空木岳・南駒ヶ岳 2000年(平成12年)10月7日〜8日 |
1日目。 登山口の駐車場を午前5時50分に出発。今朝沢橋を渡るとT字路で、右へ行くと南駒ヶ岳や越百山、 左へ行くと空木岳に至る。私は道を左に取り木曽殿越を経て空木岳を目指す。 |
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伊奈川の源流を左に見ながら車道を行く。頭上には青空が広がりまずまずの天気だった。 起伏の少ない車道を歩き、左手に朽ちた小屋を見て間もなく7時丁度に金沢土場に着く。 |
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金沢土場から先は伊奈川の支流の金沢に沿って舗装された車道を進む。 金沢にかかる橋を渡って大きく右に回り込んで高度を上げて行くと小広い平地に出た。 7時30分、登山口の「うさぎ平」に着く。ここから本格的な登山道になる。 |
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登山道は熊沢岳から派生する東金尾根を行く。ほんのりと葉が色づいた樹もある樹林の中の登りだ。 10分ほどで標高1510mの五合目を通過する。 そのあと急坂を登って行くとちょっとした平坦地に出た。道標には八丁のぞきと書かれてある。 |
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八丁のぞきから六合目の北沢までは東金尾根を巻く針葉樹林の中の割合い平坦な道だ。 急なガレ場を注意して通り過ぎ、花崗岩が風化してざらざらした滑りやすい道を行くとやがて緩やかな下りになる。 沢の音が大きくなり、8時40分に北沢に着く。 吊橋を渡ったところでこれからの急登に備えて腹ごしらえをする。 |
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北沢からは東川岳に続く尾根を行く。八合目までは標高差800mのこのコースで最もきつい登りだ。 行く手を見上げてもトウヒやシラベの針葉樹がどこまでも続いている。 七合目は気がつかないまま通り過ぎたようで、やがて登りが少し緩やかになって 9時50分に「仙人の泉」という水場に着いた。冷たい水で喉を潤す。 |
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何時果てるとも知れない急登はなおも続く。ここは我慢のしどころだ。 しかし大概の尾根道がそうであるように、そのうち樹相が変化してきて頭上も明るくなり、 きつかった登りもようやく終焉に近づいてきた気配がする。 ほどなく八合目に到着する。時刻は10時35分。 |
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八合目で小休止のあと尾根の北斜面をトラバースして11時に見晴台に着く。 樹林越しに長い裾野を引いた御嶽を眺める。 |
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行く手には熊沢岳から東川岳にかけての稜線が遠く、高く見える。 |
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見晴台からはさしたる登りもなく尾根の南側の巻き道を行く。 途中の樹林の切れ間から目指す空木岳が黄葉に包まれて天高く聳えているのを見上げる。 素晴らしい眺めを目のあたりにしてやはり来てよかったと思う。 |
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その右には南駒ヶ岳も。 |
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「義仲の力水」で元気をつける。 |
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一頑張りして12時に木曽殿越に到着。小屋の前の広場のベンチに腰をかけて休憩する。 時間が早いためかまだ人影はあまりみられない。 この小屋には1974年(昭和49年)に木曽駒から縦走してきて一泊しているが、 9月の連休でかなり混み合っていた記憶がある。 |
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午前12時25分に空木岳の登りに取りつく。 いきなり急登が始まるがそのかわりに効率よく高度が稼げ、眼下の木曽殿小屋がドンドン小さくなって行く。 空木岳はその優しい名前にもかかわらず山頂部は花崗岩に取り囲まれた荒々しい容貌を呈している。 |
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巨大な岩塊の左側を回り込んで登りつめると傾斜は幾分緩くなるが頂上はまだ先のようだ。 その後殆ど垂直に切り立った岩の間を登ったりして花崗岩に囲まれた道を行き、午後1時40分にようやく頂上に着いた。 10月の高山のことでもあり休んでいると体が冷えてきたので2時過ぎに眼下の駒峰ヒュッテに向かった。 |
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駒峰ヒュッテからの中央アルプス北部の眺め。 夕方になって御嶽や木曽駒の方にかかっていた雲も切れて行き、山肌が赤く染まって長い一日が終わりました。 |
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2日目。 秋の日の夜明けは遅い。5時を過ぎて漸く夜が明けてくる気配を感じる。 簡単な朝食を取っている間に東の空が赤くなってきた。 日の出は北岳の方からのようだったが雲が多くてはっきりした御来光は拝めなかった。 |
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以下は駒峰ヒュッテからの眺め。 北東の彼方に八ヶ岳、奥秩父、南アルプス北部。 |
