苗場山
1997年(平成9年)10月18日〜19日
 
メ モ
大阪から新幹線を乗り継いで越後湯沢に着いたのは午前10時ごろ。タクシーで登山口の駐車場まで行く。そこから少し登って行くと和田小屋に着く。このあたりは紅葉の盛りらしく秋らしい眺めが広がる。下ノ芝から中ノ芝、上ノ芝と登って行くうちに展望も開けて谷川連峰も見えてくる。しかし晴れていた空も神楽ヶ峰に着くころには雲が多くなり、富士見坂を下って雲尾坂を登るうちにまわりは霧に包まれてしまう。雲尾坂を登り切って小屋に着いたのは4時半頃だった。今年は今日で店終いということで小屋は予約客で満員の状態だった。
夜半雨の音を聞いたが明け方小屋の外に出てみると雲が流れて行き天気は急速に回復していた。目の前には広大な湿原が広がり、その彼方には上信越の山々が波打つように連なっていた。小屋で朝食をとってから小赤沢に向かう。広闊な展望に感激しながら坪場に着くと規模は小さいながらそこにも湿原が広がり、近くの鳥甲山の背後に戸隠連峰や頸城山塊を、さらにその背後には白銀の北アルプスを望むことが出来た。
小赤沢に下り着いてから温泉に浸かってさっぱりとした気分になり、間もなく冬の姿に戻る苗場山を後にして帰途についた。

行 程

かぐらスキー場駐車場

和田小屋

神楽ヶ峰

苗場山(18日泊)

坪場

小赤沢


距離     : 15.1km
最大標高差: 1,384m
累積標高  : 1,520m
 




天 候

18日:晴れ後曇り
19日:快晴
 
 原典:気象庁「天気図」、加工:国立情報学研究所「デジタル台風」
 
山行記録

 
 越後湯沢からタクシーに乗り、登山口の町営駐車場に1050分ごろに着く。
駐車場にはかなりの車が止めてある。
山頂の山小屋は今日の宿泊でお仕舞いなので恐らく満員だろう。
このあたりの標高は1200mを越しており、紅葉はすでに盛りを過ぎているようだった。
リュックの荷物を整理して11時に出発した。



 
 登山道をしばらく歩くとまた林道にでる。林道に沿って歩いて行くとほどなく和田小屋が見えてくる。1120分に着く。
小屋の前はスキー場になっていてリフトが左手の山の上の方へとつけられている。ここも広々としたところで気持ちがいい。
少し休んでから1130分に歩き始める。



 
 登山道はリフトがある尾根の西側の斜面に沿ってつけられている。それほどきつい登りではないが、道がぬかるんでいて歩きにくい。
樹林帯の中を40分ほど歩くと少し視界が開けてくる。右手には中尾根の山腹に紅葉の盛りを過ぎた岳樺が
白い木肌を露にして林立しているのが眺められる。道はやがて木道となり1235分に下ノ芝に着く。


 
 下ノ芝で腹ごしらえをして分に出発する。針葉樹林帯を中ノ芝目指して登る。
登山道に沿って右手にリフトが続いている。地図を見ると中ノ芝の手前まで登っているようだ。
登り続けて55分に中ノ芝に着く。樹林帯を抜け出して見晴らしが良くなってきた。振り返ると谷川連峰や巻機山が見える。



 
 中ノ芝からはなだらかな道を登って上ノ芝に向かう。
このあたりは背の低い笹原で覆われており樹林もまばらで見通しもいい。



 
 上ノ芝を過ぎてしばらく登ると右手に小松原湿原へと続く主稜線が近づきやがて分岐点に出る。
下山持で渋滞する股すり岩を過ぎ、平坦な尾根道を歩いて40分に神楽ヶ峰に着く。
思った程見通しは良くない。一休みして時に出発する。



