三ノ峰・別山
2001年(平成13年)6月2日〜3日

メ モ


白山の主峰御前ケ峰から南下する山並みは別山で大きく盛り上がりを見せた後徐々にその高度を落としていきますが、三ノ峰で最後の踏ん張りを見せて連峰最南端の2000m峰となり、以降ニノ峰、一ノ峰を経て大日ケ岳から奥美濃の山々へと続いていきます。

このように三ノ峰は白山連峰の中で高山的な景観を醸し出す最南端の山ですが、圧倒的な大きさで悠然と横たわる白山本峰の存在が大きすぎて一般的にあまり知られていません。しかしながら麓の鳩ヶ湯などから遠望した標高2128mを有するその山容は、同程度の標高を有する上越の山々と比べても勝るとも劣らない立派なものです。
走り梅雨と思われる天候が続いたあとのこの週末は好天気との予報でしたので、梅雨入り前の最後の山行として、この三ノ峰と別山とを目指して出掛けることにしました。
6月2日の早朝に家を立ち、鳩ヶ湯経由で登山口の駐車場に午前12時頃着。食事を終えて登山口に向かおうとしたが初めてのところなのでどこか分からない。バンガローの管理棟があったので聞くと、登山口の駐車場はまだ700mほど先だと言う。道理で駐車場には車が一台もないはずだった。急いで車に戻りしばらく行くとまた駐車場がありかなりの車が止めてあった。ここが上小池登山口の駐車場で、既に下山してきている人もいた。と言うことで予定より遅れて1250分に出発することとなりました。

行 程

上小池登山口
↓↑
六本桧
↓↑
三ノ峰避難小屋(2日泊)
↓↑
三ノ峰
↓↑
別山
↓↑
御舎利山(往復)

距離     : 16.9km
最大標高差: 1,510m
累積標高  : 1,784m
 




 
天 候

2日:曇り時々晴れ
3日:快晴
 
 原典:気象庁「天気図」、加工:国立情報学研究所「デジタル台風」

山行記録

 
1日目。上小池の駐車場を12時50分に出発し、栗の大木を左に見て程なく車道に出る。
沢を右にして車道を進み、橋を渡って暫く行くと左手に登山口の道標が立っていた。
ここが三ノ峰の登山口で10分にようやく登山道に取りつく。



 
道は樹林の中の急登から始まる。しかしそれもしばらくの間で、やがて左手の沢に沿った平坦な道となる。
沢が近づいたあたりで道は右に折れ、少し登って30分に山越跡に着く。
屋敷跡の明るい平坦地に立つと願教寺山が正面に見える。このような山奥によく人が住んでいたものだと感心する。



 
少し休んでから再び樹林の中を行く。起伏は少なく、新緑の樹々に囲まれた道は歩いていて気持ちが良い。
時折下山する人たちとすれ違う。6月初めで花の季節にはまだ早いが、

それでも道端には小さなスミレ科の花やニリンソウなどが咲いていた。



 
 そのうちつづら折れの急登が始まる。
ブナやミズナラなどの樹々の新緑が午後の日差しに輝き、足下にコイワカガミが咲く道の急登を続けて
時に六本桧に着いた。



 
願教寺山を眺めながら六本桧で一休みする。


 
 三ノ峰から赤兎山へと続く稜線上にあるこの六本桧からは、空高く奪える三ノ峰がよく見える。
三ノ峰の稜線には雲が足早に流れている。昼頃に雨が降ったあと天気は回復に向かっているようだった。


三ノ峰を目指して行く。中央に剣ヶ岩が見える。三ノ峰は中央のピークに隠れていてここからは見えない。
このあと厳しい登りが延々と続き、剣ヶ岩や前山を越えて霧に包まれた三ノ峰避難小屋には6時10分に辿り着いた。


昨日は小屋に着いたあと、雪を溶かして水を作り慌ただしく夕食をとった。
そのうち立ち込めていた霧も晴れてきて夕闇の中に別山の大きな姿が現れてきた。日没時には空は完全に晴れ上がった。
明日の好天を確認して8時ごろに寝袋に潜り込んで眠りにつく。気温は急激に下がってきているようで夜は寒かった。
2日目の朝4時ごろに起きて外に出てみると、黎明の空を背景にして大きな別山とその右遠くに御岳、乗鞍、穂高の黒い影が見えた。


朝食を取ってから、5時30分に三ノ峰避難小屋をあとにして別山に向かう。
6月の日差しは鋭く眩しい。夜間の強風もおさまり、これ以上は望むべくもない快晴の好天気だった。


