と火打山


 
 妙高山


東には黒姫山(手前)と上信越の山々。
手前の黒姫山の彼方遠くに越後三山から続く上越の山々。
その手前に苗場山(黒姫山の右遠く)から右に続く上信国境の山々。こちらは未知の嶺域で、浅間山以外はよく分からない。


 
 上の写真の左部分。
黒姫山の彼方に越後三山や平ヶ岳などの上越の山々。


 
  その右に苗場山、尾瀬の燵ヶ岳や至仏山、さらには奥白根山などの日光の山々


 
 南には奥秩父から富士山、八ヶ岳、参科山、南アルブス、中央アルプスなど日本を代表する山々。
写真は富士山と八ヶ岳。


 
 南アルプス。
左から鳳凰山、甲斐駒、北岳、間ノ岳、仙丈、荒川三山、赤石、聖が続く。
手前の台地は美ヶ原。


 
 写真を撮り終えてからお弁当を戴き、さらに充分眺めを楽しんで1015分に下山を始めた。
五地蔵山目指して下って行く。右の鞍部が一不動。


 
下りは登りよりも楽だが、登山者とすれ違う度に待機を余儀なくされたため結構時間がかかった。
急坂を下り、九勢至を過ぎ、八薬師を確認して五地蔵山に着いたのは1150分。
そこから、朝には気付かなかった紅葉の美しさに見とれながら一不動に戻ったのは1245分。

一不動を1時に出発し、大洞沢の紅葉を賞賛しながら広々とした戸隠牧場には午後2時10分に帰り着いた。


帰路、戸隠スキー場から高妻山を眺める。
五地蔵山(右)へと続く稜線を前にした端正な形の山だった。


 
 スキー場から見た戸隠連峰の西岳、本院岳。


 
 その右に戸隠山。
最後の眺めを堪能してから帰途につき、帰宅は午後10過ぎだった。



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