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八ヶ岳。編笠山から蓼科山までが一望です。 |
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八ヶ岳の右には鋸岳と甲斐駒ヶ岳。その奥に奥秩父。 |
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伊那盆地の彼方には南アルブスの山々が連なる。 写真は農鳥岳(左端)以南の山々。 |
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空木岳には6時10分に再登頂する。山頂はすでに登山者で賑わっていた。 上空には雲が広がっているものの四周の眺めはまずまずだった。 好展望を満喫して6時25分に空木岳を出発しました。 |
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空木岳から赤椰岳と南駒ヶ岳に向かう。 稜線の東側は切り立った絶壁となっているところが多く、縦走路は稜線の西側につけられている。 這松と花崗岩に囲まれた道は一見快適そうだが、道は滑りやすく、下りの時は特に脚に力が入って歩きにくい。 |
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近づいてきた赤椰岳と南駒ヶ岳。 遭難碑が立つあたりから少し下りになるが赤椰岳直下までは概して起伏は少ない。 |
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赤椰岳の登りも大したことはなく頂上には7時20分に着いた。 |
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赤椰岳から南駒ヶ岳との鞍部に向かって下ると左手に紅葉に覆われた摺鉢窪の大きなカールが見え、 その端の方に小さな小屋があった。途中ですれ違ったその小屋に泊まった登山者によると昨夜の泊まりは3人だけだったそうだ。 南アルブスが真正面に見えるこの小屋には機会があれば一度泊まってみたい気もする。 |
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鞍部から南駒ヶ岳に登り返して午前7時50分に標高2841mの南駒ヶ岳に到着。 南駒ヶ岳の山頂にも多くの花崗岩が露出している。山頂は空木岳より少し狭いが、それだけにより頂上らしい感じがする。 リュックをおろして一息ついてからゆっくりと展望を楽しむ。 |
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振り返り見た北の方には、空木岳の背後に東川岳から熊沢岳、桧尾岳、 宝剣岳そして木曽駒ヶ岳と中央アルプス主脈が続いている。 東川岳直下の木曽殿越の小屋が豆粒のように小さい。 |
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南の方には縦走路が目指す越百山まで続いているのが良く見える。 |
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東側には相変わらず南アルブスが屏風のように展開している。 南駒ヶ岳は空木岳に比べて訪れる人は少ないが、それだけに静かに山を楽しめるところです。 午前8時5分に次のピークである仙涯嶺を目指して南駒ヶ岳を出発する。 |
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しばらく行くと南駒ヶ岳の南峰とでも言える小ピークに着く。 ここも花崗岩が散在している。目の前に仙涯嶺の鋭い岩峰が見える。 小ピークからは急な下りになる。ところどころロープが張られており、高度をドンドン下げやがて鞍部に降り立つ。 これを逆コースで登るとなるとかなり厳しいものになるだろう。 |
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鞍部からは急登になる。岩場の連続で気を抜けない。カニの縦這いや横道いとでも言えそうな鎖場を登り 午前9時5分に仙涯嶺の頂上に着いた。 行く手にはこの山とは対照的な越百山へと続くなだらかな稜線が見える。 |
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仙涯嶺の頂上からしばらく急な下りを行くと縦走路は平坦な尾根道になる。 稜線漫歩といった気分で坦々と足を運ぶ。 南駒ヶ岳までは空木岳から往復する人もいるが、このあたりになるとすっかり人の気配がなくなる。 やがて緩やかな登りが始まり10時5分に標高2613mの越百山に着く。中央アルプスは実質的にはここで終わる。 |
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曇り空だが相変わらず展望は良く、南アルプスを始め、360度の眺めを満喫した。 これからの長い下りに備えて軽い食事をしたあと、越えてきた南駒ヶ岳や仙涯嶺に別れを告げて10時40分に下山を開始した。 |
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しばらく下るとすぐに樹林帯になる。色着いた樹々の間を下り11時10分に赤い屋根の越百小屋に着く。 山頂から小屋までは落ち着いた感じのする気持ちのいい道だった。 小屋の前の広場からは越百山から南駒ヶ岳にかけての稜線が眺められる。最後のお別れをして先に進む。 |
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小屋から長い道を下って大きな堰堤のそばの登山口には午後1時半に到着。 ここで最後の休憩と軽い食事をとった。 その後今朝沢沿いの車道を坦々と歩いて沢の中に巨大な落石が見られる所を過ぎて間もなく、 午後2時20分に今朝沢橋のT字路に着く。今朝沢橋を渡り、ゲートを抜けて駐車場に着くと同時に雨が降り出した。 |