笹に覆われたなだらかな道を一登りして35分に三ノ峰に到着。
振り返ると中央に願教寺山から野伏ヶ岳へと続く白山支脈が見えた。
その後ろは平家岳から能郷白山へと続く奥美濃の山々。右端には荒島岳も見える。


行く手には残雪を纏った別山が大きく横たわっている。
その左肩の別山平の奥にはこれも残雪豊かな御前ケ峰がその頂きを覗かせている。

三ノ峰で360度の展望を恣にしてから別山へ向かう。


 
つづら折りの道を急降下し、残雪の斜面を用心しながら歩いて別山との鞍部に下り立つ。
ここから別山平への登りが始まる。逆光で黒い影になった別山が大きく迫ってくる。



 
 鞍部付近から三ノ峰を振り返る。


 
 道端に咲くショウジョウバカマや残雪の縞模様がきれいな谷筋を見下ろしながら、
概ね夏道を辿って別山平には20分ごろに着く。

別山平の彼方には豊かな残雪をまとった白山主峰群(右から御前ヶ峰、大汝峰、七倉山、四塚山)が望めた。


 
 別山へ登る途中で別山平を振り返る。
別山平は夏にはニッコウキスゲなどがが咲き乱れるところだが今は季節も早く花は見られなかった。


清々しい別山平を後にしてハイマツ帯の道を急登する
痩せ尾根を登り続け、やがて稜線から離れて斜面をトラバースして行くと石積みの壁に囲まれた別山神社に着いた。
別山の頂上はそのすぐ上で、50分に登頂を果たす。



年前にチブリ尾根から登った時は霧の中で展望は全く得られなかったが、
今日は快晴の青空の下に素晴らしい眺望を堪能することが出来る。

まず、別山から白山南縦走路。右から二ノ峰、一ノ峰、銚子ヶ峰、丸山、芦倉山、大日ヶ岳。
この山並みはこのあと能郷白山を経て延々と伊吹山まで続く。


別山から三ノ峰と別山平を見る。
中央遠くに荒島岳、その左遠くに能郷白山、右に赤兎山と経ヶ岳が見える。


別山からの荒島岳(右)と能郷白山(左)。
能郷白山の右遠くに奥美濃の蕎麦粒山と金糞岳。


東に北アルプスを望む。


白馬、剣、立山遠望


槍・穂高遠望


 
 北アルプスの右に御嶽山。左に見えるのは南アの甲斐駒ヶ岳。


 
 中ア南駒ヶ岳の右奥には南アルプスの荒川三山、赤石岳、聖岳、上河内岳も見えた。


 
 別山から見た白山本峰の下部は御舎利山で隠されているため、その全容を眺めるに御舎利山まで行く。
ハイマツの稜線に沿って夏道を行き、小さな石室を過ぎて一登りして御舎利山に着く。
辿り着いた御舎利山から別山を振り返る。左の登山道のそばに岩室がある。


 
御舎利山からチブリ尾根を見る。避難小屋も小さく見える。二年前に霧の中を登ってきた道。


御舎利山からの白山。その堂々たる山容には文句のつけようがない。
(画像をクリックすると拡大されます)


大展望を満喫して別山に戻り、そこで少し休んでから40分に下山の途につく。
帰途、別山平の御手洗ノ池に寄る。未だ半ば雪に覆われていた。
池から望む別山はなかなか立派で、その胸元の大平壁を流れる落ちる雪解け水がきらきらと光っていた。


戻ってきた三ノ峰から別山を眺める。
このあと8時40分に小屋に戻って2度目の朝食を取ったあとしばらく休憩してから、
10
20分に一晩お世話になった小屋に別れを告げて帰途についた。
小屋の周りでは今朝上小池から登ってきた人たちが休憩していた。


剣ケ岩までは痩せ尾根の連続で慎重に下る。日陰がなく、強い日差しを浴びながら下るので暑い。
前方に赤兎山、経ヶ岳、大長山(右)が見える。これらの越前の山々にもいつか登ってみたい。


 
三ノ峰(左)を振り返る。避難小屋は三ノ峰と右のピークとの鞍部にある。


 
 荒島岳や赤兎山などを眺めながら下る。
この先の六本桧あたりでようやく樹林帯に入りほっとする。六本桧には12分に着く。
そのあと樹林の尾根道を下り続けて登山口には35駐車場には55分に帰り着いた。


 
鳩ヶ湯温泉近くから三ノ峰を望む。左に別山の頂きも見える。


帰途、鳩ヶ湯温泉に寄って二日間の疲れを癒す。
鳩ケ湯は打波川沿いにある古い温泉宿で、お湯は階にあり、
その窓からは新緑の山々を前景とした三ノ峰と別山の姿が正面に大きく望まれた。

日間の短い山旅であったが、天気と展望に恵まれて気分は上々だった。



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