少し歩くと道は下りになる。そこから初めて苗場山の全容を眺めることが出来た。
写真などから想像していたものより遥かにスケールが大きい。富士見坂を下って
鞍部からは雲尾坂と言う標高差250mの登りになる。
苦しかった登りを終えて台地の一角にたどり着いたあとは、木道を歩いて20分に山頂に到着した。
山小屋はそこから少し先に行ったところにあり、予想どおり今年最後の登山客で満員だった。
6時ごろから夕食のカレーライスを戴く。ワインのサービス付だった。
時過ぎに消灯となったので、明日の好天を期待して窮屈ながらも横になった。


 
 夜半雨の音がした。そう大した雨ではないようだったが天気が気になったので、時過ぎに起きて外へ出たが霧が立ちこめていた。
30分頃にまた外に出たがまだ薄暗くて相変わらず霧が濃い。しかしその動きは速く急速に晴れていく気配がした。
小屋に戻ってカメラを取って出てくると景色は一変していた。霧は完全に晴れ上がっており、東の方は既に明るくなって夜明けが間近に迫っている。
上空はまだ薄暗いが雲一つなく晴れ渡っている。そして午前6時ごろに谷川連峰の彼方からのご来光を迎えた。



 
 いったん小屋に戻って荷物を整理し、朝食を戴いてから出発までの間に写真を撮りに外に出る。
束の方には巻機山、谷川連峰などの上越国境の山々を始めとして、武尊山、燵ヶ岳、奥白根山、皇海山などが
逆光の下で青い影となって波打つように連なっていた。
写真は巻機山。


谷川連峰と日光方面の山々


 中央遠くに奥白根山。その右手前に武尊山。
手前に谷川岳から万太郎山にかけての谷川連峰が続く。


 
 仙ノ倉山とその手前に平標山。右遠くに皇海山。


南側には褐色の広大な湿原が広がっており、針葉樹の濃い緑と笹原の薄い緑とが入り交じって
独自の雰囲気を作り出しており、その中に数え切れないほどの池塘が青い水面を光らせていた。

その彼方には佐武流山や白砂山などの信越国境の山々がたおやかに横たわっている。


 
 湿原の彼方に佐武流山、遠く浅間山、草津白根山、横手山、岩菅山などが見える。


 
 20分に小屋を出発。小赤沢に向かう。赤湯方面への道を左に分けて褐色の大湿原を眺めながら木道を歩く。
昨夜降った雨が空気中の塵や填を洗い流したのか、
澄みきった空には雲一つなく透明感あふれる景色がどこまでも続いている。



 
 西には槍・稜高連峰から立山・剣、そして白馬岳までの新雪を頂いた
北アルプスの峰々が延々と連なっている。



 
 後立山連峰(爺ヶ岳、鹿島槍、五竜)とその後に立山、剱


 
 鹿島槍ヶ岳から白馬岳にかけての後立山。
右端に高妻山。


竜ノ峰への道を左に分けて木道は右に折れてオオシラピソの樹林帯に向かう。
樹林帯の中はぬかるんだ岩まじりの道で歩きにくいところだったが、左に回り込みながらそれを抜けると再び湿原に飛び出した。
ここも頂上の一角で坪場と呼ばれるところだった。
先ほどの大湿原ほどではないが、それでも沢山の池塘をちりばめた景色のよいところだ。


正面には鳥が羽ばたくような姿をした鳥甲山が荒々しい岩壁を見せている。
その後ろには高妻山を始めとする戸隠の山々や妙高山、火打山などの頚城山塊が控えており、
さらに左手後方には北アルプスが白く輝く峰々を連ねている。


素晴らしい眺めもここまでなので、お湯を沸かしコーヒーを入れて一休みした。
一息入れて、30分にいよいよ山頂に別れを告げる。感動的な眺めともお別れだ。
道は大きく右に回り込み、急斜面を急降下して行く。
急な坂道も六合目あたりからようやく緩やかになった。
四合目の水場で休止したあと三合目の登山口には10時45分に到着。さらに歩き続けて小赤沢には11時半ごろに到着。
かくして2日間に亘る苗場山山行は無事終了しました。



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